The Amazing Spider-Man 2


アメイジング・スパイダーマン2  (2014年5月)

演出マーク・ウェブ、主演アンドリュウ・ガーフィールドによる新「アメイジング・スパイダーマン (The Amazing Spider-Man)」シリーズ第2弾。


間隔がそれほど開いてないためどうしてもサム・レイミ - トビー・マグワイアによる「スパイダー-マン (Spider-Man)」と比較してしまうが、ガーフィールド版ピーター・パーカーは、明らかにマグワイアのピーターより格好いい。ガーフィールドも「大いなる陰謀 (Lions for Lambs)」「ソーシャル・ネットワーク (The Social Network)」では、どちらかというと頭でっかちの軟弱っぽい役どころで、そこが悪くなかったのだが、「スパイダー-マン」に限ると、マグワイアが体現した、貧乏虚弱体質という従来あり得なかったスーパーヒーローの方が、かなり強力に印象を決定している。


一方、ガーフィールドも悪くない。ちょっと線が細めでセンシティヴだが、服を脱ぐとそこそこ筋肉もついている。実際にマンハッタンの摩天楼の間を蜘蛛の糸を飛ばして飛び回るには、マグワイアよりガーフィールドの方がイメージに合うとも言える。結局どちらも悪くない。今んところ私の中では、迷いや食生活のせいで糸を飛ばせなくなって途方に暮れるというマグワイアのスパイディの方がまだ印象が強いのだが、ガーフィールドの3作目が公開される頃には、その印象も変わっているかもしれない。


最近、スパイダー-マンというとどうしても思い出してしまうのが、カリフォルニアで銃を乱射して6人を殺傷して自殺したエリオット・ロジャーだ。オタクで女性と縁がなく、女性に無視された復讐と、その動機をYouTubeで明言しているのだが、正直言って私の目からは癖のある美形としか見えない。どっちかっつうと、むしろモテる方に見える。ちょっと線が細く、たぶん思い込みが強い方だと思うが、なんつーか、私が元々持っているスパイダー-マンのイメージが、かなり彼と被る。アスペルガーも持っていたそうだから、女性と縁がなかったというのは、その辺りが関係しているのかもしれない。こういう障害を持つ者が社会で生きていく難しさは、先週書いた「ジ・アドレス (The Address)」でも触れた通りだ。


ロジャーは白人の父とアジア系の母との間にできた子で、ほとんどの場合において、こういう混血の場合は可愛い子が生まれる。あるいは、印象的な顔立ちになる。ロジャーも私の目には癖のあるいい顔としか思えないし、妹は実際に美人だ。さらに父は「ハンガーゲーム (The Hunger Games)」の助監督だそうで、ハリウッドに関係があるというのも、私がロジャーから「スパイダー-マン」を連想した理由の一つでもある。たぶん彼は生まれてくる時と場所を間違えたとしか思えない。


今シリーズではスパイダー-マン本人と同じくらい気になるのがマドンナ役で、前シリーズでは幼馴染みのMJ、今回はクラスメイトのグウェンがピーターの恋人役だ。特にグウェンのキャラクターは、前シリーズではブライス・ダラス・ハワードが演じており、今シリーズのエマ・ストーンとは、きゃぴきゃぴしている前向き性格という共通点はあるが、視覚的にはほとんど別キャラになっている。いずれにしても前シリーズのMJ、今回はグウェンと、基本的にはオタク青年のピーターだが、ちゃんとガールフレンドがいる。でも、やっぱり物語だからで、現実はそうはうまく運ばないのか。


前シリーズではグウェン、MJとピーター、それにハリーまで絡めて、あわや三角四角関係に発展かと思わせる展開もあった。ジェイムズ・フランコに代わって今回から登場してきたハリーを演じているのは、デイン・デハーンだ。一昨年から昨年にかけ、「クロニクル (Chronicle)」「欲望のバージニア (Lawless)」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (The Place Beyond the Pines)」と立て続けに印象を残して、今、私が最も注目している若手ナンバー・ワンだ。よく若い頃のレオナルド・ディカプリオと比較されるが、ディカプリオよりシリアスな印象を受けるのは、なんかいつも目の下にクマがあるように見えるせいか。


今シリーズも3作作られると思うのだが、「2」では主要登場人物の何人かにかなり大きな出来事が持ち上がる。かなり意外で、第3話でこういう展開になるならともかく、今こうしちゃったら次どうするつもりなのか他人事ながら気になる。既に次を見据えて織り込み済みなのかそれとも行き当たりばったり出たとこ勝負で、とにかく今、派手な展開にしておいて続きは後で考えるつもりなのか、あるいは原作通りなのか。いずれにしても第3話は、「スパイダー-マン」のさらにまた新しい3部作が作られるかどうかの試金石となるだろう。今だ大きな人気を持つ「スパイダー-マン」ではあるが、シリーズとして曲がり角に来ている、ここをどうクリアするかが今後さらに発展していけるかどうかのポイントという気がする。



(追記: 2014年6月)

上でグウェンとMJのことについてちょっと触れたが、実は新シリーズでもちゃんとMJはおり、「2」でMJを演じていたのは、なんと今を時めくシェイリーン・ウッドリーだったのだが、編集段階でカットされたのだそうだ。


今シリーズではマドンナは明らかにグウェンであり、MJは脇に回らわざるを得ない。しかしMJをキャスティングした時とは既に情勢は大きく異なり、今では「ダイバージェント (Divergent)」に主演したウッドリーは、若手女子ではほとんどジェニファー・ロウレンスとタメを張る大スターだ。それが「2」においてはウッドリー演じるMJはちょい役にしか過ぎず、まるでその人気に見合わない。これがカメオ出演ならわかるが、ただの捨てキャラに近い程度の役では、まるでウッドリーが出ている意味がない。そんなこんなでカットしたらしい。しかしもしかしたたMJは「3」で復活する可能性があるか‥‥










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一般人ピーター・パーカー (アンドリュウ・ガーフィールド) とスーパーヒーローのスパイダー-マンを掛け持ちするピーターの生活は多忙で、メイおばさん (サリー・フィールド) やガールフレンドのグウェン (エマ・ストーン) とおしゃべりする暇もろくにない。今日は卒業式だというのに人々を危険から守るのに忙しく、やっと最後の証書授与に間に合っただけだった。ピーターはグウェンを愛していたが、死去したグウェンの父ステイシー (デニス・リアリー) との約束があるため、思うようにグウェンに接しきれない。一方オズコープ社で誰にも気づかれない技術者だったマックス (ジェイミー・フォックス) が、事故によってエレクトロとして生まれ変わる。エレクトロはこれまでの劣等感を爆発させ、ニューヨークを混乱に陥れる。さらにピーターの旧友ハリー (デイン・デハーン) が再びピーターの前に姿を現す。特異な病魔に侵されていたハリーは、ピーターがスパイダー-マンと近いことを知り、スパイダー-マンに会わせろとピーターに頼んでくる‥‥


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