Brooklyn Nine-Nine   ブルックリン・ナイン-ナイン

放送局: FOX

プレミア放送日: 9/17/2013 (Tue) 20:30-21:00

製作: フレムロン、ドクター・グーア・プロダクションズ、3アーツ・エンタテインメント、ユニヴァーサルTV

製作総指揮: ダニエル・グーア、デイヴィッド・マイナー、マイケル・シュア

出演: アンディ・サンバーグ (ジェイク・ペラルタ)、ステファニー・ベアトリス (ローザ・ディアス)、テリー・クルーズ (テリー・ジェフォールズ)、メリッサ・フメロ (エイミー・サンティアゴ)、ジョー・ロー・トルグリオ (チャールズ・ボイル)、チェルシー・ペレッティ (ジーナ・リネッティ)、アンドレ・ブラウアー (レイ・ホルト)


物語: ブルックリン99分署のペラルタ刑事は、パートナーのフメロ刑事と犯人検挙の成績を張り合うなど刑事としては優秀だったが、いつもおふざけ半分の勤務態度に問題があった。ボイル刑事は男勝りのディアス刑事に惚れているが、てんで相手にしてもらえない。これらの癖のある刑事をまとめるのにジェフォールズ巡査部長はほとほと手を焼いていた。その99分署に新しくホルト署長が赴任してくる。ゲイのために将来を嘱望されながらも出世が遅れたホルトは、規律にやかましくいつも一分の隙もなく制服に身を固め、特にペラルタの矯正に力を入れるが‥‥


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Brooklyn Nine-Nine


ブルックリン・ナイン-ナイン  ★★1/2

NBCの「サタデイ・ナイト・ライヴ (Saturday Night Live (SNL))」出身のアンディ・サンバーグ主演の新番組が、「ブルックリン・ナイン-ナイン」、つまりブルックリン99分署を舞台とする警察コメディだ。


マンハッタンからイースト・リヴァーを挟んだ対岸のブルックリン、特に西側のマンハッタンに近いところは昔から人気があり、高級住宅地だったりするが、近年、それまでは寂れていたレッド・フック地帯の再開発が進み、トレンドの先端を行くヒップな店が多くできた。マンハッタンほど喧騒に晒されることなく、ごみごみしてないため、まだ幼い子供のいる、金を持っている若いファミリーが多く流入して一大スポットになっている。HBOの「ボアード・トゥ・デス (Bored to Death)」もここが舞台だった。


一方、ブルックリンはブルックリンでも東側のイースト・ニューヨーク近辺になると今度は雰囲気が一変して、ニューヨークでも最も危険な場所の一つになる。現在私の住むニュージャージーのジャージー・シティの一角は、特に高級住宅街でも安全な場所というわけでもないのだが、それでも隣りのアパート・ビルに住む黒人男性は、以前住んでいたブルックリン (のやばい地域) では毎日のように誰か撃たれて殺されていた、それからするとここは天国と言っていた。ブルックリンでも色々ある。それだからこそブルックリン99分署の刑事警官の出動が要請される理由も色々ある。


その99分署のエース刑事であるペラルタは、逮捕実績は素晴らしいものがあるが、勤務態度はまるでなってない。そこへ新しい署長が赴任してくる。ホルト署長は元々は将来を嘱望されていたが、ゲイということを隠さないことが災いして出世が遅れていた。ペラルタとは性格がまったく逆で、常に一分の隙もなく制服を着用するホルトが真っ先にペラルタに命じたことは、ネクタイを着用することだった。しかしただそれだけすらペラルタはなにかしらアドリブでいらぬことを付け加えないと気が済まない‥‥


「SNL」出身者は「SNL」卒業後、自分の番組を持つ場合が多い。近年だけでもNBCのティナ・フェイの「30ロック (30 Rock)」、エイミー・ポーラーの「パークス・アンド・レクリエーション (Parks and Recreation)」、ジミー・ファロンの「レイト・ナイト (Late Night)」等がすぐに思い浮かぶ。TVでなければ映画に進出して成功しているクリスティン・ウィーグの「ブライズメイズ (Bridesmaids)」という例もあるし、今や大御所のアダム・サンドラーやウィル・フェレルもいる。要するに「SNL」を踏み台にしてステップ・アップするコメディアンは多い。その最新例がサンバーグのこの「ブルックリン・ナイン-ナイン」になるわけだ。


名前も顔も結構似ているということもあり、私は一時サンバーグと「ソーシャル・ネットワーク (The Social Network)」のジェシ・アイゼンバーグを同一人物と思って混同していた。さすが「SNL」出身者は歌も演技もできるんだなと思っていた。「SNL」でのサンバーグの最大のヒットは、やはり誰あろうジャスティン・ティンバーレイクと一緒に作ったミュージック・ヴィデオの「ディック・イン・ア・ボックス (Dick in a Box)」だろう。スーパースターのティンバーレイクがここまでお下劣なギャグを飛ばすかという衝撃と共に、今でも歌えるほど印象に残っている。


そのサンバーグ演じるペラルタの新しい上司として赴任してくるホルトに扮するのが、アンドレ・ブラウアーだ。昔から頑固な真面目一徹型の役をさせるとハマり、昨年もABCのサスペンス・ドラマ「ラスト・リゾート (Last Resort)」でこれまた信念の男を演じていた。そういう印象を逆手にとって、TNTの「メン・オブ・ア・サーテン・エイジ (Men of a Certain Age)」のようなコメディ・タッチの番組に出ることもあり、今回もそういう路線を狙っている。


その他の面々は、ペラルタのパートナーのサンティアゴにメリッサ・フメロ。同じ刑事部屋のディアスに扮するステファニー・ベアトリス同様二人ともラテン系の黒髪で、ブロンドじゃないところがいかにもという感じがする。実際ニューヨークの女性警官や刑事はブルネットの方が多い。ディアスは男勝りの気性という設定で、ボイル (ジョー・ロー・トルグリオ) は彼女に惚れているのだが、気が弱いボイルは歯牙にもかけてもらえない。警部補のジェフォールズに扮するテリー・クルーズは、ABCの朝のトーク・ショウ「ケリー・アンド・マイケル (Kelly and Michael)」共同ホストの片割れマイケル・ストレイハン共々、元NFLのプロ・フットボーラーだった。そのガタイのいいフットボーラーが、二人ともコメディ系で活躍している。


プレミア・エピソードでは、規則を守らないペラルタが、ペナルティとしてたぶん遺失物係みたいな閑職に一時的に回され、一応はゆるゆるながらもネクタイを着用しているが、椅子から立つと、実はパンツを着用しておらずアンダーパンツのままだった。思わずコメディの本質は反骨にありと思わせてくれた。


天下の「SNL」出身だからといって、TVや映画に進出した者が全員成功するわけではない。実際、来年NBCの伝統ある深夜トーク「トゥナイト (Tonight)」のホスト就任が決まっており、出世頭筆頭に思えるジミー・ファロンだって、「SNL」後しばらくは映画界に進出しようとしたが鳴かず飛ばずで、本人は廃業の危機をひしひしと感じていたそうだ。それに較べれば今んところ「ブルックリン・ナイン-ナイン」は健闘していると言える。あともうほんの少し笑える要素があればかなりいい線行くと思うのだが、これからに期待したい。









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