Gigolos   ジゴロス

放送局: ショウタイム

プレミア放送日:  4/7/2011 (Thu) 23:00-23:30

製作: ザ・ジェイ&トニー・ショウ、レラティヴィティ・リアル

製作総指揮: ジェイ・ブルメンフィールド、トニー・マーシュ、トム・フォアマン

出演: ニック、スティーヴン、ジミー、ブレイス、ヴィン


内容: ラスヴェガスの5人のジゴロに密着する。


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Gigolos


ジゴロス   ★★1/2

基本的に近年、ペイTVのショウタイムは危機に直面する中年女性が主人公のコメディ・ドラマで注目されている。メアリ-ルイーズ・パーカーがマリファナ栽培に乗り出す「ウィーズ (Weeds)」、トニ・コレットが多重人格の家庭の主婦を演じる「ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ (United States of Tara)」、イーディ・ファルコがドラッグ中毒の看護師に扮する「ナース・ジャッキー (Nurse Jackie)」、ローラ・リニーが乳ガン患者となる「ザ・ビッグ・C (The Big C)」等だ。


その他、歴史ドラマの「ザ・チューダーズ (The Tudors)」や「ザ・ボルジアズ (The Borgias)」、ミステリ・ドラマの「デクスター (Dexter)」、コメディ「エピソーズ (Episodes)」、「シェイムレス (Shameless)」等、注目番組があるが、ショウタイムというと忘れてはならないジャンルに、成人向けのお色気を前面に押し出した番組群がある。今なら「カリフォルニケイション (Californication)」や「シークレット・ダイアリー・オブ・ア・コール・ガール (Secret Diary of a Call Girl)」等の番組で、かつては「ファミリー・ビジネス (Family Business)」、「デビー・ダズ・ダラス・アゲイン (Debbie Does Dallas Again)」という忘れがたいリアリティ・ショウがあった。そしてそのアダルト系リアリティ・ショウの最新の列に連なるのが、「ジゴロス」だ。


「ジゴロス」は読んで字の如く、ラスヴェガスで商売を行う5人のジゴロの行動に密着する番組だ。ニック、ブレイス、スティーヴン、ジミーは、ジゴロ、要するに男性エスコート・サーヴィス、つまり、端的に男娼として生計を立てている。むろん彼らを雇う女性たちはセックスのためだけでなく、街を連れ歩いても様になるデート相手としても考えている。そのため彼らは実際になかなか格好いい者たちばかりだ。身体も鍛えていれば顔もいい。ニックは田舎育ちで野性味があり、最年長のブレイスは口は達者で年の功がある。スティーヴンは息子思いの優しいパパでもあり、ジミーはアマチュア音楽家でもあるなど、異なるキャラクターを揃えている。


彼らはそれぞれ単独で働いているのではなく、ギャレン・ジェイムズというエージェントによってマネジメントされている。ギャレンからどこそこへ行けという指示によって、待ち合わせて客を拾う。考えれば、営業することの面倒くささを考えれば、半分くらいをピンハネされようともその方が効率はいいだろう。こちらはただ待ってさえいればいいのだ。


ギャレンは、10都市で15人のエスコート・ガイをマネジメントしている。アメリカで最大のストレートのためのエスコート・サーヴィスだと豪語しているが、非合法や地下に潜れば、もっと規模の大きなその種のアンダーグラウンド・チェーンが存在するような気もするが、どんなもんだろうか。いずれにしてもその15人のうち、ベストの4人がラスヴェガスにいる。


ビジネスは好調で、そのためギャレンは新しいジゴロを物色している。ギャレンの元には毎日50件の求職の問い合わせがあるそうだ。しかし彼らはチームとして行動しており、単独行動に走り過ぎるやつは困る。個人ではあるがライヴァルでもあり、その辺をちゃんとわきまえないやつは使えない。自分を律せないやつに一流のジゴロは務まらないのだ。彼らの身体の引き締まり方を見るとなるほどと思う。全員「アメリカン・ジゴロ (American Gigolo)」のリチャード・ギア並みなのだ。


今回ギャレンの眼鏡にかなったのはヴィンで、彼は黒人の血が少し入っており、客の多様化にも対応するべく、新しくメンバーに加えられた。とはいえオリジナル・メンバーから気に入られなければ、いびられて追い出されるのが関の山だろう。


ギャレンによると、彼らのサーヴィスは1時間550ドルをチャージするそうだ。もちろん1時間だけエスコート・サーヴィスを呼ぶという者はほとんどおらず、だいたい一緒にバーで酒を飲むことから始める。当然その代金も客払いだろう。ホテル代もあるわけだし、いいとこ見せようと思う客はチップもはずむに違いない。客が一夜に払う金は、まず2,000ドルを下ることはないだろう。ギャレンがビジネスは好調と言うわけもわかる。


とはいえ番組の最初にニックの相手となる客は、教師をしていると言っていた。まあ自分の職をなんというかは本人の自由だが、本当の教師がこんなところで散財できるくらいの収入を得ているかは、はっきり言って疑問だ。あるいは本当に教師で、実家が金持ちなだけなのかもしれない。


彼らは軽く酒を飲んだ後、高級そうなホテルの部屋でエッチをするのだが、結合部分をアップにするわけではないが、セックスしているシーンもちゃんと映す。はっきり言って、ポルノを見ているのと何も変わらない。ショウタイム・リアリティはそういうのもちゃんと見せてくれるから今回もと期待していたのは確かだが、その期待を裏切らない。


ジミーが相手するのは黒人のカップルで、夫の見ている前で妻を好きなようにしてくれと要求する。ジミー曰く、よくある話なのだそうで、こちらとしては、ふうん、そんなものですかと言うしかない。こちらもお互いに性器を舐め合って喘いだりするところもちゃんと映す。しかしリアリティ・ショウでもポルノでも、アメリカ人女性、特に黒人女性が喘ぐ声ってどうもわざとらしいと感じるのは私だけか? いずれにしてもジミーも客もその旦那も、カメラに映されてもまったく平気なようだ。というか、撮影スタッフをいいセックスの小道具くらいにしか思ってないんだろう。


プレミア・エピソードの最後は大口の客で、全員を一か所に集め、一人ずつストレッチ・リモに乗せてその辺を流しながらインタヴュウする。数日後に予定している正装のパーティにエスコートしてくれる男性を探しているのだ。当然その後エッチすることになるだろうとはいえ、その前はタキシード蝶ネクタイで、エチケットをわきまえたジェントルマンとしての行動が求められる。ちゃんとした上流階級のパーティだろうということは、女性の容姿や話し方からも窺える。50代だろうとは思うが上品な女性で、金を持っているのは間違いなかろう。このインタヴュウだけでも、全員にそれぞれのフィーを払わなければならないのだ。彼女が今回の一連の仕事で支払う金額は、1万ドルくらいに達するのではないか。


ギャレットの話しぶりだと、彼女の口コミでさらに同様の上流階級のマダムがお得意さんになる可能性を匂わせていた。いい印象を与えておけば今後の大きな発展が期待できる。そうやってビジネスを展開していくわけだ。それにしてもこの女性、ちゃんと顔も映していたが、後々何か問題にならなくていいのだろうか。


現在、ショウタイムのライヴァル・チャンネルであるHBOには、「ハング (Hung)」という、やはり男娼を主人公とするコメディ・ドラマがある。ハングというのは巨大な男の一物を指す隠語で、トマス・ジェイン演じる主人公が、経済的に行き詰った挙げ句自分の一物を武器に男娼として生計を立てていく様子を描く。こちらもショウタイムと同じく放送規制のないHBOの番組なのだが、セックス・シーンはあってもそのものずばりを映すわけではない。コメディ・ドラマであって、ポルノではないということだろう。


「ジゴロス」では、彼らは夢の職業に就いて楽していい思いして稼ぎまくっているという印象を受けるが、「ハング」では男娼という職業は、生きていくために選んだ最後の手段だ。なかなか視点の異なる、ジゴロをとらえる二つの番組なのだった。








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