Episodes    エピソーズ

放送局: ショウタイム

プレミア放送日: 1/9/2011 (Sun) 21:30-22:00

製作: ハット・トリック・プロダクションズ、クレイン・クラリク

製作総指揮: デイヴィッド・クレイン、ジェフリー・クラリク、ジミー・マルヴィル

クリエイター/脚本: デイヴィッド・クレイン・ジェフリー・クラリク

監督: ジェイムズ・グリフィス

音楽: マーク・トマス

美術: グレンヴィル・ホーマー

出演: マット・ルブラン (マット・ルブラン)、スティーヴン・マンガン (ショーン・リンカーン)、タムシン・グレイグ (ビヴァリー・リンカーン)、ジョン・パンコウ (マーク・ラピダス)、キャスリーン・パーキンス (キャロル・ランス)、リチャード・グリフィス (ジュリアン・ブラード)


物語: 英国で人気コメディ「ライマンズ・ボーイズ (Lyman's Boys)」で一発当てたショーンとビヴァリーのカップルはハリウッドの大物プロデューサー、ラビダスから声をかけられる。ハリウッドで番組をリメイクしないかというのだ。LA行きを切望するショーンに押し切られた形で、ビヴァリーも渋々同意し、二人はLAにやってくる。そこで実はラビダスは番組を見たことすらなく、英国で評価されているからリメイクを申し出たことを知る。しかも彼は、オリジナルの主演で今回も出演を快諾していたジュリアンに、よりにもよってオーディションを受けさせることを要望する。そのジュリアンが実はアメリカ風アクセントが苦手だったことが判明したために、すべては瓦解するしかないと思われたその時、アシスタントのキャロルが、最適の俳優を見つけたと報告してくる。マット・ルブランの身体が空いているというのだ‥‥


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なんかよくわからないが、英国でヒットしたドラマやコメディが、今アメリカで次々と製作放送されている。ショウタイムが「シェイムレス (Shameless)」の放送を始め、SyFyが「ビーイング・ヒューマン (Being Human)」、MTVが「スキンズ (Skins)」と、英国製番組のリメイクは大流行りだ。


元々英国産番組は文化圏が似ていることもあり、移植自体はしやすい。逆に言えば、わざわざリメイクを作っても大きな差異が生まれるわけでもない。要するにリメイクを作る意義はそれほどない。特にそのオリジナル番組を今現在アメリカで放送中となればなおさらだ。しかし、ヒット作のリメイクというのはどうしても抵抗し難いらしく、定期的に製作される。とはいえ2005年のNBCの「ジ・オフィス (The Office)」以来、リメイクでヒットらしいヒットは生まれていない。


一方ショウタイムは近年、惑える中年女性を主人公とする独自のオリジナル・コメディ番組路線で、確固たる地位を築いている。既にヴェテラン番組の「ウィーズ (Weeds)」を筆頭に、「ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ (United States of Tara)」、「ナース・ジャッキー (Nurse Jackie)」、「ザ・ビッグ・C (The Big C)」等のショウタイム・コメディは、今ではアメリカのコメディを語る上で欠かせない番組群になっている。そのショウタイムが、なぜ自分の存在意義を薄めてまで今さら英国産番組のリメイクに手を出さないといけないのか。わけがわからない。


そのショウタイムが、「シェイムレス」と抱き合わせで同じ日に放送を始めたのが、「エピソーズ」だ。しかもこちらも英国産で、英国でヒットした番組をアメリカでリメイクする‥‥という内容のオリジナル番組だそうだ。最近のリメイク攻勢、しかも今オリジナル番組で抬頭中のショウタイムまでリメイクかとがっかりしていた矢先だったので、アメリカで番組をリメイクするという内容のオリジナル番組のはずが、最初、いきなりショウタイムがリメイクを2本続けて放送か、と思った。昨夏「エピソーズ」の話を聞いた時はリメイクだとは言ってなかったのに‥‥と、ちょっとがっかりしていた。


むろん「エピソーズ」はリメイクではない。こういう設定で番組が製作されるのも、そうだとばかりに早合点してしまうのも、英国産人気番組がアメリカでリメイクされるという近年の風潮が根付いてしまっているからだろう。「オフィス」のクリエイター/主演のリッキー・ジャヴェイスが、英国でヒットするのは嬉しいが、アメリカでヒットすれば、それは世界で通用することを意味するというような主旨のことをどこかで言っていた。要するに、アメリカでヒットすれば金が入る。ダメもとでもチャンスがあればやってみる価値はある。「エピソーズ」は、そういう今のTV界を背景としたコメディだ。


英国で人気コメディ「ライマンズ・ボーイズ」を成功させたショーンとビヴァリーのリンカーン夫妻は、ハリウッドに招かれてアメリカ風リメイクを製作するオファーを受ける。特にショーンは乗り気で、気持ちは既に西海岸だ。ビヴァリーもそれならそれでいいかと、二人はハリウッドにやってくる。そこで初めて、彼らを誘ったプロデューサーのラビダスが実は番組を一度も見たことがなく、ただ英国で評価されたというそのことだけでリメイクを決めたことを知る。


さらにショーンとビヴァリーは、オリジナルで主演のジュリアンをリメイクでも主演に起用するつもりでLAに呼び寄せてあったが、ラビダスは、ヴェテランのジュリアンにオーディションを要請する。気軽にオーディションを行うことをOKしたジュリアンだったが、そこで致命的なことが知れる。実はジュリアンは、米語のアクセントが得意ではなかったのだ。ラビダスは全員がアメリカ風アクセントであることにこだわり、ジュリアンは自分のオーディションが失敗に終わったことを知って去る。


ショーンとビヴァリーは意気消沈しただけでなく、新たな主人公の人選に追われる。そこでハリウッド側が勢い込んでオファーした代わりの主演は‥‥マット・ルブランだった。マット・ルブラン、「フレンズ (Friends)」で天然ジョーイを演じたマット・ルブラン、あのマット・ルブランか。ショーンとビヴァリーは絶句して顔を見合わせる‥‥というところで番組第1回は終わる。


なにがおかしいかって、ルブランが英国でも天然俳優として知られているというのがはっきりわかるこの幕切れが笑える。ルブラン、我々の番組をぶち壊すに違いないルブランを主演に据えるというのかと、思わず真っ白になって呆けるショーンとビヴァリー‥‥そして暗転して次回に続くとなる。


「フレンズ」と、その同じキャラクターそのままを演じたスピンオフの「ジョーイ (Joey)」で、ルブランは印象を決定的にした。というか、ルブランがそれ以外に出た作品というと、いつぞやの「ロスト・イン・スペース (Lost in Space)」以外あったっけ? というくらい、ルブラン=天然ジョーイという印象が定着している。もう一生この印象から抜けれることはないんじゃないかというくらいだ。


実はルブラン、裏の主人公なのだが、番組第1回では登場するのは、オープニングだけだ。ハリウッドの番組製作スタイルに我慢ができなくなったビヴァリーがついに耐えかねて家を飛び出すが、怒りのためにアメリカでは英国と違って左側通行ではなく右側通行であることをつい忘れて車を運転してしまい、そこにやってきたルブランの運転する車と正面衝突するというのが、そもそもの番組の出だしとなっている。そこで話は7週間前に遡り、なぜこういうことになったのかが物語られる。


その一瞬しかない出番で、クルマのナヴィを相手にヴォイス・コントロールできない、使えない奴という印象を与える。もちろんルブランのセールス・ポイントは、たとえ天然であろうとなかろうと、そういう雰囲気をちゃんと出せるところにあり、むしろうまい役者の部類に入ると私は思っている。まあ、しかし、役を選ぶタイプの役者ではあるだろう。ルブランには今後も思いきり天然丸出しで番組をかき回してもらいたい。








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エピソーズ (マット・ルブランの元気か~い? ハリウッド!)   ★★★

 
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