ザ・タイタン・ゲームズ (The Titan Games) 

放送局: NBC  

プレミア放送日: 1/3/2019 (Thu) 20:00-22:00 

製作: A. スミス&カンパニー、セヴン・バックス・プロダクションズ 

製作総指揮: ドウェイン・ジョンソン、デニー・ガルシア、アーサー・スミス 

ホスト: ドウェイン・ジョンソン 

  

内容: 毎回男女4人ずつのコンテスタントが、1対1で体力勝負の勝ち抜き障害物競走を行い、男女それぞれ勝ち残ったその回の優勝者が賞金10万ドルを獲得する。 


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The Titan Games


ザ・タイタン・ゲームズ  ★★1/2

アメリカの体力勝負系の勝ち抜きリアリティ・ショウは、現在、NBCの「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー (American Ninja Warrior: ANW)」が、一人勝ちしている。このジャンルではかつて「アメリカン・グラディエイター (American Gladiator)」というクラシックのTV番組があり、実際、ANW成功にあやかって一時復活製作されたが、ANWに歯が立たなかった。 

 

数年前にも、ANW人気にあやかったに違いないNBCの「ストロング (Strong)」やFOXの「アメリカン・グリット (American Grit)」、やはりNBCの「スパルタン (Spartan)」が製作放送された。昨年もCBSがホストにケヴィン・ハートを起用して「TKO: トータル・ノック・アウト (TKO: Total Knock Out)」という勝ち抜き体力勝負リアリティを編成、NBCはケーブルの姉妹チャンネルのユニヴァーサル・キッズで、キッズ版ANWの「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー・ジュニア (American Ninja Warrior Junior)」を製作放送したが、特に話題になることはなかった。

  

ANWスピンオフは何も今回に限ったことではなく、これまでにも世界中から集めたニンジャ・ウォリアーたちが競う「USA vs ザ・ワールド (USA vs The World)」や、種目別と言える「ANWオールスターズ (ANW All Stars)」、ティーム戦の「ニンジャ vs ニンジャ (Ninja vs Ninja)」(「ティーム・ニンジャ・ウォリアー (Team Ninja Warrior)」改題) 等が製作放送されている。その最新版が、昨秋編成の「ANWジュニア」であるわけだ。 

  

しかし正直言うと、「ANWジュニア」は、私見ではいただけない。番組タイトルが示す通り、登場してくるのは成人未満のジュニアであるわけだが、この年頃の子は成長に個人差が著しい。そのため、できるだけ公平を期すために細かく年齢カテゴリーを設けている。 

  

しかしこのことは、逆にカテゴリー分けの不公平さを浮き彫りにしている。例えば、そり立つ壁は年齢カテゴリー毎に高さが違うのだが、しかし10歳の子が13歳の子より背が高いという例は幾つもある。公平を期すなら年齢別ではなく、身長別、体重別にするべきだと思う。この時期の成長の早い女の子が男の子を負かす例もあって、その点ではジュニア・ヴァージョンがあってもいいかなとは思うが、しかし全体的に見た印象は、中途半端な公平さはむしろ不公平というものだ。 

  

さて「タイタン・ゲームズ」だが、こちらは体力勝負でも、スピードや敏捷性等ではなく、ほぼ筋力勝負に特化している。求められるのはまず第一に筋力、そして耐久力、持久力だ。毎回男女が4人ずつ登場し、男女それぞれの勝者を決める。一対一で勝負して、二回勝ち抜けばその回の勝者だ。最終的に、毎回の勝者を集めて競わせる最終的なチャンピオンが決定する。 

  

競技内容は、ANWの地域予選同様、勝負毎に対戦に用いられる障害物が多少異なる。第1回の最初の対戦は女性同士の対戦で、壁に打ち込まれた金属の丸太を抜くスピードを競う「ハーキュリアン・プル (Herculean Pull)」。女性とはいえ二人共筋肉隆々だ。続いての男性の勝負は、巨大な撞木なようなものを何度も振り子のように突いて大きな木製の扉を打ち壊すという「ハンマリング・ラム (Hammering Ram)」。その他、綱で腰に括りつけられた錘を走って吊り上げてコンクリートの壁を壊す「アップライジング (Uprising)」等で勝負する。 

 

毎回の男女別の決勝は「マウント・オリンパス (Mount Olympus)」と称され、回転する丸太や高い壁をよじ登った頂上で火をつけ、降りてきて巨大金属球を引っ張り、スレッジハンマーでコンクリート塊を叩き割って中から鍵を取り出し、それを鍵穴に差し込んで解錠するまでを競う。  

 

「タイタン・ゲームズ」がこれまでのこの種の体力勝負で最も似ているのは、「アメリカン・グリット」になろうかと思う。これはホスト兼プロデューサーが、「アメリカン・グリット」ではジョン・シナ、「タイタン・ゲームズ」ではロックことドウェイン・ジョンソンと、共に元プロレスラーであることも関係あろう。バランスのとれた敏捷性や跳躍力ではなく、まず第一に力なのだ。 

  

特にそのことを端的に著しているのが、毎回の勝者を決める「マウント・オリンパス」の最後の障害物で、ただただハンマーを振り下ろしてコンクリートを打ち砕き、中から鍵を取り出す。とにもかくにも腕力がなければ始まらない。さすがにANWのオールスターズでも「タイタン・ゲームズ」では勝てないだろうが、逆も言え、「タイタン・ゲームズ」に勝てても、ANWのそり立つ壁やジャンピング・スパイダーは克服できまい。よくも悪くもいかにもアメリカ的な体力勝負のリアリティ・ショウなのだった。 

 











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