アメリカン・ニンジャ・ウォリアー・オール・スターズ   American Ninja Warrior All Stars

放送局: NBC

プレミア放送日: 5/29/2016 (Sun) 21:00-23:00

製作: A. スミス&カンパニー・プロダクションズ、東京放送

ホスト: マット・アイズマン、アクバー・バジャ-ビアミラ


内容: 「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー」のヴェテランたちが、特設コースで種目別の障害物に挑戦する。


スパルタン: アルティメット・チーム・チャレンジ   Spartan: Ultimate Team Challenge

放送局: NBC

プレミア放送日: 6/13/2016 (Mon) 22:00-23:00

製作: A. スミス&カンパニー

製作総指揮: アーサー・スミス、ケント・ウィード

ホスト: ダニ・ジョーンズ、エヴァン・ドラード、カイル・マルティノ、MJ・アコスタ


内容: 男3人女2人の計5人の男女混成チームが様々な障害物に共同で挑む勝ち抜きコンペティション。優勝賞金は25万ドル。


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わりと体力勝負系のリアリティ・ショウには目がない方で、最近でもNBCの「ストロング (Strong)」、FOXの「アメリカン・グリット (American Grit)」等も見ている。しかし、やはり最も面白いと思って見ているのは、アメリカ版「Sasuke」ことNBC/エスクワイアの「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー (American Ninja Warrior: ANW)」だ。


障害物の進化と対する挑戦者の進化のせめぎ合いだけでなく、国別対抗にしたり、さらに今春はそれをパラレル仕様にしたりリレーにしたり団体戦にしたりする「チーム・ニンジャ・ウォリアー (Team Ninja Warrior)」が登場、まだまだANWは面白くなっていくことを証明した。そして今回編成された「オール・スターズ」は、今度は種目別ANWという趣きだ。


満遍なくバランスがとれ、鍛えられた筋力、ばね、運動神経のよさが求められるANWは、あらゆる障害物をそつなくこなすことが要求される。一つのステージに複数の障害物があるため、これは得意だがこれは苦手という障害物があるのは、完全制覇を目指すにはあまり有利とは言えない。


しかしやはり人間である。それでも、どうしてもこれよりはあれの方が得意という得手不得手が出てくるのは避けられない。そしてその時、もしこれだけなら他の誰にも負けないという得意障害物を持つ挑戦者同士が、その障害物で勝負したら、どれだけ早く、どれだけ高く、どれだけ遠く障害物をクリアする記録を伸ばせるだろうかという問いには、なかなか魅力的なものがある。それを実現した特番が、この「オール・スターズ」だ。


番組前半は、ホストのマット・アイズマンとアクバー・バジャ-ビアミラがピックした選抜メンバーによる団体戦で、これまでにも似たようなことは何度もやっているから、面白いは面白いとはいえ、特に新味があるわけではない。本当に面白いのは、競技が種目別になる後半だ。


最初のジャイアント・ペッグ・ボードでは、巨大な円形のボードにペッグを突き刺しながら、1分間でどこまで進めるかを競う。次のスーパーソニック・シェルフ・グラブは、鉄棒で足を大きく振り上げる要領で、どこまで遠く飛び移れるかを競う。これに登場したアイザック・カルディエロとドリュウ・ドレッシェルは、共に14フィートを成功させた段階で、誰もそれ以上人間がサルみたいにジャンプできると思っていなかったから、14フィート以上に装置を設定できず、二人で優勝を分けた。まったくサルみたいな奴らだ。


因みにカルディエロは、昨年のANWで無事完全制覇を達成して優勝賞金5,000万ドルを獲得している。ドレッシェルはANWだけじゃ飽き足らず、日本にも行って「Sasuke」にも出ているから、顔を覚えている日本人も多いだろう。ANWが心の底から好きなようで、自分が参加するわけでもないのにANWの地方予選にも毎回応援で顔を出している。暇というか、お前、仕事ないのか。


続くサーモン・ラダー勝負では、これまた当然のように何段も天高くラダーが続いている。スペシャリストとはいえいったい何段くらいまでなら行けるのか。と思っていたら、優勝したマイク・ベルナルドは、ただ一人35段全段を登り切った。これもそれ以上を想定しておらず、それ以上段を増やせず35段が記録となったが、さすがにベルナルドもこれが限界という感じだった。


最初「Sasuke」でサーモン・ラダーを見た時、懸垂のさらに上をいくサーモン・ラダーにこんなのできるわけないと思ってたら、いつの間にかダブル・サーモン・ラダーまで登場し、しかも結構楽々とクリアされていく。すげえと思ったもんだが、しかし35段はさすがに私だけでなく、関係者にとっても想定外だったろう。お前は人間か。


しかし最も面白かったのは、Warped Wallことそり立つ壁だ。そり立つ壁は、「Sasuke」では4mだったものが、近年4.5mに底上げされたらしい。参加者のレヴェルの向上を受けてのものだと思うが、それはANWも例外ではなく、それまで14ftだったものが、今年から14.5ftになっている。しかし、これを得意にしている者にとっては、ハーフ・フィートくらい高くなろうが、そんなのお茶の子さいさいという感じで、楽勝で登る。それまで他の障害物で体力を消耗してないからなおさらだ。


これを得意にしているのはフィリップ・ロドリゲスとジョー・モラフスキーで、二人の一騎打ちとなった最後、19ftを登り切って勝ったのはロドリゲス。19ftだ。5.8mだ。14ftの普通のそり立つ壁の上に、人一人立っている分ほど高い。単純に考えると、14ftの壁なら、手を使わず走り抜けて上に立てるくらいのレヴェルだ。今回の特番を見て思ったのは、こりゃダメだ、日本のSasukeオール・スターズの出る幕はないということだ。Sasukeオール・スターズの誰を考えても、全盛時の長野をもってしても、19ftは登れまい。無理だよあんなの。こりゃケンブリッジ飛鳥でも呼んできてSasukeに鞍替えしてもらうしかあるまい。


さて、一方の「スパルタン」は、ANWとは多少異なる、男女5人の混成チームによる、どちらかというと耐久力を勝負する競技だ。似たような競技としてタフ・マッダー (Tough Mudder) というのもある。両方とも泥まみれになりながら、障害物を登ったりくぐったりもぐったりかついだり跳んだり投げたり泳いだりして、落伍者を出すことなく、チーム全員がゴールすることが必要だ。近年、週末日中とかにスポーツ専門のケーブル・チャンネルを見ていると、同系統の番組がいくつも中継されているので、近年急速に市民権を獲得しているジャンルと言える。その気になれば誰でもいつでも始められる間口の広さと、やり終えた時の充実感がアピールしているのだと思う。


ANWとは求められるものが多少違うとはいえ、そこは運動神経のよさでは人後に落ちるものではないANWのヴェテランたちが、「スパルタン」にも出ている。こいつは体力もあるからこちらにも使えそうだということで、スカウトされてチームを組まされたようだ。ケヴィン・ブルやグラント・マッカートニーといった、筋力体力もある者が主体となって、ニンジャ・ウォリアー主体のチームを組む。


実際彼らは予選を突破し、番組最終回の決勝に進む。私は優勝は彼らがいるチームのどちらかだろうと思っていたのだが、あにはからんや勝ったのは、ザ・カムバック・キッズというチームだった。やはり即席のチームよりは、それ専門に訓練して備えてきたチーム方が強かった。この種のチーム・スポーツは、今後も隆盛になることが予想される。そのうちオリンピックの正式種目になるかもしれない。












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American Ninja Warrior All Stars

アメリカン・ニンジャ・ウォリアー・オール・スターズ   ★★★

Spartan: Ultimate Team Challenge

スパルタン: アルティメット・チーム・チャレンジ   ★★1/2

 
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