ストロング   Strong

放送局: NBC

プレミア放送日: 4/13/2016 (Wed) 21:00-23:00

製作: 25/7プロダクションズ

製作総指揮: シルヴェスタ・スタローン、デイヴ・ブルーム

ホスト: ゲイブリエル・リース


アメリカン・グリット   American Grit

放送局: FOX

プレミア放送日: 4/14/2016 (Thu) 21:00-22:00

製作: レフトフィールド・ピクチャーズ

製作総指揮: ジョン・クロール、ジョン・シナ

ホスト: ジョン・シナ


内容: 勝ち抜きのフィットネス・体力勝負リアリティ。


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元々アメリカには「アメリカン・グラディエイターズ (American Gladiators)」という体力勝負リアリティが既に存在していた。しかし東京放送の「サスケ (Sasuke)」こと「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー (American Ninja Warrior: ANW)」の登場は、この手の体力勝負型リアリティを一変させた。


「アメリカン・グラディエイターズ」は、体力勝負とはいえレクリエイション・ゲームに毛が生えた程度のものでしかなかったが、ANWは、それをもっとシリアスに、コンペティティヴな競技へと一変させた。元々競争が好きで、なんにでも優劣を決めたがるお国柄でもある。よく考えると、なんでANWがアメリカ生まれでないのか不思議なくらいだ。


そういうANWマインドをさらに敷衍させて生まれたのに違いないのが、「ストロング」と「アメリカン・グリット」だ。両番組ともANWと直接の関係があるわけではないが、障害物の有り様とか、見ているとANWの影響を受けているのは明らかと思える。


「ストロング」は一人が男性トレイナー、もう一人が体重過多気味の女性参加者のペアにして、勝ち抜き体力勝負系減量リアリティの体裁をとっている。NBCの勝ち抜き減量リアリティ「ザ・ビギスト・ルーザー (The Biggest Loser)」+ ANW ÷ 2 といった感じだ。単純に減量勝ち抜きと言えないのは、ほとんどの女性が体重過多とはいえ、全員が全員肥満とは言いかねる、普通という感じの女性もいるからだ。要するにポイントは身体を鍛えて絞り込むという点にあるため、必ずしも太り気味の女性ばかりを選んでいるわけではない。


減量勝負ではないため、毎回減量に成功した量で追放する者を決めるのではなく、番組内の体力勝負で、最下位になったペア、およびその勝負で勝ったペアが選んだペア同士が、最後に様々なアクティヴィティが詰まったエリミネイション・タワーで一騎打ちをして去る者を決める。


特にこの最後の障害物競争が、ANWを彷彿とさせる。どちらかというと、障害物というよりは子供の遊具に近い、ちょっと面白そう、こっちもやってみたいという感じのものなのだが、そこはそれ、なんせ体重が体重なので、参加者にとってはどれも簡単には克服し難い。懸垂どころか、鉄棒にただぶら下がるというだけでも結構難儀する者もいる。雲梯で子供のようにぱっぱと端から端に移動できるわけではない。最初のエピソードでは、どうしてもこの雲梯にぶら下がって移動できず、必ず途中で落ちてしまう女性が追放された。


一方の「アメリカン・グリット」は、かなりミリタリーを意識した番組作りになっている。参加者16人は4人ずつ4つのチームに分かれ、それぞれ軍経験者のチーム・リーダーがつく。チームは軍における訓練を模した施設やトレイニングを経験させられ、チーム全体による、例えば丸太運びのような競技で優劣を競う。


それに勝った以外のチームからそれぞれ一人ずつがチーム・リーダーによって選ばれ、塀をよじ登ったり網の下をくぐり抜けたり丸太の一本橋を渡ったりする、いかにも軍のトレイニングを模したような競技、さらにその後の耐久勝負で、その回の負けチームを決める。


耐久勝負はANWというよりもCBSの「サバイバー」で、時には何時間も同じことをし続ける、あるいは何もし続けないという、あれだ。ここではロープの先にくくりつけられた砂袋を、ただずっとロープを持って支え続ける。こういう単純作業、いや、作業ですらないことの維持が実はとても難しいというのは、「サバイバー」を見たことがある者ならよくわかるだろう。筋力体力よりも、ここで最も必要になるのは意志の力であって、男性だからというアドヴァンテイジは、ここにはない。実際彼らは同じ場所で動かないまま1時間以上も耐え続け、最初に耐えられなくなってロープを放して追放されたのは、それまでは自分が最も優れていると自信過剰で鼻についたフィットネス・トレイナーの男だった。


番組参加者は「ストロング」と違って、身体をシェイプアップするとか自己鍛錬するとかではなく、最初からミリタリー系の体力勝ち抜き勝負で勝つつもりで来ている。実際に元軍関連勤務者だとかもいる。普通の家庭の主婦っぽい者もいるが、圧倒的に自信家の方が多く、そういう奴らがエゴむき出し自信満々で、最初から優勝するつもりで参加している。アクティヴィティの部分だけを見ると、やはり最も近いのは、「サバイバー」だ。


「ストロング」の製作総指揮はシルヴェスタ・スタローンで、「アメリカン・グリット」の製作兼ホストはWWEのジョン・シナだ。スタローンはさすがに名前を貸しただけと見え、宣伝には努めても番組内に姿を現すわけではない。ホストを担当しているのは元バレーボール・スターのゲイブリエル・リースだ。どちらを面白いと感じるかは人それぞれだろうが、私としてはアクティヴィティの多様さで「ストロング」の方が面白いかな。











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Strong

ストロング   ★★1/2

American Grit

アメリカン・グリット   ★★1/2

 
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