ザ・ブラックリスト: リデンプション   The Blacklist: Redemption 

放送局: NBC 

プレミア放送日: 2/23/2017 (Thu) 22:00-23:00 

製作: デイヴィス・エンタテインメント、ユニヴァーサルTV 

製作総指揮: ジョン・ボーケンカンプ、ジョン・アイゼンドラス 

出演: ファムケ・ヤンセン (スーザン・「スコッティ」・ハーグレイヴ)、ライアン・エッゴールド (トム・キーン)、エディ・ガテギ (マティアス・ソロモン)、タイニー・サイプレス (ネズ・ローワン)、エイドリアン・マルティネス (デュモン)、セオドラ・ミラン (キャット・カールソン)、テリー・オクイン (ハワード・ハーグレイヴ) 

 

物語: トム・キーンに物故した父の財産分与の件でニューヨークに来るよう連絡が入る。しかしニューヨークに来たトムを待っていたのは、その死んだはずの父ハワードだった。ハワードはトムにスコッティが采配するグレイ・マターズ社でスコッティが何を考えているか探るよう要請する。トムはスコッティのチームと共に、誘拐されたCIAエージェントを奪回する任務に参加する。 


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The Blacklist: Redemption


ザ・ブラックリスト: リデンプション  ★★1/2

だいたい、いつの時代でも過去の映画のヒット作、TVの人気番組のリメイク・スピンオフは結構ある。昨秋もFOXの「エクソシスト (The Exorcist)」、「リーサル・ウェポン (Lethal Weapon)」、CWの「フリークエンシー (Frequency)」、ネットフリックスの「ギルモア・ガールス (Gilmore Girls)」等があった。しかし、年明けて2月には、アクションTV/映画のリメイク・スピンオフがさらに投入され、こんなに二番煎じの番組だらけでいいのかと思わされた。 

 

「トレーニング・デイ (Training Day)」CBS   2/2 (Thu) 22:00-23:00 

「24: レガシー (24: Legacy)」FOX   2/5 (Sun) 22:00-23:00 

「ザ・ブラックリスト: リデンプション (The Blacklist: Redemption)」NBC   2/23 (Thu) 22:00-23:00 

「96時間 ザ・シリーズ (Taken)」NBC   2/27 (Mon) 22:00-23:00 

 

「トレーニング・デイ」は、デンゼル・ワシントンが悪徳刑事に扮してオスカーを獲得した作品。今回は悪徳刑事役がビル・パクストン、新米刑事にジャスティン・コーンウェルと、白人と黒人の位置が逆転している。先頃そのパクストンが死去したため、これが遺作となってしまった。 

 

キーファー・サザーランド主演でヒットした「24」は、別主人公に設定を替えての新シリーズが始まった。これまた主人公が白人から黒人のコーリー・ホウキンスに代わっている。サザーランドは現在CBSで「デジグネイテッド・サヴァイヴァー (Designated Survivor)」に主演しているため、ジャック・バウアーがたとえカメオ出演でも顔を出すことはなさそうだ。 

 

「ザ・ブラックリスト: リデンプション」は、オリジナルの「ザ・ブラックリスト」がNBCで始まったのが2013年だから、これらの番組の中では最も新しい人気番組のスピンオフだ。同様にリーアム・ニースン主演の近年のヒット・シリーズ、「96時間 (Taken)」のTVシリーズも始まった。 

 

実はしかもこれで終わりではない。 

 

「プリズン・ブレイク (Prison Break)」FOX   4/4 (Tue) 21:00-22:00 

「ツイン・ピークス (Twin Peaks)」ショウタイム   5/21 (Sun) 21:00-23:00 

 

と、その後もかつての人気番組のリメイクが放送されている。あるいは、「プリズン・ブレイク」、「ツイン・ピークス」共にオリジナル・キャストを用いての続編だから、リメイクではなく、単に新シーズンと言えるかもしれない。「ツイン・ピークス」に至っては、26年振りの新シーズンだ。しかしオリジナル・シリーズも最後は時を超越したような話だったから、これはこれで構わないのか。 

 

いずれにしても、かつての人気に再度あやかろうという意図は同じだ。そして、始まったばかりでまだどうなるかわからない「ツイン・ピークス」を別にすれば、どの番組も大した成績は収めていない。主演俳優が死去したために新シーズンを作りたくても作れない「トレーニング・デイ」を別にして、これまで新シーズン製作が発表になったのは「96時間」だけで、「リデンプション」は、実は既にキャンセルが発表になっている。 

 

とはいえ、個人的には私は「リデンプション」が最も気になった。理由は幾つかある。まずオリジナルの「ブラックリスト」同様、ミステリ色の強いところが好みだったし、アクションもいい。アクションだけに限ると上記番組は皆それぞれTVとしてはかなりよくできていると思うが、「リデンプション」の場合、血も涙もないソロモンに扮するエディ・ガテギの存在が、アクションをもっと印象的なものにしている。 

 

共演のファムケ・ヤンセンもいい。ヤンセンといえばオリジナルの「96時間」のニーソンの妻レノーアだったものが、その「96時間」のリメイクではなく、「リデンプション」に出ている。「96時間」では既に殺されているし、TVの「96時間」はニーソン演じる主人公ブライアン・ミルズの若い時代を描くものだから、今さら若作りして出るわけにもいかないか。トムの父親役として、かつてのABCの人気超常ミステリ・ドラマ「ロスト (Lost)」のテリー・オクインが出ているのにもにやりとさせられる。 

 

番組第1回はオリジナルの「ブラックリスト」からの続きになっていて、トムだけじゃなく、妻で「ブラックリスト」主人公のリズも顔を出す。それはいいんだが、私は第1シーズン以降「ブラックリスト」はほとんど見なくなっていたので、二人が夫婦として仲よく暮らしていて、子供までいることにちょっと驚いた。「ブラックリスト」の第1シーズンでは、夫婦とはいえダブル・エージェントぽかったトムがリズをいきなり死角から殴り倒すなんてシーンがあったし、今シーズンは結構見ているのだが、ミスター・キャプランねたで推移していて、ほとんどトムの出番がないので (当然「リデンプション」を撮っていたからだろうが)、夫婦仲が収まっていたことを知らなかったのだ。 

 

そのトムに、死んだ彼の父の遺産配分のようなものがあるからニューヨークに来るよう連絡が入る。ニューヨークに着いた途端、街角のペイ・フォンが鳴って、それをとったトムは、どこそこに行くよう告げられる。 

 

えっと思った。ペイ・フォンって、今時まだあるのかと思って、うちのオフィスの窓から下を見下ろすと、確かにある。仕事の帰りがけに周りを見渡すと、実はあちらにもこちらにも結構まだペイ・フォンは残っている。とはいえ私を含め、人々はスマートフォンを持っているので、実際に誰かがペイ・フォンを使っているのなんて、街中ではこの数年見たことがない。それどころかペイ・フォン自体が視界には入ってもまったく認識されないものだから、ペイ・フォンが街中にまだ幾つもあるということすら忘れていた。 

 

それがトムがニューヨークに来た早々いきなりペイ・フォンから連絡入れられるものだから、びっくりした。1971年の「ダーティハリー (Dirty Harry)」でクリント・イーストウッドがペイ・フォンで振り回されたように、2017年のニューヨークでトムがペイ・フォンで指示される。半端じゃないIT技術を持っているのだ、やろうと思えば痕跡を残さずトムのスマートフォンに電話なりテキストなりを入れられると思うが、わざわざペイ・フォンを使ったのは、ダーティ・ハリーへのオマージュか。今でもペイ・フォンが主要な連絡手段だったとしたら、FOXの「24」でジャック・バウアーが活躍する道はないな。因みにペイ・フォン、実際にちゃんとまだ使えるのか、本当はただの街角のオブジェ化しているだけなんじゃないのかと思って、受話器を手にとって耳に当ててみたら、ちゃんとツーという通話音が聞こえた。使えるんだ。 










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