ライヴ・ウィズ・ケリー・アンド・ライアン   Live with Kelly & Ryan

放送局: ABC

プレミア放送日:  5/1/2017 (Mon) 9:00-10:00

製作: WABC

ホスト: ケリー・リパ、ライアン・シークレスト


内容: 国民的朝のトーク・ヴァラエティ「ライヴ」の新生第1回。


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Live with Kelly & Ryan


ライヴ・ウィズ・ケリー・アンド・ライアン  ★★1/2

ABCの朝のトーク・ヴァラエティ・ショウ「ライヴ・ウィズ・ケリー・アンド・マイケル (Live with Kelly and Michael)」における、共同ホストの一人マイケル・ストレイハンの昨年の電撃番組離脱は、結構大きな波紋を巻き起こした。


元々2012年にストレイハンが番組共同ホストに決まった時、情報だだ漏れで、正式発表の何か月も前から周囲は全員次期ホストはストレイハンと知っていたものを、関係者は本人も含め知らない振りをして過ごすという、甚だ居心地の悪い環境で過ごさざるを得なかった。


その時に強く学習したストレイハンは、今度は自分がABCの朝の基幹番組である「グッド・モーニング・アメリカ (Good Morning America)」共同ホストに内々で決まった時、今度は徹底して部外秘を貫いた。相談くらいはしてもよさそうな「ライヴ」共同ホストのケリー・リパにも、一言も話さなかった。


このことがいかにリパの気持ちを傷つけたかは、想像に難くない。ある日突然、自分は何も知らないのに、マスコミからストレイハンが辞めるに当たって今のお気持ちは、なんて訊かれても、返答のしようがないだろう。リパがいかにこの逆境を乗り切ったかは前回の「ライヴ」について書いた項を参照してもらうとして、さて、今度は新たなリパの相方を探さなければならない。


「ライヴ」の新ホスト探しは、伝統的に長い時間をかける。2001年にそれまでホストを務めていたキャシー・リー・ギフォードが辞め、その後継ぎにリパが決まった時も、そのリパの相方のリージス・フィルビンが辞め、新しい相方としてストレイハンが決まった時も、共に1年くらいの時間をかけて、臨時ホストをとっかえひっかえしながら気長に候補を狭めていった。


そしてそのスタイルは今回も変わらない。マスコミも慣れてしまって、今回はストレイハンが決まった時のように騒ぎ立てることもなく、まあ、時折り、次の共同ホストは誰か、みたいな予想はするが、特に騒ぎ立てることもなく時間は過ぎた。


その予想で、高い確率でどの媒体からも候補として挙げられ、同様にしかし実現の可能性はほとんどないだろうと目されていたのが、リパの盟友で、それまでに何度も臨時ホストとして登場しているアンダーソン・クーパーだ。しかしクーパーの場合、既にCNNで毎夜編成の自身のニューズ・ショウ「アンダーソン・クーパー360 (Anderson Cooper 360)」を持っており、さらに毎朝のトーク・ショウというのは、どう考えても現実味がなかった。リパは本気でクーパーを相方に欲したらしいが、どだい無理な話だった。


クーパー以外にも、フレッド・サヴェジ、ジェリー・オコネル、アンディ・コーエン、ジョシュ・グローバンといった名前も取り沙汰されたが、どれも帯に短し襷に長しという感じだった。かれこれ1年臨時ホストが続き、いい加減人々が話題にもしなくなった4月最終週、ついにリパが翌月曜に重大発表があるとツイート、もちろん新共同ホストの発表だ。それにしてもストレイハンが共同ホストの「ライヴ」の最終回が昨年5月13日だった。もう1年も経ったのか。


そして5月1日のエピソードで、幕が上がりリパと手を繋いで新共同ホストとしてステュディオに登場したのは、ライアン・シークレスト。昨年最終回を迎えたFOXの、一時期の、いやアメリカ最大の人気番組だった「アメリカン・アイドル (American Idol)」のホストだった、あのシークレストだ。後ろのロゴも、ちゃんとそれまでの「ライヴ・ウィズ・ケリー (Live with Kelly)」から「ライヴ・ウィズ・ケリー・アンド・ライアン (Live with Kelly and Ryan)」に代わっている。


シークレストはそれまでにも「ライヴ」で共同ホストを何度か担当しており、今回も次期正ホスト候補として名前を挙げている媒体もあった。10年以上「アイドル」のホストを担当した男だ。少なくともその技術や資質に異議を挟む媒体はない。それでも特にシークレストが本命と見られていたわけではなかった理由としては、彼には既にクーパー同様、自身がホストの、この場合はラジオ番組があったことが挙げられる。


しかもシークレストの場合、彼がホストの「アメリカン・トップ・フォーティ (American Top 40)」および毎朝放送の「オン・エア・ウィズ・ライアン・シークレスト (On Air With Ryan Seacrest)」はLAからの生放送であり、無理があるどころか完全にスケジュールがバッティングする。これらの番組を蹴ってまでシークレストが「ライヴ」に固執するとは思えなかった。


これに光が射したのは、シークレストのラジオ番組を、ニューヨークのABCのステュディオから放送するという可能性が示唆されたからだ。シークレストが、そこまで優遇されたり譲歩されるほど重宝されているとは知らなかった。いずれにしてもこれでシークレストがニューヨークからラジオ番組を放送する道が拓けた。なんといっても世界的人気番組「アメリカン・アイドル」のホストだった男だ、知名度としてはこれ以上望むべくもない。そのため、その後はとんとん拍子に話は運んだらしい。


シークレストは番組の冒頭、そういった経緯や関係者への謝辞を述べる。そして栄えある新「ライヴ」最初のゲストは、クリス・プラット。もちろん「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス (Guardians of the Galaxy Vol. 2)」公開に合わせての出演だ。この週は、プラット以外にも、火曜がカート・ラッセルと「NYボンビー・ガール (2 Broke Girls)」のベス・ベアーズ、水曜がゾーイ・ザルダナとジェフ・ガーリン、木曜がリチャード・ギアと「ワンス・アポン・ア・タイム (One Upon a Time)」のラナ・パーリラ、および音楽ゲストのプリンス・ロイスと、約半分を「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」関係が占めた。両方にとっていい宣伝になったろう。


第1回の最後には、逆さまに積み重ねられたプラスティック・カップをピラミッド型に積み上げて展開し、また元に戻す速さを競う、いわゆるスタッキングと呼ばれる競技の子供のチャンピオンをステュディオに呼んで、リパとシークレストが一緒にプレイする。こういう体験コーナーは、古くはフィルビン、ストレイハン時代からもリパがよくやっていた。要するにホストは代替わりしたが、基本的にやっていることは以前とほとんど変わらない。あとはホストのパーソナリティと、しゃべりの技術次第というところだろう。というか、シークレストの体力次第という気もしないではない。










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