2 Broke Girls   NYボンビー・ガール (トゥ・ブロウク・ガールズ)

放送局: CBS

プレミア放送日: 9/19/2011 (Mon) 21:30-22:00

製作: ワーナー・ブラザースTV

製作総指揮: マイケル・パトリック・キング

出演: キャット・デニングス (マックス・ブラック)、ベス・ベアーズ (キャロライン・チャニング)、ギャレット・モリス (アール)、ジョナサン・カイト (オレグ)、マシュウ・モイ (ハン・リー)


物語: ブルックリンの下町生まれのマックスは、将来カップケーキ屋を開店させることを夢見て、毎日レストランのウエイトをして働いている。しかし男運は悪く、レストランのお客も従業員も柄が悪い奴らばかり。同僚ウエイトレスは就業時間中に男とバック・ルームにしけこんでクビになり、代わって採用されたキャロラインは、親の詐欺がばれて無一文になった元大金持ちの娘で、ウエイトなど生まれてから一度もやったことがないのだった‥‥


Whitney   ホイットニー

放送局: NBC

プレミア放送日: 9/22/2011 (Thu) 21:30-22:00

製作: スチューバーTV、ユニヴァーサル・メディア・ステュディオス

クリエイター/製作総指揮/脚本: ホイットニー・カミングス

出演: ホイットニー・カミングス (ホイットニー)、クリス・デリア (アレックス)、ゾーイ・リスター・ジョーンズ (リリィ)、モーリク・パンコリー (ニール)、ダン・オブライエン (マーク)、レア・シーホーン (ロクサーヌ)


物語: カメラマンのホイットニーとボーイフレンドのアレックスは、籍を入れずに3年間気ままにハッピーで一緒に暮らしている。ホイットニーとアレックスは知人の結婚式に呼ばれるが、毎度のことながら何事も無事に終わるわけがなく‥‥


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今シーズンの新番組、特にコメディ/シットコムの特長は、男性対女性番組の対決という構図にある。あるいは端的に、女性番組優位と断言してもいいかもしれない。もちろんこれまでにも男性が主人公の番組も女性が主人公の番組も数多くあった。家族やカップルを主人公とする番組だって今シーズンもいくつもある。しかし今シーズンほど女性が主人公の番組が幅を利かせているシーズンは、近年では記憶にない。


この印象は、対する男性が主人公のコメディにおいて、それらの男性主人公がやけに女々しかったり元気がなかったり、あるいは必要以上にマッチョであることで、さらに増長される。例えば、ABCの「マン・アップ! (Man Up!)」は、いい歳して家庭もあるのに、暇な時はオンラインでゲームばかりしている3人の男性が主人公だ。自ら積極的に外の世界に踏み出そうとはせず、半分引きこもりに近い。


「ラスト・マン・スタンディング (Last Man Standing)」では、ティム・アレン演じる主人公はアウトドア派で、釣りや狩りをしてでかい魚を釣果としてお土産に持ってくるタイプだが、そうやってオレはワイルドで野性味があるんだぞ、みたいな姿勢を強調しようとすればするほど、今やアメリカの男は追い込まれているんだな、みたいな印象を持ってしまう。


こういう画一的とも見える男性主人公に対し、女性主人公は元気がいい。むろん彼女らだって逆境にいたりするが、それにしなやかに反発する。CBSの「トゥ・ブロウク・ガールズ」の場合、「二人の金のない女の子」というタイトルが端的に物語っている通り、一人は生まれてこの方ロウアー・クラスから脱出したことがない女性と、金持ちの家に生まれたが、親が詐欺で捕まってしまい一文無しになってしまった女性の二人が主人公だ。その二人がカップケーキの店を開くことを目標に力を合わせる。


NBCの「ホイットニー」は、もちろん主人公の名前だが、実はこの番組、彼女一人だけでなく、ホイットニーとボーイフレンドがほとんど同じくらい画面に出てくる。これでなんでタイトルが「ホイットニー&アレックス」じゃないのかと一瞬思うが、しかし、確かに番組を見た後で記憶に残っているのはホイットニーの方だけなのだ。かつてジェナ・エルフマンとトマス・ギブソンが主演した「ダーマ&グレッグ (Dharma & Greg)」で、実は「ダーマ&グレッグ」とは名ばかりで、番組はダーマを演じるエルフマンが実質的主人公であったのと同じだ。


ついでに言ってしまうと、カップル・コメディのNBCの「アップ・オール・ナイト (Up All Night)」の方でも、主人公はカップルのはずだが、見終わって後で記憶に残っているのはクリスティーナ・アップルゲイトの方ばかりで、旦那のウィル・アーネットは影が薄い。「フリー・エージェンツ (Free Agents)」は記憶に残る残らない以前の問題であっという間にキャンセルされてしまったし、今シーズンのコメディで、今のところ唯一記憶に残る男性キャラクターを演じているのは、ABCの「サバーガトリー (Suburgatory)」で年頃の女の子の子育てにてこずる男親を演じている、ジェレミー・シストだけと言っても過言ではないだろう。それとて娘の机を探ってみたら、コンドームが出てきたので慌てて郊外に引っ越してあれこれ再教育を画策するという、やはり女の子に振り回される男親の役だ。それにしてもなんでここまで男は立つ瀬がない?


実はシーズンが始まる前までは、私が最も興味を持っていたコメディは、「(500) 日のサマー ((500) Days of Summer)」で思う存分魅力を発揮したゾーイ・デシャネルが主演する、FOXの「ニュー・ガール (New Girl)」だった。同じくFOXで姉のエミリー・デシャネルが主演している「ボーンズ (Bones)」が放送されているということもあり、姉妹で活躍するという構図がメディアからも注目されていた。


「ニュー・ガール」でゾーイが演じるのは、ピントの外れた前向きの女の子で、手ひどく振られてほとんど呆然自失状態になるのだが、持ち前の楽天的な性格で前に進もうとする。要するにかなり「(500) 日のサマー」の主人公、サマーに近い。というか、「ニュー・ガール」は、「サマー」から派生したキャラクターというのが自然だろう。むろんゾーイ自身もかなりそういうキャラだと思われる。考えたらエミリーが「ボーンズ」で演じているのも、やはりちょっと常識外れの、しかし専門分野では図抜けた能力を持つ研究者という設定だ。二人して天然だ。姉妹なんだな。


「ニュー・ガール」は、まあ決して面白くないわけではないが、実は私の場合、ああ、こんな子いるよねという感じで、それ以上感情移入するまでには至らなかった。既に「サマー」を見ていたことも理由の一つと言える。一方、「トゥ・ブロウク・ガールズ」と「ホイットニー」は、意外と面白く感じた。


「トゥ・ブロウク・ガールズ」の場合、一応主人公は二人いるが、より重点が置かれているのが、ロウアー・クラスからの成り上がりを期するマックスだ。ブルックリンの決して柄がいいとは言えない場所のレストランで、柄のよくない客どころか、柄のよくない従業員や中国系に代わったばかりのオーナーを相手に、ウエイトレスとして毎日やり合っている。働いているというより戦っているという感じで、しかも仕事は掛け持ちでこなしている。自然言葉使いは荒いし態度も荒い。そんじょそこらの男だと、まず言葉でも態度でも歯が立たない。そういう役にキャット・デニングスがよくはまっている。


「ホイットニー」でタイトル・ロールを演じるホイットニー・カミングスは、これまでまったくと言っていいほど無名だったのに、今秋、あっという間に売れっ子になった。「ホイットニー」を自作自演しているだけでなく、実は何を隠そう「トゥ・ブロウク・ガールズ」のクリエイターもカミングスなのだ。道理で両番組共にわりとブルー・カラーというか下ネタ系のギャグが多いと思った。同じ人間が作っているわけだから当然だ。それにしてもいきなり大ブレイクだ。


コメディだから特に容姿が重要視されているわけではないとはいえ、カミングスもデニングスも明らかにドラマの主人公向きの容姿ではない。デニングスはこちらではともかく日本人の感覚から見たら明らかに体重過多で、こんなスタイルで短いスカート穿くなと言いたくなるし、一方のカミングスは逆にこの人、拒食症かと思われかねない。


ところが二人とも、いったん番組を見始めると、それがチャーミングに見えるのだ。キャラクターにあっているからだろう。カミングスの場合、特にほとんど私生活の自演に近いところがあるだろうから、それも当然と言える。こういう癖のある女の子たちに囲まれて、今シーズンの男たちは本当に影が薄い。








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2 Broke Girls

NYボンビー・ガール (トゥ・ブロウク・ガールズ)   ★★1/2

Whitney

ホイットニー   ★★1/2

 
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