ロウ&オーダー: オーガナイズド・クライム (Law & Order: Organized Crime)   

放送局: NBC  

プレミア放送日: 4/1/2021 (Thu) 22:00-23:00   

 

物語: 性犯罪特捜班のオリヴィア・ベンソン (マリスカ・ハーギテイ) に告げぬままニューヨークに帰っていたエリオット・ステイブラー (クリストファー・メローニ) は、ニューヨークでNYPDと共同で犯罪組織を撲滅するという新しい任務に就いていた。ステイプラーを狙ったクルマの爆破で誤って妻のキャシーが犠牲となり、事故現場でベンソンとステイプラーは再会を果たす‥‥


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Law & Order: Organized Crime


ロウ&オーダー: オーガナイズド・クライム

「オーガナイズド・クライム」は、多作プロデューサーのディック・ウルフが製作する、「ロウ&オーダー」フランチャイズの最新シリーズだ。これまでに下記のスピンオフ番組が製作されている。 

 

「ロウ&オーダー (Law & Order)」1990 

「ロウ&オーダー: 性犯罪特捜班 (Special Victims Unit: SVU)」1999 

「ロウ&オーダー: クリミナル・インテント (Criminal Intent: CI)」2001 

「ロウ&オーダー: 陪審評決 (Trial by Jury: TBJ)」2005 

「ロウ&オーダー: LA (Law & Order: LA)」2010 

「ロウ&オーダー: トゥルー・クライム (Law & Order True Crime)」2017 

 

当初オーセンティックなニューヨークの雰囲気をとらえることで定評のあったフランチャイズだが、後期には西海岸に舞台を移したり、「トゥルー・クライム」ではシーズンを通して、かつて全米が注目したメネンデス兄弟による父親殺害事件を描くなど、これまた定着している一話完結型のスタイルにはとらわれなくなっている。 

 

ウルフには現在、シカゴを舞台にする「シカゴ・ファイア (Chicago Fire)」を筆頭とするシカゴ・フランチャイズがあり、だんだん仕事の場をシカゴに移していくものかと思われたが、3年前にはまたニューヨークを舞台に戻して新シリーズ「FBI (FBI)」を製作、昨年からはスピンオフの「FBI: モスト・ウォンテッド (FBI: Most Wanted)」も放送が始まった。 

 

ただし、舞台がほぼニューヨークもしくはその近郊に限られる「FBI」に対し、全米に点在する指名手配犯を追う「モスト・ウォンテッド」の場合、舞台はニューヨークだけに限らない。ジュリアン・マクマホン扮する主人公が住む家は、アメリカのどこにでもある田舎町の一軒家という感じだ。 

 

そして「オーガナイズド・クライム」は、「ロウ&オーダー」フランチャイズというよりは、「性犯罪特捜班」のスピンオフという方がしっくり来る。「ロウ&オーダー」は2010年に最終回を迎えているが、その時既に20シーズンを数える長寿番組だった。現在では「性犯罪特捜班」がその衣鉢を継いでおり、現在、アメリカTV史上最長寿ドラマ番組としての記録を更新中だ。 

 

「オーガナイズド・クライム」主人公のエリオット・ステイブラーは、「性犯罪特捜班」で、オリヴィア・ベンソン刑事と共にニューヨークの性犯罪を捜査する刑事だった。しかし演じるクリストファー・メローニは、第12シーズンをもって番組を降板した。ギャラで揉めたせいと言われている。 

 

この時ステイブラーは、シーズン・フィナーレで容疑者を撃って翌シーズンからいきなり番組からいなくなった。さらにステイブラーとベンソンは表には出ない恋愛関係のような状態であったため、いきなりステイブラーがいなくなるという状態が消化不良という感は否めなかった。 

 

「オーガナイズド・クライム」は、既に第22シーズン! 放送中の「性犯罪特捜班」とのクロスオーヴァー・エピソードとして放送が始まった。まず夜9時からの「性犯罪特捜班」第9話「リターン・オブ・ザ・プロディガル・サン (Return of the Prodigal Son)」で、クルマの襲撃事件が起きた現場に向かったベンソンは、大怪我を負ったのはステイブラーの妻キャシーだったことに気づき、そこでステイブラーと再会する。ステイブラーは実はイタリアで組織犯罪撲滅ユニットで働いていて、乞われてニューヨークに戻っていたことが判明する。結局キャシーは助からなかった。 

 

ここまでが「性犯罪特捜班」で、続く10時から始まった「オーガナイズド・クライム」では、ニューヨークで組織犯罪撲滅ユニットで働き始めたステイブラーを描く。番組はシーズンを通してイタリアン・マフィア組織を追うという体裁で、そのボス、リチャード・ホイートリーにディラン・マクダーモットが扮している。なんか、いつの間にやら悪役の方が多くなった気がする。 

 

その他、ステイブラーの上司兼パートナーのアヤナ・ベルにダニエル・モネ・トゥルーイット、リチャードの元妻アンジェラ・ホイートリーにFOXの「ボーンズ (Bones)」のタマラ・テイラーが扮している。番組第1回ではゲストとしてリチャードの父役でチャズ・パルミンテリががちがちのレイシストという役柄で出ており、なにやら楽しい。 

 

番組第1回は当然「性犯罪特捜班」とのクロスオーヴァーであるからベンソンも出てくるが、性犯罪主体で1話完結型の「性犯罪特捜班」と「オーガナイズド・クライム」は、やはり肌触りが違う。そのため、今後両番組で話がクロスオーヴァーする展開にはあまりならないと思う。 

 

というか、同様に1シーズンをかけて一つの話を追った「トゥルー・クライム」のように、「ロウ&オーダー」フランチャイズで長い時間をかけて一つの話を追うという展開に、番組ファンは慣れていない。「ロウ&オーダー」フランチャイズがそもそも長寿番組となり得たのも、いつ見ても一つの話が60分で話が完結してくれるからという番組体裁が、視聴者のライフスタイルに合っていたという部分も大きい。「シカゴ」フランチャイズも、「FBI」フランチャイズもその轍を踏んでいる。 

 

果たして「オーガナイズド・クライム」に第2シーズンはあるかというのは難しいと思う。実は「オーガナイズド・クライム」が1シーズンでキャンセルされ、来季からステイブラーが「性犯罪特捜班」に復帰するという線もあり得ると、個人的には思っているのだが。 

 

 

追記 (2021年5月) 

上で今後「オーガナイズド・クライム」と「性犯罪特捜班」のクロスオーヴァーはあまりありそうもないと言っていて、先頃TVを見ていたら、そのクロスオーヴァー・エピソードの番宣をしていた。意外に製作者はその気でいたようで、そういう路線も常に意識していたようだ。視聴率さえ稼げれば、案外クロスオーヴァーも交えながら今後も続いていくのかもしれない。 

 


 











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