Katie   ケイティ 

放送局: シンジケーション (NY地域ではABC) 

プレミア放送日: 9/10/2012 (Mon) 15:00-16:00 

製作: ABCドメスティックTV 

製作総指揮: ケイティ・コーリック、ジェフ・ズーカー 

ホスト: ケイティ・コーリック 

 

内容: ケイティ・コーリックがホストを務める日中トーク・ショウ


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Katie


ケイティ   ★★1/2

アメリカのネットワーク系列では、日中のTVはシンジケーションのトーク・ショウ、疑似法廷ショウ、ゲーム・ショウが基本だ。これにネットワーク系列のソープ・オペラを合わせた4つのジャンルで、日中はほとんどの時間帯が埋まる。今秋の新シーズンは、そのシンジケーション新番組のほとんどがトーク・ショウだった。 

 

 

「スティーヴ・ハーヴィ (Steve Harvey)」9/4/2012 (Tue) 15:00-16:00 

「ジェフ・プロスト (Jeff Probst)」9/10/2012 (Mon) 14:00-15:00 

「ケイティ (Katie)」9/10/2012 (Mon) 15:00-16:00 

「ザ・リッキ・レイク・ショウ (The Ricki Lake Show)」9/10/2012 (Mon) 16:00-17:00 

 

 

スティーヴ・ハーヴィは黒人コメディアンで、現在これまたシンジケーションのゲーム・ショウ「ファミリー・フュード (Family Feud)」(「クイズ100人に聞きました」のオリジナル) で何代目かのホストを担当している。ジェフ・プロストは、もちろんCBSの「サバイバー (Survivor)」のホストでもある。「ケイティ」は、昨年までCBSの「イヴニング・ニューズ (Evening News)」でアンカーを担当していたケイティ・コーリックがホストだ。リッキ・レイクは、これまでにもシンジケーションで1998年から2004年まで続いたトーク、「リッキ・レイク (Ricki Lake)」のホストを務めていた。 

 

今季、シンジケーションにおいてトークが注目された最大の理由は、やはり先シーズン、トークの女王オプラ・ウィンフリーがホストを務めていた「オプラ (Oprah)」が最終回を迎えたことが大きい。その後を継ぐのは、下馬評ではエレン・デジェネレスの「エレン (Ellen)」が最右翼で、実際成績もそれを証明している。多少毛色が違うとはいえ、やはりトークの「ドクター・フィル (Dr. Phil)」は、単純に視聴率だけを見ればトップだ。しかし、それでも混戦模様になったこのジャンルには、まだまだ新番組が参入する余地がある。そのため、多少はすいている今のうちに番組を確立しておこうと、新トークが名乗りを上げた。 

 

ハーヴィは「ファミリー・フュード」のホストになったことで知名度を大きく上げたし、今でもネットワークで人気の勝ち抜きリアリティ・ショウの一つである「サバイバー」ホストのプロストの名は、アメリカ人なら誰でも知っている。リッキ・レイクは、実は彼女は、ジョン・ウォーターズ演出のカルト「ヘアスプレー (Hairspray)」で主人公を演じた、あのデブなのだ。 

 

私は最初レイクを見た時、彼女があの「ヘアスプレー」のトレイシーだとは夢にも思わず、後で事実を知って非常に驚いた。一時は120kg以上あったそうだが一念発起して痩せ、そういうバック・グラウンドを基にセルフ・ヘルプを基調としたトーク・ショウのホストとなり、成功した。最近ではABCの「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ (Dancing with the Stars)」にも出ている。 

 

それらのヴェテランが集う秋の新シーズンではあったが、しかし、その中でも知名度、注目度、共に最も大きかったのは、やはりコーリックがホストの「ケイティ」だ。 

 

コーリックは1991年から2006年までNBCの朝のニューズ/トーク番組「トゥデイ (Today)」のホストとして、アメリカの朝に君臨し続けた。まぎれもなく一時代を画した顔だ。その後、CBSの「イヴニング・ニューズ」のアンカーを2011年まで務めた。さすがにワールド・ニューズは朝のトークとは勝手が違い、低迷する「イヴニング・ニューズ」に活を入れるに至らず昨シーズン番組を去ったが、しかしネットワークのワールド・ニューズ史上初の女性単独アンカーという肩書きは、永遠に彼女のものだ。 

 

一方、「イヴニング・ニューズ」はどこからどう見てもがちがちの硬派ニューズであったわけで、それが笑顔が売りのコーリックと相容れるかは、最初から疑問があった。その点、今回みたいなトーク・ショウの方が彼女に向いていることは確かだろう。ただし、以前にもコーリックの同僚で、知名度としてはかなりのものだったジェイン・ポーリーがシンジケーションのトーク・ショウに挑戦した「ザ・ジェイン・ポーリー・ショウ (The Jane Pauley Show)」は、長くは続かずキャンセルされており、たとえ「トゥデイ」出身といえども、そのことが必ずしも成功を約束するものではない。そういうこともあって、「ケイティ」の動向は大きく注目されていた。 

 

プレミア・エピソードのオープニングは、ベッドでうなされているコーリックが目覚め、隣りに寝ている誰かに向かって、「トゥデイ」を辞めてワールド・ニューズのアンカーを5年もやり、さらにそれからトーク・ショウのホストをやるというとても変な夢を見た、と告げると、起き上がってきたその隣りの誰かは、「トゥデイ」で長らくコーリックと一緒にホストを担当してきたマット・ラウアーで、彼はコーリックに、それは夢じゃないよ、そのショウが今から始まるんだよと答え、オープニング・クレジットになる。 

 

この夢オチ、一度は「トゥナイト (Tonight)」を飛ばされたジェイ・レノがまたホストとして番組に復帰してきた時も、同様のオープニングでにやりとさせた。ヴェテラン・パーソナリティによる新トークのオープニングの常套になりそうだ。 

 

番組の最初のゲストは、妊娠出産後も痩せずにでぶでぶになって、そのことがマスコミでとやかく言われまくっているジェシカ・シンプソン。出産後4か月になるが、確かにまだまだ体重過多だ。顔が横長だよ、あんた。それでも一時よりは痩せたというのがほとんど信じられない。しかしこうやってまた人前に出てきたところを見ると、いい方向に向かっているんだろう。 

 

ついでに言うとシンプソンは、先頃、第二子懐妊というニューズもあった。お腹に子供がいると痩せてなくても弁明できるからか、と、つい茶々を入れたくなる。いずれにしても、シンプソンが番組最初のゲストということは、体重がアメリカの女性にとって最も大きな問題の一つだからだろう。TLCの「ヒア・カムズ・ハニー・ブー・ブー (Here Comes Honey Boo Boo)」みたいに、気にしてない者もいるが。 

 

その次のゲストがシェリル・クロウ。番組テーマ曲も担当しており、シンプソン同様、元々コーリックと仲がいいらしい。先頃頭に小さな腫瘍ができ、手術して摘出したとかでニューズ・ネタにもなっていたから、その辺の話も聞く。さらに今年はマイケル・ジャクソンの「バッド (Bad)」製作25周年に当たるそうで、こないだもABCが特番を放送していた。クロウは最初、マイケルのツアーのバック・シンガーだったそうで、それにも言及する。しかし視聴者が本当に知りたいところは、否定しても否定しても後から後からまた新しい疑惑が浮上するかつての恋人ランス・アームストロングが、実際にドーピングをしていたかどうかなのではなかろうか。 

 

今夏、アームストロングは身の潔白の主張に疲れたのか、だんまりを決め込んで一線を退き、ツール・ド・フランス7連覇の記録を剥奪された。無実を主張して一時は潔白らしく見えても、必ず新しく弾劾する人間や証拠らしきものが現れる。それでも、やってないならオレはやってないと言い続けると思うが、諦めたらしいところを見ると、たぶんやってたんだろう。ツール・ド・フランスの7連覇なんて、人間技じゃないとは思ったよ。結局クロウは、そのことについては話を濁しただけだった。 

 

番組第2回のゲストは、身体の細胞を死滅させるフレッシュ・イーティング・バクテリア (Fresh Eating Bacteria) という世にも怖ろしいバクテリアに侵され、四肢のうち3本までを切断を余儀なくされ、かろうじて片足だけ残った女性エイミー・コープランドをゲストに招き、1時間をすべて彼女の話題に費やして話を聞く。手足が自由に動くありがたさを痛感する。 

 

要するに「ケイティ」は、方向性としてはやはり「オプラ」のような、前向きでポジティヴな番組を狙っている。それが実際にコーリックから受ける印象でもあるから、当然だろう。多かれ少なかれ上記のトーク・ショウはすべてその路線を狙っているが、やはり蛇の道は蛇というか、そういうホストとして既に一世代を画したキャリアのあるコーリックの「ケイティ」が、やはり頭一つ抜け出ているという感じがする。現実に現在の成績もそのことを裏づけているが、本当に「オプラ」の後を継げるかを判断するのは、まだまだ時期尚早だろう。 










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