Here Comes Honey Boo Boo   ヒア・カムズ・ハニー・ブー・ブー

放送局: TLC

プレミア放送日: 8/8/2012 (Wed) 22:00-22:30-23:00

製作: オーセンティック・エンタテインメント

製作総指揮: ローレン・レクストン、サラ・レディ、トム・ローガン

出演: アラナ・(ハニー・ブー・ブー)・トンプソン、ジューン・シャノン、アナ・シャノン、ジェシカ・シャノン、ローリン・シャノン、シュガー・ベア・トンプソン


内容: 6歳にして子供のビューティ・ページェント・サーキット界のヴェテラン、アラナと彼女の家族に密着するリアリティ・ショウ。


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Here Comes Honey Boo Boo


ヒア・カムズ・ハニー・ブー・ブー   ★★1/2

ケーブル・チャンネルのTLCは、元々はチャンネル名のThe Learning Channelが示す通り、生涯教育チャンネル、だったはずだが、いつの間にかエンタテインメント化し、近年は当たれば儲けものとばかりに一般人密着型のリアリティ・ショウを乱れ撃ちしている。実際、その中の一本「ジョン・アンド・ケイト・プラス・エイト (Jon and Kate Plus 8)」は、ただ子供が多いだけの夫婦を全米規模のセレブリティへと押し上げるなど、ヒット番組も生まれている。


近年では「ジョン・アンド・ケイト」の次に人気のある、というか、ほぼカルト化していたのが、子供のビューティ・ページェント・サーキットに参加する母娘たちをとらえた、「トッドラース・アンド・ティアラス (Toddlers and Tiaras)」だ。


驚いたのだが、アメリカにはほとんどようやっと一人で歩き始めることができるようになった女の子たちから、せいぜい7、8歳くらいまでの女の子を対象にしたビューティ・ページェント、つまり美人コンテストのサーキットがある。こういうページェントは手軽に人を集めることができるため、地方で何かの祭事、イヴェントがあると、だいたい併行して開催される。


これに毎回のように参加するレギュラー組が結構いるのだ。ページェントには順位がつき、それに応じて賞金が支払われる。優勝してもせいぜい数百ドルくらいでも、それが巡業サーキットになってあちらこちらで入賞優勝したりすると、バカにならない金額になる。その金を目当てに、まだよちよちの娘を連れた母どもが、この種のサーキットの後をついて回って参加するというシステムができ上がっているのだ。


参加する子供たちは、確かに一見可愛くはあるが、しかしそれよりも興味深いのが、まだ自我の固まっていない娘を連れてサーキット回りをする家族、端的に言って母で、実は人々が面白がって見ているのは、子供たちではなく、勝負に固執する母たちの争いだったりする。まだ年端も行かない娘を、学校ではなく、ダンス・スクールに通わせ、その種のアドヴァイザを雇ってレッスンを受けさせる。


こういう母の元に生まれた娘たちは、その母の血を受け継いでいるから、わりと嬉々として母の言うことに従い、ページェントで勝つことを生き甲斐にしている。まったく一般人とは違う独特の世界観を持つ者たちが集うのが、ビューティ・ページェントのサーキット参加者たちなのだ。


彼らをとらえるリアリティ・ショウ「トッドラース・アンド・ティアラス」の中で、特に注目を集めた女の子と彼女の母親がいた。彼女らこそ今回、独立して彼女らに密着するリアリティ・ショウとなった、アラナ・トンプソンことハニー・ブー・ブーと、母のジューン・シャノンに他ならない。


アラナは現在6歳だが、既にページェント・サーキットのヴェテランだ。母のジューンに似て何事にも物怖じせず我がままを通す、あるいはいいように言えば、愛嬌を振りまく。ただし、これまたジューン同様6歳にして既に体系はぽっちゃり型だ。幼い子だからふっくらしているというよりも、やはりこれはデブの部類に入るのではないか。正直言ってあと数年で、このサーキットでも勝てなくなるだろう。というか、その頃には既にもう引退か。


私は媚びるガキというのが昔から嫌いなのだが、そのアラナが歯に衣着せずに我がまましたい放題したり、私の眼からはお世辞にも可愛いとは言えないシナを作ったり媚びる表情を見せようとすると、愛嬌があるというより、どちらかというとむしろ殴ってやりたいような嫌悪感の方が先に来る。こんな衝動を感じるのはマコーレー・カルキン以来だ。


そしてジューンは当然の如く、アラナに輪をかけてデブだ。とにかく食べることが好きで、始終何かジャンク・フードを食っている。肉が顔を圧迫しており、二重あごで、というか、肉が付きすぎてどこが顎かよくわからない。目も開いているかどうかよくわからない。こういう妖怪、いたよなあという強烈な顔と体格、それに性格をしている。


プレミア・エピソードではジューンが体重計に乗るシーンがあるのだが、最初、デジタルの体重計の表示がエラーになった。重過ぎるのだ。次に乗り直すと300パウンドを超える数字が出た。約140kg。130パウンドの私の二人分よりも重い。正直言って、あんたが出るTV番組はNBCの「ザ・ビギスト・ルーザー (The Biggest Looser)」の方だろうと思ってしまう。


ジューンはショッピングも好きだ。それもクーポンを使って安くで多くショッピングをすることに生き甲斐を感じるタイプで、家ではそんな風にして買い溜めた物が山積みになっている。エキストリーム・クーポナーでもあったのだ。ショッピングはセックスよりもいいと堂々と公言する。それでもホーダーの域にまでは達してないのが唯一の救いと言えるか。


こういうジューンの血を引いたアラナを含めた4人の娘たちは、全員ぽっちゃり型だ。あと数年で全員ぽっちゃりとも言えなくなり、単にデブとしか認識されないだろう。とはいえそのことに対して誰も危機感を持っているようには見えないところがすごい。気にしてないのだ。落ちてるものも拾って食っている。


とはいえ、特に長女のアナなんかは、よく見ると整った顔立ちをしており、もうちょっと痩せて美しく見せようという努力をしたら、かなり見映えすると思う。しかし全員、そういう努力は最初から放棄しているのだ。女性陣が揃ってお腹を出して、肉をつまんでぷるぷる振ってたりする。こういう女性たちに囲まれ、ただ一人の男性のアラナの父シュガー・ベアはほとんど目立たない。こういう性格だからジューンを妻としてやっていけるのか。あるいはジューンと結婚したからこういう性格になったのか。


彼らが住んでいるのはジョージア州マッキンタイヤという、正直言って田舎だ。外を歩くと、実は周りを歩いている者たちもかなりの確率でデブばっかりだ。内陸部の、こういうはっきり言ってあまり知性を感じせない者たちを揶揄する言葉として、レッドネック (Redneck) という単語がある。ずばり外で働く肉体労働者の首が日焼けで赤くなっているところから来ている。


このレッドネックたちを扱うリアリティ・ショウが、今、旬だ。昨年の「ヒルビリー・ハンドフィッシン’ (Hillbilly Handfishin’)」はまさしくこのレッドネックが主人公だし、ヒストリー・チャンネルの「スワンプ・ピープル (Swamp People)」、A&Eの「ダック・ダイナスティ (Duck Dynasty)」といった人気番組も、知性という単語とはかけ離れたところで人気を博している。話し言葉も子音をはっきりと発音しない南部特有のアクセントが強く、時々アメリカ人ですら何言っているかわからないため、画面に字幕が出る。確かに常識が通じない面白さがあるとは言える。


話は変わるが、女性番組専門チャンネルのライフタイムにも、「トッドラース・アンド・ティアラス」とほぼ同様の構造を持つリアリティ・ショウ、「ダンス・マムズ (Dance Moms)」があり、こちらもやはりカルト的な人気がある。番組タイトルが示している通り、こちらは子供にダンスを教え込むことに命をかけている母とその子供たちをとらえる番組だ。さらにこの番組にもスピンオフの「「アビーズ・アルティメット・ダンス・コンペティション (Abby's Ultimate Dance Competition)」なる勝ち抜きダンス・リアリティがあり、こちらの方も人気がある。南部の癖のある人間に密着するリアリティ・ショウが大流行りだ。









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