イン・ザ・ダーク ((In the Dark) 

放送局: CW 

プレミア放送日: 4/4/2019 (Thu) 21:00-22:00 

製作: レッド・アワー・フィルムズ、ワーナー・ブラザースTV 

製作総指揮: コリンヌ・キングズベリー、ベン・スティラー、マイケル・ショウオールター 

出演: ペリー・マットフェルド (マーフィ・メイソン)、リッチ・ソマー (ダニー・ライリー)、ブルック・マーカム (ジェス・デイモン)、モーガン・クランツ (フェリックス・ベル)、デレク・ウェブスター (ハンク・メイソン)、キャスリーン・ヨーク (ジョイ・メイソン) 

 

物語: シカゴに住む盲目の女性マーフィは、皮肉屋で、ほとんど刹那的に毎日を生きている。盲導犬を教育する施設を経営しているハンクとジョイの育ての親とは距離を起き、ルームメイトのジェスと、かつて暴漢に襲われた時に助けてくれたストリート・キッズのタイソンの二人だけが、友人と言える存在だった。ある夜いつものように路地にタイソンに会いに来たマーフィは、そこに横たわるものに気づく。それはタイソンの死体だった。助けを求めるマーフィだったが、その後知らせを聞いて警官が来た時には、そこに死体はなかった。死体という物証がなく、しかも目の見えないマーフィの言うことに、警察は耳を傾けてくれない。タイソンの従兄のダーネルも、タイソンは遠くへ行っているだけだとにべもない。マーフィは、自分の手でタイソンがどうなったかを突き止めようとする‥‥ 


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In the Dark


イン・ザ・ダーク  ★★★

正直に告白してしまうと、ほとんど多くの視聴者がカン違いしたに違いないのと同じように、私もCWの「イン・ザ・ダーク」を、最初huluの「イントゥ・ザ・ダーク (Into the Dark)」と同じ番組とカン違いしていた。ほとんど同じ時期に、ほとんど同じタイトルの番組が提供される。一瞬、あれ、「イン・ザ・ダーク」ってCW番組だったかな、という疑問が頭をかすめたのは確かだが、それは一瞬で、次の瞬間には忘れていた。 

 

「イントゥ・ザ・ダーク」は、昨年末から始まったアンソロジーのホラー・シリーズで、ストリーミング・サーヴィスのhuluで、不定期に新エピソードが提供されている。一方の、年が明けてから今春放送開始の「イン・ザ・ダーク」は、ネットワークのCWによるミステリ・ドラマだ。いずれにしても多くの者が同じ早とちりをしたのは間違いないと思う。

 

さて、冒頭、投げやりのセックスにいそしむマーフィの描写で幕を開ける「イン・ザ・ダーク」は、ティーンエイジャーが視聴者のほとんどを占めるCW番組としては、かなり思い切ったと感じる出だしだ。放送番組の半分以上はDCコミックス系のスーパーヒーローものだが、時に「リヴァーデイル (Riverdale)」みたいなちょっとダークめの大人も見れるミステリ・ドラマも編成しており、どうやら今回はこっちのようだ。 

 

主人公の女性マーフィは盲目で、たぶん医療関係に従事しているルームメイトのジェスと部屋をシェアしている。育ての親は盲導犬を飼育する施設を経営しているが、経営はあまり思わしくない。障害があるのに親と同居していないことからもわかる通り、マーフィと親の仲も今一つだ。 

 

マーフィは酒とタバコを手放さず、時に見ず知らずの男とワン・ナイト・スタンドを決め込み、翌朝モーニング・アフターのピルを手に入れるためドラッグ・ストアに出かけ、気配で客が並んでいるのはわかるが、失礼、目が見えないので、と堂々と列の先頭に割り込んで先に会計を済ます。 

 

要するに、結構自分の障害を逆手にとって甘い汁を吸ういけ好かないねーちゃんなのだが、それでも、彼女は彼女なりに足掻いて世界と折り合いつけようとしているのだなという印象が、挙措動作やシーンの節々から伝わってくるので、かなり感情移入させるのに成功している。 

 

一番受けたのが、一夜限りのアヴァンチュールで、今夜出張で妻がいないという男の誘いに乗って男の家に上がり込んで半分服を脱いた男とマーフィがいざ事を起こそうとする寸前に、飛行機がキャンセルされたという妻が帰ってくる。慌てたマーフィはテーブルの下に隠れるが、実はそれはガラスのテーブルで、灯りを点けられた途端、ガラスを通して丸見えのマーフィがいた、という演出はよかった。 

 

目が見えない主人公というと、誰でも真っ先に思い出すのは「デアデビル (Daredevil)」だと思う。あるいは「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (Rogue One: A Star Wars Story)」の盲目の武術師のように、目が見えないからこそのアクションが印象的だったりする。盲目の者ばかりのフェルナンド・メイレレスの「ブラインドネス (Blindness)」なんてのもあった。TVでは、短命に終わったスティーヴン・ボチコの「ブラインド・ジャスティス (Blind Justice)」というのもある。 

 

要するにこちらは、目が見えないからこそのあっと思わせるアクションや演出を期待しているのだが、どちらかというとドラマ重視の「イン・ザ・ダーク」は、そういう派手な展開はあまりなく、目が見えないからこそのドラマという点にこだわっているようだ。とはいえ、目が見えないなりに頭を使って身体を張って行方不明のタイソンの行方を突き止めようとする展開は、それはそれで面白い。 

 

マーフィに扮するペリー・マットフェルドは、ジェニファー・エスポジトとリサ・エデルスタインを足して割ったような容姿。「イン・ザ・ダーク」はめでたく第2シーズン製作が決定しているが、欲を言えば、まだまだミステリ色を強めてくれると私好みになるんだが。 

 


 








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