Rogue One: A Star Wars Story


ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  (2016年12月)

面白くないわけじゃない、面白くないわけじゃないのだ。むしろ結構楽しんでいる。それなのに、途中から、ヘンだ、なんか違う、レイは、カイロ・レンは、なぜ出てこない? あれだけ思わせ振りだったルーク・スカイウォーカーはまだ隠遁生活を続けているのか、たぶん演じているキャリー・フィッシャーが急逝したためこれが最後の活躍になるだろうレイヤ姫の追悼の気持ちもあるのに、影も形も見えない、と、なんか違和感がつきまとう。 

 

たぶん、これ、前作の「フォースの覚醒 (The Force Awakens)」の続きじゃない、新三部作の2作目ということではなく、まったく新しい話だと朧げながら気づいたのは、どうやらカイロ・レンではないダース・ヴェイダーが登場してからだ。そういや、なんか、やたらとデス・スターがなんたらかーたらという展開になっているが、これってもしかして新しいデス・スターのことではなく、あのデス・スターのことか? なんだ、これ、また話が戻っているわけ? 「スター・ウォーズ」って三作作る毎に場所と時代が変わるわけじゃなかったのか。 

 

それでも、まだ微妙にそうなのか、そういうことなのかと暗に思っていた疑惑が消え、これがまったく新しい話という確信に変わったのは、最後も最後、あの渦巻きヘアの若いレイア姫が登場したからだ。しかも演じているのはキャリー・フィッシャーに似ているがフィッシャーではない女優だ。いずれにしても「フォースの覚醒」と「ローグ・ワン」で同じキャラクターが違う時代設定で出ているということは、要するにこれは「フォースの覚醒」の続きでない。映画が終わる30秒前にしかそのことに気づかなかったというのもバカな話だが、しかし、なぜこんなことになる?  

 

調べてみると「ローグ・ワン」はJ. J. エイブラムスが手掛けている正編ではなく、外伝的扱いの「スター・ウォーズ・アンソロジー (Star Wars Anthology)」シリーズの一編になるのだそうだ。「フォースの覚醒」の続きは、ちゃんとエイブラムス製作、タイトル未定の「エピソード8」が2017年末に公開が予定されている。撮影は既に終了しており、フィッシャーもちゃんと出てくるということだ。要するに新しく製作権を手に入れたディズニーが、風呂敷を広げ出したのだ。2018年には、ハリソン・フォード演じたハン・ソロの若い頃を描く話も公開されるらしい。 

 

それによく見ると「ローグ・ワン」、正式タイトルは「ローグ・ワン: ア・スター・ウォーズ・ストーリー」と、「スター・ウォーズ」の外伝的扱いであることをちゃんと匂わせている。というか、堂々と言っている。しかしこちらは「ローグ・ワン」は「スター・ウォーズ」作品であると思い込んでいるから、「ア・スター・ウォーズ・ストーリー」というタイトルが含む意味なんかちゃんちゃら考えてなぞいなかった。 

 

さらに、思えば、上映が始まって、あのいかにもの A long time ago in a galaxy far, far away... で始まるオープニング・クロール、および人を期待させるあのテーマ音楽がなかったのを、一瞬不思議には思ったのだ。やっぱり、ないわけがない、これが正統の続編ならば。ついでに言うと、今ではまず「スター・ウォーズ」以外では見られない、場面転換時のワイプがないのも、これまたおかしいとは思ったのだ。前回エイブラムスがそこまでちゃんと目配せして踏襲していた特徴を、なぜまた今回は外す? とはいえ見ている時は、下手に考えているとストーリーを追えないので、一瞬ヘンだとは思っても、次の瞬間には忘れているのだった。 

 

しかし、「スター・ウォーズ」といえばあの音楽だし、外伝だからといってあれがないのはやっぱりなにかと寂しい。意図的に外したのか、それとも権利の都合上、入れたくても入れられなかったのか。あのテーマと A long time ago... は、正伝以外使ってならないという契約になっていたとか。しかしワイプも使っちゃいけなかったのか。まさかあれは「スター・ウォーズ」だけの知的財産じゃあるまい。 

 

とまれ、というわけで、一抹の疑念を抱きつつ最後まで見てしまったのだった。なんでも話としてはそもそもの「スター・ウォーズ」の第1作、「エピソード4」の始まる10分前までを描いているのだそうだ。これが筋金入りの「スター・ウォーズ」ファンなら、事前に知っていて、私のようなカン違いをしなくていいのだろうが、なんせこちらは「エピソード4」を見たのはかれこれ公開された40年も前に一度きりで、そもそもの発端がデス・スターの弱点を記した秘密文書にあるということなんか、すっかり忘れている。そういう話だったっけ? 

 

いずれにしても、ということは、これは次に繋げようがないから、外伝三部作というようなことにはならず、これはこれとして一本だけ製作されて終わりのようだ。この感じだと、今後しばらくは毎年一本は「スター・ウォーズ」関連作品が公開されそうだ。ハン・ソロ主人公作品以外にも、実際に幾つかの外伝作品が候補に挙がっているらしい。 

 

今回の演出は「ゴジラ (Godzilla)」のギャレス・エドワーズで、もしかするとルナ扮するローグの一人キャシアン・アンドー (Cassian Andor) のキャシアンというのは、「新造人間キャシャーン」から来ているのかと、ふと思う。名字もアンドーと日本名っぽいし。「ゴジラ」を撮ったやつだからな、日本のアニメに造詣が深くても不思議はない。そう思ってアメリカではキャシャーンってどういうスペルになっているのかと調べてみたら、オリジナル・アニメが「Casshan」、2004年実写版が「Casshern」と、異なっていた。それがCassianと再度変わるのもありかと思うのだが。









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ゲイレン・アーソ (マッツ・ミケルセン) は帝国軍の艦船デス・スターの開発技師の一人だったが、帝国軍のやり方に嫌気が差して隠遁していた。しかし彼の頭脳がどうしても欲しい帝国軍は、妻を殺し、強制的にゲイレンをとりたてる。ゲイレンができたのは、まだ幼かった娘のジンを逃がすことだけだった。ジンは帝国軍に反抗するソウ・ゲレラ (フォレスト・ウィテカー) に助けられるが、基本的に一匹狼として育つ。時が経ちデス・スターの完成も間近いある日、ゲイレンは民間パイロットのボーディ (リズ・アーメッド) に密書を託す。その連絡を得た反乱軍のキャシアン・アンドー (ディエゴ・ルナ) はジン (フェリシティ・ジョーンズ) と邂逅し、さらに盲目の武道者チアルート・イムウェ (ドニー・ウェン) とベイズ・マルバスの共闘を得、ソウ・ゲレラに捕らえられていたボーディに接触する。密書は完成間近のデス・スターの弱点を伝えていた。ちょうどその時、帝国軍は新型のレーザーの照準を、ジンたちのいるジェダに合わせていた‥‥


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