イヴニング・ニューズ・ウィズ・ジェフ・グロア   Evening News with Jeff Glor 

放送局: CBS 

プレミア放送日: 12/4/2017 (Mon) 18:30-19:00 

製作: ・CBS 

ホスト: ジェフ・グロア 

  

内容: 新アンカーが就任した夕方のネットワークのワールド・ニューズ。 


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Evening News with Jeff Glor


イヴニング・ニューズ・ウィズ・ジェフ・グロア  ★★1/2

夕方のABC、CBS、NBCの三大ネットワークによるワールド・ニューズは、一時のアンカー交代の改編激震時を切り抜け、現在では安定している。3年前に (もう3年経つのか!) 「ワールド・ニューズ・トゥナイト (World News Tonight)」アンカーに就いたABCのデイヴィッド・ミューアは既にABCの顔になった感があるし、その翌年にスキャンダルで降ろされたブライアン・ウィリアムズの代わりにNBCの「ナイトリー・ニューズ (Nightly News)」に就任したレスター・ホルトも元々ヴェテランで、つつがなく仕事をこなしている。 

  

CBSの場合は、2011年にアンカーに就任したスコット・ペリーが、派手さはないが堅実に仕事しているという感があった。そのペリーも6月に退任を表明、その後「イヴニング・ニューズ」は、アンソニー・メイスンを臨時アンカーとして起用しながら、次のアンカーを模索していた。 

  

11月、その次のアンカーとしてジェフ・グロアの発表があった。グロアは42歳とまだ若く、この辺で歳とってきたCBSニューズメンの若返りを図ったものと思われる。ABCのミューアとほぼ同い年で、いかにも若々しい印象をアピールして「ワールド・ニューズ・トゥナイト」が成績を伸ばしていることが大きく影響している人選なのは、まず間違いないだろう。 

  

グロアが就任した最初のエピソードの最初の話題は、何はともあれ迷走する議会の新課税法案問題で、私も毎年税金を納めている当事者の一人と言えるが、現実にこの法案が通って税金をいくら払うかが決まらないことには、法案に対して是も非も言えない。願わくは当然納める税金は少なければ少ないにこしたことはないが、どうも優遇されているのは金持ちと企業というのは間違いないようだ。いずれにしても、これによって一般消費者の納税額が上がることになれば、トランプ大統領の再選はあり得ないだろうから、トランプは自分で自分の首を絞めることにもなりかねない。ここは個人としては傍観するのみ。 

  

次のニューズは北朝鮮と一瞬即発の状態になりかねない (というか、もうなっているのか) 状態で、青森の三沢基地でコレスポンデントが有事に備える米空軍の戦闘機に乗ってみる。山の上空を猛スピードで飛び、時には地上、湖面すれすれに飛んで実戦に備える。雪山って綺麗だなという感懐を持たないでもないが、もしこれが市街地に墜落でもしたらと、沖縄を省みる。この訓練がより基地の規模の大きい沖縄で行われないのは、対北朝鮮想定で三沢の方が地形が似ていることが大きいようだ。沖縄で訓練して万一事故があったらと思うと、ぞっとする。 

 

その他のニューズは、今年最後のスーパームーン、トラやライオンの歯科治療、そしてユタの広大な国有地の民間払い下げの話が、最も印象に残った。ユタ州にはネイティヴ・アメリカンが神聖な土地として崇める広大な土地が存在し、国有地として保護されている。その下には、手つかずの地下資源が眠っている。トランプはこの資源を活用できるように、民間に払い下げる決定を下した。本当に、今現在、もしくは半歩先の経済しか見えないボンクラだ。なんでこんなクズがアメリカの大統領なのか本当に納得できない。あと何代か先にツケを払わされる我々の子孫が、我々の世代をくさすのが今から目に見えるようだ。 

 

グロアは淡々とという感じで番組を進め、それはそれでいいのだが、意外なのは自分が新ホストに就いたことに対する抱負も挨拶も何もなかったことだ。そういえば、ミューアが「ワールド・ニューズ・トゥナイト」に就任した時も、特にそのことに対してなんのコメントもなかったような気がする。今でもワールド・ニューズのアンカーに抜擢されるのは本人それに業界にとって大きな事件であるのは変わりないが、それでも人々の反応の仕方というのは時と共に変遷する。 

 

ホスティングの仕方では特に世代が近いミューアと較べると、エネルギッシュなミューア、クールなグロアという感じになろうかと思う。ミューアはよくステュディオの外に出て、自分の足で歩き回り人にインタヴュウしているという印象があるが、グロアは新ホストに就任してからはほとんどステュディオの外で取材しているのを見たことがない。以前「ディス・モーニング (This Morning)」でコレスポンデントとして働いていた時は、当然いつも戸外から報告していたわけだし、今は様子見というところだろうか。

 

「ディス・モーニング」といえば、今年最大のあっと言わせられた事件が、「ディス・モーニング」ホストのチャーリー・ローズのセクハラ解雇事件だった。ケヴィン・スペイシーが過去のセクハラでNetflixの「ハウス・オブ・カード (House of Cards)」を解雇された時は、お前もかとは思っても、あり得なくはないかとも思った。しかし同業者からも尊敬されているローズがセクハラで解雇されたというのは、正直言って自分の耳が信じられなかった。歳も歳であり、そういうのから最も遠い所にいるのがローズと言ってよく、もしローズがセクハラしているなら、いったい誰を信じればいいのかという衝撃があった。 

 

グロアの就任が発表されたのが10月、これで今後当分ネットワークのニューズ関係で大きな移動や事件はないなと思っていた矢先、11月にローズの解雇が公けになって、予想が完全に覆された。報道する側の自分たちがニューズ・ネタになっていたら世話ない。 

 

しかもCBSでこそないがこの話にはさらに先があって、ローズ解雇が発表になってその衝撃もまだ冷めやらぬ11月末に、今度はNBCの「トゥデイ (Today)」ホストのマット・ラウアーが、セクハラで解雇された。グロアが就任時になんのコメントもしなかったのも、ローズやラウアーの事件が影響していたのかもしれない。いずれにしてもおかげで今度は、「ディス・モーニング」と「トゥデイ」が新ホスト探しだ。それにしても2017年って、今考えるとすごい年だったんだな。 










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