コナン (Conan) 

放送局: TBS 

プレミア放送日: 11/8/2010 (Mon) 23:00-0:00 

新フォーマット放送日: 1/22/2019 (Tue) 23:00-23:30 

製作: コナコ 

製作総指揮: ジェフ・ロス 

ホスト: コナン・オブライエン 

アナウンサー: アンディ・リクター 

 

内容: コナン・オブライエンがホストの深夜トーク・ショウが、30分フォーマットで再出発。 


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Conan


コナン  ★★1/2

かれこれ10年近く前、アメリカ深夜トーク界を揺るがす大ごたごたでNBCの「トゥナイト (Tonight)」を追われ、ケーブル・チャンネルのTBSに移って「コナン」を始めたコナン・オブライエンは、その後、特に派手な言動やスキャンダルとは無縁で、印象としてはつつがなく番組を続けてきた。 

 

とはいえ、放送時間帯が「トゥナイト」だけではなく、CBSの「ザ・レイト・ショウ (The Late Show)」、ABCの「ジミー・キメル・ライヴ (Jimmy Kimmel Live)」、コメディ・セントラルの「ザ・デイリー・ショウ (The Daily Show)」というヴェテラン深夜トークと競合する時間帯では、失敗こそないものの、大きな成功を収めるとまでは行かなかった。 

 

私も、深夜トークはネットワーク番組優先で見ていたので、TBSに移ってからの「コナン」は、実はそれほど多くは見ていない。それで昨年、「名探偵コナン」繋がりで日本にも行って話題を提供したなんて話を後聞きして、そうか頑張ってんだなと改めて認識したくらいだ。 

 

つまり、アメリカに住んでいる者にとっては、やはり競合する番組が数多ある時間帯では、ケーブル番組には注目しにくい。それがいかにかつてネットワークの「トゥナイト」を経験したオブライエンであろうともだ。10年経ち、番組関係者も煮詰まっていたんだろうと思う。そして発表されたのが、それまでの1時間番組ではなく、半分の30分に短縮した新フォーマットの「コナン」だ。 

 

これは考えれば理に適っている。なんとなれば、競合するネットワークの深夜トークが始まるのは11時35分であり、11時に始まる「コナン」が30分で終われば、視聴者は「コナン」とネットワーク深夜トークのどれかを両方見れることになる。少なくとも、ネットワークの深夜トークとのバッティングを嫌ってそちらの方を優先していた視聴者には、このことはアピールするはずだ。番組関係者がそのことを考えていたのは間違いないだろう。 

 

新フォーマットになって最初のオープニング・モノローグでは、なぜ番組が1時間から30分になったのかについて、一とくさりジョークを飛ばす。曰く、歳とった両親が子どもたちが巣立った後、家が広すぎるので小さな家に替わるようなもので、1年後には今度は番組は15分フォーマットになって、ベッドの上から番組を放送しているだろう。 

 

一と目で気づくのは、まず実際に収録が行われるステュディオそのものが以前と較べて小さいということだ。オブライエン自身はこれまでのようなスーツではなく、ネクタイこそしているものの羽織っているのはスポーツ・コートのようなジャケットで、背広ではない。ステュディオが小さく、スーツというしゃちほこばったものは着ないことで、観客との親密度を高めようという計算だろう。 

 

続くギャグ・スキットでは、現在人気のNBCの「ディス・イズ・アス (This Is Us)」のマイロ・ヴィンティミリアが登場して、オブライエンの隠し息子役で「ディス・イズ・アス」もどきの寸劇「ディス・イズ・コナン」を披露する。オブライエンがかつて追い出されてまだ恨みに思っているだろうと思える「トゥナイト」を放送していた放送局こそNBCだが、だからといって他の番組出演者にまでは遺恨はないということか。因みに番組第2回のゲストも、NBCの人気コメディ、「ザ・グッド・プレイス (The Good Place)」のキャストの面々だった。 

 

オープニングのモノローグとギャグ・スキットが終わると、ゲストの紹介に入る。以前ならさらにもう一つ二つギャグのコーナーがあったが、30分ではそんな余裕もない。さらに、深夜トークではお馴染みのデスクもない。オブライエンと、補佐役のアンディ・リクター (彼はそのまま残ったんだな) 、そしてゲストの座る一人用カウチが幾つか置かれているだけで、最も近い体裁の番組を挙げるなら、シンジケイションのエレン・デジェネレスがホストの日中トーク、「エレン (Ellen)」だろう。 

 

ただし、この体裁を「コナン」でも踏襲することは疑問の余地がないでもない。なんとなれば深夜トークでは、このデスクなしというのは、オブライエンがNBCを辞める直前にジェイ・レノが「ザ・ジェイ・レノ・ショウ (The Jay Leno Show)」で試み、敢えなく失敗した形態だからだ。とはいえ、ステュディオが小さい今回は、デスクを置くスペース自体も限られているとは言える。 

 

さらにこの小さいステュディオには、バンドもいない。10年苦楽を共にしたジミー・ヴィヴィノとベイシック・ケーブル・バンドもいなくなった。そこをリクターに突っ込まれたオブライエンは、バンドは今はニューヨークの北の地方の農場で幸せに暮らしていると、お茶を濁しつつギャグを飛ばす。 

 

最初のゲストはトム・ハンクスで、ハンクスはオブライエンの「トゥナイト」とオリジナルの「コナン」では共に番組第2回のゲストだったものが、昇格? した。それはいいが、30分しかない番組の3分の2をゲストとのお喋りだけに費やすのは、番組色を薄めこそすれ、特色を出すには行かないんじゃないかという気はしないでもない。 

 

むろん、今後しばらくは様子見ということで幾つかのマイナー・チェンジを施しながら、番組は続いていくものと思われる。私は、ケーブルに移った後のオブライエンはあまり見ていないとはいえ、それでも、癖のあるオブライエンのギャグのテイストはネットワークよりはケーブルの方が合っていると思っていたし、今回の30分版を見てもその意見は変わらない。ついでに個人的な嗜好を言わせてもらえるならば、ゲストは必要ないのではないかと思う。いっそワンマン・ショウ化してもいいんじゃないか。もっと弾けてこそのコナン、別に小さくまとまる必要はないと思う。 

 


 









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