Warehouse 13  ウェアハウス・サーティーン

放送局: SyFy

プレミア放送日:  7/7/2009 (Tue) 21:00-23:00

製作: ユニヴァーサル・メディア・ステュディオス

製作総指揮: ジャック・ケニー・デイヴィッド・シムキンス

クリエイター/脚本: ブレント・モート、ジェイン・エスペンソン、デイヴィッド・シムキンス

監督: ジェイス・アレグザンダー

撮影: デリック・アンダーシュルツ

美術: フランコ・デ・コティイス

出演: エディ・マクリントック (ピート・ラティマー)、ジョアン・ケリー (マイカ・ベリング)、サウル・ルビネック (アーティ・ニールセン)、サイモン・レイノルズ (ダニエル・ディッキンソン)、ジェニールウィリアムス (リーナ)、CCHパウンダー (ミセス・フレデリク)


物語: FBIのピート・ラティマーとマイカ・ベリングは美術館のパーティの警護をしていたが、美術館職員が何ものかにとり憑かれて騒ぎを起こし、その隙に古代の頭像が盗まれてしまう。翌日サウス・ダコタに向かう指令が降りたピートが目にしたのは、何もないところにぽつりと建っている巨大な倉庫だった。しかもそこへマイカもやってくる。FBI内部で微妙な力を持つミセス・フレデリクが、二人を適任としてウェアハウス13に派遣するよう求めたのだった。

二人はそこでウェアハウスを管理しているアーティに会う。彼こそは美術館で頭像を盗んで逃げた人物だった。そのウェアハウスは現代科学では説明のつかないもの、手に負えないやっかいなものを封印しておく政府の秘密倉庫だった。ピートとマイカは徐々にウェアハウスの中に保管されているものの事の重大さ、扱いにくさに気づいていく‥‥


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SF番組専門のケーブル・チャンネル、Sci-Fiは、去った7月7日からリニューアルしてチャンネル名をSyFyと改め、再出発した。因みにそれでもどちらもサイファイと発音する。そのリニューアルに当たっての目玉番組となったのが、「ウェアハウス13」だ。


現在、Sci-Fi-Syfyと言えば、最も知られているのは「バトルスター・ギャラクティカ (Battlestar Galactica)」だろう。それ以外にも「スターゲイト (Stargate)」フランチャイズや「サンクチュアリ (Sanctuary)」、「ユーレカ (Eureka)」等のSFドラマ、「ゴースト・ハンターズ (Ghost Hunters)」等のリアリティ・ショウも結構人気がある。


そして個人的には、それらのシリーズ番組以外に毎週土曜夜に編成されるB級、どころか時には積極的にC級の単発のTV映画枠も捨て難い。もしこれらを映画館で金出して見ていたら、金を返せと怒鳴りたくなるのはまず必至のチープなSF映画を、他に何も面白そうな番組が編成されていない土曜夜に、ビール片手にカウチに寝転びながら、なにこれ、とか、へったクソとか言ってTV相手に罵倒したり、たまに逆受けしたり、あるいは意外な掘り出し物を発見するのは、それはそれでなかなか得難い体験だったりする。


因みに最近放送されていたTV映画には、夏の風物詩、巨大サメと巨大タコの沿岸部をパニックに陥れる「メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス (Mega Shark versus Giant Octopus)」とか、同じ顔したシュワルツネッガーもどきのサイボーグが地上と宇宙空間で人間と争う「ザ・ターミネイターズ (The Terminators)」とか、西海岸を巨大サメが襲う「マリブ・シャーク・アタック (Malibu Shark Attack)」なんてのがある。タイトルを聞いただけで、なにやらギルティ・プレジャーの気配がふつふつとたぎってくる。「マリブ・シャーク・アタック」なんて、主演はTV版「ニキータ (Nikita)」に主演していたペータ・ウィルソンだ。そのウィルソンができの悪いCGや模型のサメに襲われるのだ。TVファンならかなりそそられるだろう。


「ウェアハウス13」の場合は、TV映画ではなくシリーズものであり、TV映画のような逆受けする要素があるわけではなく、正統なSFファン向け番組だ。サウス・ダコタのほとんど砂漠のような何もないところに建てられているウェアハウス13と名づけられた巨大な倉庫、一見してただでかいだけの何の変哲もない倉庫なのだが、いったん中に足を踏み入れると、そこは常識がまったく通用しない、理解説明不能の数々の品々を収めておく倉庫だった。番組は毎回、アメリカ中で起きている説明不能の事件の解明のために派遣されるピートとマイカの二人を中心に描く。


この番組、こう書くとかなりFOXのかつての人気SFドラマ「ジ・X-ファイルズ (The X-Files)」に感じが近い。あれも全米で起きている謎の事件を、スカリーとモルダーというFBIエージェントが追いかける話だった。実際、「ウェアハウス13」が「X-ファイルズ」を意識しているのはほぼ間違いないところだろう。暴走しがちな男性エージェント、地に足のついた女性エージェントというジェンダーの組み合わせの轍もちゃんと踏んでいる。


一方似て非なるのは、スーパーシリアスだった「X-ファイルズ」に較べ、「ウェアハウス13」の方は多少コメディ・タッチになっているところにある。多少方向は違うが、乗りで言うと最も印象が近いのは、「ハムナプトラ (Mummy)」シリーズではないだろうか。特にどうもあの窓のない倉庫が、ピラミッドの奥底に眠る宝庫の印象とそっくりなのだ。この扉を開けてそこに仕舞われているあれそれの封印を解くと、中からはヘビが出るか蛇が出るかという、その辺のわくわく感が非常に似ている。


番組のプレミア・エピソードでは、主人公の二人がどういう経緯でウェアハウス13に配属されるようになったかが描かれる。元々カンの鋭い人間だったピートは、美術館の護衛でどちらかというとマニュアル指向のマイカと衝突する。しかもその護衛していた頭像がピートのために盗まれたとマイカが思っているもんだからよけい対立する。


その夜ピートのアパートに現れた謎の女性ミセス・フレデリクは、ピートに新しい指令を与えて去る。彼女はどうやらFBI上層部と関係のある人間のようだった。しかし翌日指示された先を訪れたピートが目にしたのは、周囲に何もないサウス・ダコタの荒地の中の一軒の巨大な倉庫で、そこでピートは、先日美術館で頭像を盗んでいった男を発見する。しかもそこに現れたのはマイカで、彼女もまたこの地に向かう指令を受けていた。冗談じゃないと帰還を希望するマイカだったが、ここにもミセス・フレデレクの息がかかっており、マイカは帰れない。


一方、頭像を盗んだ謎の男アーティこそこの倉庫を管理する人物で、二人はしばらくアーティの元で事件捜査に従事せざるを得なくなる。それはコロラドで一見まじめな青年がガールフレンドに突然危害を加えたというもので、単純な事件にしか見えなかったが、アーティの嗅覚はそこに別のものを見出していた。何か得体の知れないものが関与していると見たアーティは、そういう「もの」があった場合に力を中和するニュートラライザー、レイ・ガン、特殊な通信ツールと共に二人を送り出す。


ピートとマイカが現地で容疑者の青年を尋問している途中、いきなり青年が激昂してしかも意味不明の言葉をしゃべり出す。それは古代イタリア語らしく、しかもその意味を解読するために訪れた教授もピートとマイカに何かを隠していた。アーティは青年のしゃべった言葉から、事件がルクレツィア・ボルジアに由来し、彼女の現世では満たされなかった望みや怨念が彼女の所有していたものと共に現代まで続いていたことを知る。問題は、いったいその怨念が誰にとり憑いているかだった‥‥


主人公の二人、ピートに扮するのはエディ・マクリントック、マイカに扮するのはジョアン・ケリー。私としては可もなく不可もなくといった印象のマクリントックより、マイカに扮するケリーの方が印象に残った。大きなくりくりとした表情のある眼から連想するのは、ずばり「アメリ (Amelie)」のオドレィ・トトゥだ。どちらかというと真面目な性格づけをされているのに、それを裏切って茶目っ気たっぷりの眼の対比がなかなか楽しい。


どうやら彼女はFBIで将来を嘱望されていたらしいのだが、とある事件でボーイフレンドを失い、自分もどちらかというと閑職に回されていたという背景も、ピートよりマイカの方が時間を割いて描かれている。それだけでなく、その命を失ったらしいボーイフレンドまで回想やら幻覚やらで何度も登場してくるところを見ると、マイカがボーイフレンドを失った事件もおいおい意味を持ってくるものと見える。


アーティに扮するのは、USAの「レヴァレッジ (Leverage)」のそもそもの番組第1回でゲスト出演していたサウル・ルビネックで、この人はこういう胡散臭さがよく似合う。胡散臭いという意味では別の意味でそういうSF染みた胡散臭さが似合うのがミセス・フレデリクに扮するCCH・パウンダー (「ザ・シールド (The Shield)」) で (いったいこのCCHというのはなんなんだ)、あのでかい眼をぎょろりとされると、あんたこそ魔法使いと言いたくなる。








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ウェアハウス 13   ★★1/2

 
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