ジ・エレン・デジェネレス・ショウ   The Ellen DeGeneres Show 

放送局: シンジケーション (NY地域ではNBC) 

プレミア放送日: 9/8/2003 (Mon) 10:00-11:00 

最終回放送日: 5/26/2022 (Thu) 14:00-15:00 

製作: テレピクチュアズ・プロダクションズ、ア・ヴェリー・グッド・プロダクション 

製作総指揮: エレン・デジェネレス、メアリ・コネリー、エド・グラヴァン 

DJ: スコッティK、トゥイッチ 

ホスト: エレン・デジェネレス 

 

内容: コメディアン、エレン・デジェネレスがホストの長寿日中トーク・ショウの最終回。 


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The Ellen DeGeneres Show


ジ・エレン・デジェネレス・ショウ最終回

いつの間にやら気がつけば「ジ・エレン・デジェネレス・ショウ」、略して「エレン」は、今季で19シーズンを迎えるヴェテラン番組としての地位を確立していた。そして先頃、その最終回が放送された。 

 

現時点で日中トークの女性ホストは、「ライヴ・ウィズ・ケリー&ライアン (Live with Kelly & Ryan)」のケリー・リパが、2001年の「ライヴ・ウィズ・リージス&ケリー (Live with Regis & Kelly)」以来、21シーズン目を迎えている。 

 

女性複数ホストの「ザ・ヴュウ (The View)」では、途中2シーズンのブランクがあるジョーイ・べハーが現在通算で23期目のホストを務めており、単純に女性ホストとしてはこの記録が最長だ。 

 

過去の記録も見てみると、女性単独のホストとしては、25シーズン続いた「ジ・オプラ・ウィンフリー・ショウ (The Oprah Winfrey Show)」のオプラ・ウィンフィリーが文句なしのレコード・ホルダーだが、デジェネレスもなかなか負けていない。あともうちょっとでウィンフリーの記録に並びそうなところまで来ていた。 

 

好むと好まざるとにかかわらず、「エレン」は、カミングアウト済みの、「ゲイの」デジェネレスがホストという見方が大勢を占めていたことは否定できない。一方、それが番組の差別化としては最初に来る特徴であることは確かだが、そのことが番組の内容に関係してくるかというと、特にそういうこともない。単純におしゃべりが上手で人好きのするキャラクターというデジェネレスが前面に出てくることで、ゲイ、ストレート、老若男女を問わず人気のある「エレン」が確立した。だからこそ19年も続くことができた。 

 

単純に第三者の目から見ると、「エレン」が「オプラ」に並ぶのは、時間の問題でしかないように見えた。最盛期ほどの人気がないことは確かかもしれないが、それでも日中トークとしての人気は、他の番組から頭一つ抜けているように見えた。 

 

ところが昨シーズン、その「エレン」にスキャンダルが勃発した。なんとなれば人好きのするデジェネレスのキャラクターで売っている「エレン」の舞台裏が、陰湿で、いじめが横行しているという内部告発があった。 

 

思うに、一つのプロダクションとして仕事している場合、まったく赤の他人同士が力を合わせている以上、そこになんらかの齟齬や確執、論争や喧嘩が起こらないことはないと思う。どんな仕事場においても、100%全員が満足しているという環境というのはほとんどないだろう。 

 

例えばかつての長寿深夜トーク・ショウの「レイト・ショウ・ウィズ・デイヴィッド・レターマン (Late Show with David Letterman)」で、「敵意剥き出しの劣悪な仕事環境」に嫌気が差したスタッフの一人が、その時スタッフ内では公然の秘密だったレターマンの女性スタッフとの浮気をネタにレターマンを脅迫し、刑事事件に発展するという事件があった。レターマンは脅迫に屈するのを潔しとせず、よりにもよって番組内で自らそのことを告白、脅迫のネタがなくなってしまった脅迫犯はその後逮捕された。 

 

レターマンは浮気がバレたにもかかわらず、むしろ脅迫に屈しない男として株を上げた感すらあった。一方、「エレン」の方はそううまくことは運ばなかった。実際問題として、デジェネレスはスタッフの一部でそういう問題があったことを認識していなかったようだ。学校でクラスに問題があっても、先生がそれを知るのが一番最後になるのと似たような構図だったと思われる。 

 

いずれにしても問題が発覚した以上、番組ホスト兼プロデューサーのデジェネレスはなんらかの対応を求められ、潔く番組に幕を下ろすことを選択した。 

 

番組の最終シーズン自体は今夏いっぱい続くわけだが、デジェネレス自身がホストを担当するエピソードの最終回は5月26日に放送された。番組はその後、再放送やゲスト・ホスト、総集編等を交えながら8月まで続く。 

 

デジェネレスがホストを担当する最終週のゲストは、月曜がハウイ・マンデル、ジェニファー・ロウレンス、ラテン・シンガーのJ. バルビン、火曜がオプラ・ウィンフリー、ミラ・クニス、水曜がブルーノ・マーズ、そして最後の木曜がジェニファー・アニストン、ビリー・アイリッシュ、トリがピンクで、ギター一本の伴奏で「ホワット・アバウト・アス (What about Us)」を歌う。いまだ人気番組らしく、ゲストの人選はトップ・クラスだ。さり気なくウィンフリーがゲスト出演するのも、なにやらにやりとさせる。 

 

そもそもの2003年の番組第1回のゲストがアニストンだったことをまだ覚えている身にとっては、最終回のゲストの一人がアニストンということに感慨深いものがないこともない。いずれにしても19年前からほとんど歳をとっているように見えないアニストンの芸人根性というか、メイキャップの手腕には感心する。デジェネレスだって老けたとは言わないが、相応に歳を重ねてきたという感じはするのに、たまさかしか目にしないのに、20年前から変わらないと思わせるアニストンはさすが。 

 

しかし最も衝撃的だったのは、その後に登場したアイリッシュで、一家揃って番組のファンだったらしい。それよりも何よりも、「エレン」は、アイリッシュが生まれた翌年から放送が始まったというのが、衝撃的だった。つまり番組が始まった時、アイリッシュはまだ1歳だった。それが今では天下のグラミー賞シンガーだ。私も含め、デジェネレスもアニストンもピンクも、みんな自分が歳とった気がすると思ったに違いない。 


 


 











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