Mission: Impossible - Fallout


ミッション: インポッシブル/フォールアウト  (2018年8月)

個人的に、「ミッション・インポッシブル」は今回の「フォールアウト」で第2期3部作にひとまず区切りをつけたという風に思っている。だいたい、マーヴェルやDCに代表されるスーパーヒーローものがだいたい3作品を一つの区切りとして製作されるため、こちらもシリーズものはまず3作見たら次、みたいな気持ちを最初から持っている。 

 

「ミッション・インポッシブル」の場合、まず1996年! の「1」、2000年の「2」、2006年の「3」で一息ついた後、2011年「ゴースト・プロトコル (Ghost Protocol)」、2015年の「ローグ・ネイション (Rogue Nation)」、そして今回の「フォールアウト」で現在の3部作がひとまず完結する。 

 

という個人的な見解がまるで的を得てないのも、これまた明らかだ。個人的には「3」を見た後、これでシリーズはいったん休止し、その後長いブランクを置いて第2期3部作の最初の作品である「ゴースト・プロトコル」が製作されたという印象が強いのだが、実際には、「2」と「3」の間は6年開いており、「3」と「ゴースト・プロトコル」間の5年より長い。その上、第1期3部作は10年かかっているが、第2期3部作は7年しかかかっていない。等々、シリーズは3部作云々を端っから意識してない。 

 

それでも、「ミッション・インポッシブル」がやはりひとまずなんらかの区切りをつけたような気がするのは、まず「3」と「ゴースト・プロトコル」で微妙に話作りに変化が見られることが挙げられる。元々鬼子的扱いのIMFではあったが、「ゴースト・プロトコル」以降、IMFはわりとアメリカ本国や同盟国からも除け者扱いされたり、それこそイーサン・ハントがお尋ね者になる機会が増えた。逆に言うと、IMFはアメリカとも無関係に、自律的に世界平和のために戦っているという印象を受ける。おかげでやたらとハントが追われたり捕まったり拷問を受けて耐えて歯を食いしばったり、なんて描写が増えた。 

 

一方で変わらないものというと、さらに磨きがかかったハントに扮するトム・クルーズのミーイズム、そして変身願望というか、変装、顔の入れ替わりがある。どうやら自分がワン・アンド・オンリーのスターであることと他人に扮したい願望というのはコインの表裏のようで、同じ欲望がたまたま形を換えて表に出てきたに過ぎないように見える。 

 

クルーズは他人には変装したいが、それでも、本気で別人になりたいわけではない。シリーズの最初の方では完璧なマスクを被って完全に別人になったり別人がクルーズの振りをしていたが、それだとまったく赤の他人になってしまう。それは嫌だと見えて、途中から服は着替えるが誰が見てもあんたはクルーズという、変装にはならない変装でお茶を濁し始めた。例えば今回は他人の振りをするといっても名前を借りているだけで、顔はクルーズのままだ。では完璧な変装は誰がしているかというと、仲間のベンジー (サイモン・ペッグ) がその任を請け負っている。他人に変装してみたいが、でも主人公はオレだというクルーズの落とし所がこの辺という気がする。 

 

今回の公開、というか撮影で最も話題になったのが、クルーズの撮影中の肋骨骨折だ。ビルからビルに跳び移るというスタントで、むろんスタントマンを使用しない生身のアクションがクルーズ作品の骨子だから、当然今回もクルーズが自身でアクションをこなしている。 

 

そのアクションで、ビルから隣りのビルにジャンプしたクルーズは、飛距離が足りず、コンクリートの壁にしたたか胸を打ちつけた。命綱はつけていたが、地上に落ちるのを防ぐだけで距離を稼ぐとかジャンプ自体を助けるものではないので、自力で跳んで届かなければ、痛い目を見るのは自分だ。というわけでクルーズは肋骨骨折という重症で、撮影は延期になった。 

 

この失敗に終わった撮影シーンが、当時ニューズに何度も流れた。そしてそのシーンが、実際の作品内でも使われている。転んでもただじゃ起きないというか、実際に骨が折れるほどのアクションだから臨場感、というか見た目にも痛さたっぷりだ。むろんクルーズ・アクションはこうでないとわざわざ見に行く意味がない。クルーズの身体を張ったアクションは、やはり一見の価値があると言える。とにかく、クルーズには走れなくなるまでイーサン・ハントを演じてもらいたい。 

 

前回同様、MI6のイルサも登場する。演じるレベッカ・ファーガソンは、私見ではハントの元妻ジュリアに扮するミシェル・モナハンに似ていると思う。そして似ているといえば、現在ショウタイムの「アフェア (The Affair)」に出ているルース・ウィルソンこそモナハンそっくりだ。私の願望は、この3人を起用して顔面入れ替えトリックを撮ってもらいたいというもので、これに国家的陰謀が加われば鬼に金棒、クルーズ狂喜の「ミッション・インポッシブル」一大絵巻ができ上がるはずなのだ。是非クルーズが「ミッション・インポッシブル」から引退するまでに撮ってもらいたい。 











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ソロモン・レーン (ショーン・ハリス) の組織の残党が、ベルリンで3基の核弾頭を密売しようとしているという情報がもたらされる。しかしイーサン・ハント (トム・クルーズ) およびIMFはその阻止に失敗する。怒ったCIAのエリカ・スローン (アンジェラ・バセット) は、スペシャル・エージェントのオーガスト・ウォーカー (ヘンリー・カヴィル) をお目付け役としてハントと行動を共にさせる。二人はパリで行われるプルトニウムの入札に潜入するが、バイヤーのラークを確保できず逆にやられそうになったところを、MI6のイルサ (レベッカ・ファーガソン) に助けられる。ハントはラークの振りをして競売人のホワイト・ウィドウ (ヴァネッサ・カービー) に接触する‥‥


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