Mission: Impossible - Rogue Nation


ミッション: インポッシブル/ローグ・ネイション  (2015年8月)

うちの女房は基本的にスパイ・アクションにはほとんど興味を示さないのだが、例外的に自分から率先して見に行こうとするシリーズが二つある。一つが主演がダニエル・クレイグに代わってからの007シリーズであり、もう一つがトム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」シリーズだ。


両シリーズに共通しているのが生身のアクションが主体ということで、どんなにCG技術が進歩しようとも、やはり今現在そこにアクションが起こっているということの臨場感は、生のアクションにかなうものはない。


とはいっても、例えば今回の冒頭の離陸する輸送機内外での空中のアクション・シーンは、女房はさすがにこれはCGなしでは撮れないだろうと思ったようで、私が、このシーンに言及して、クルーズのアクションは本人がCG使わないで撮るからエキサイティングだなと言うと、いくらなんでもそれはないでしょうと言う。あれはCGなしじゃ無理でしょ。


しかしそうかなあ、クルーズのアクションはCGなしだから面白いのであって、実際あの臨場感は、当然ワイヤーに吊りはするだろうが、CGには見えないがと思っていた。クルーズもCGでアクションを撮るようになっていたとしたら、「ミッション・インポッシブル」を見るのもこれで最後か。


そしたら女房が購読しているエンタテインメント・ウィークリーで、当然私と同じような感慨を持った人間が、その飛行機のシーンについて特集で書いていた。それによるとやはりこのシーンはCGなしのクルーズの生身のアクションであり、だからこそクルーズのアクションは面白いという、私と同意見を述べていた。私がこの記事を女房にこれ見よがしに見せつけたことは言うまでもない。あんただって生身のアクションだから「ミッション・インポッシブル」は面白いと思ってんだろ。


さて、今回もIMFはチーム解体の危機に晒されながらミッションを遂行する。確かIMFって前回も解体の危機に晒されながら行動してなかったっけと思うんだが、どうもそれってImpossible Missions Force という仰々しい名前が関係してないだろうか。不可能任務班って、不可能な仕事なんだから、そんな部署、置くだけムダって気がする。CIA長官のハンリーが部署撤廃を強硬に主張するのもわからないこともない。


今回そのIMFが対決するのは、シンジケーションと呼ばれる謎の組織で、世界中の死亡したはずのエージェントがその支配下で活動していることが知れる。いったい彼らの真の目的は何なのか。さらに囚われたイーサンを救い出したイルサの本当の素性は? 解体したはずのIMFのベンジー (サイモン・ペッグ)、ルーサー (ヴィング・レイムス)、そしてブラント (ジェレミー・レナー) らが、ハンリーの目をかいくぐって、今やお尋ね者のイーサンを助けるため行動を起こす。


「ミッション・インポッシブル」は、これまで「1」のブライアン・デ・パルマ、「2」のジョン・ウー、「3」のJ. J. エイブラムス、「4」のブラッド・バード、そして今回のクリストファー・マッカリーと、毎回異なる監督が演出しているが、ほぼ毎回、顔の入れ替わりがあるという大きな特徴がある。デ・パルマが演出した「1」だけは特にその傾向が表に出ていたという印象はないが、入れ替わり大好きなウーが演出し、同様に変装大好きエイブラムスが後を引き継いだことで、この傾向が定着した。あまりにもミーイズムの強いクルーズだからこそ、時には他人になってみたいという欲求があるのかもしれず、さらにクルーズに限らず、他の出演者も変装したりさせられたりしている。


さらにクルーズは、作品中に必ず一度は必要もないのに? 敵に捕らわれるか獄中にいて拷問を受けるか、上半身裸になって裸体をひけらかすという癖は今回も抜けない。結局最終的にはクルーズの、オレはスターなんだという叫びが聞こえてくるのが、「ミッション・インポッシブル」なのだった。というか、クルーズ作品は全部そうだったりする。とはいえ、その通りと思わせるものもあるのも事実だ。


今回ヒロイン役のレベッカ・ファーガソンは、「3」でイーサンの婚約者を演じたミシェル・モナハンの印象とかなり似ている。この手の顔はクルーズの好みのようだ。さらに付け加えると、私の場合、この二人とルース・ウィルソンも結構重なるのだった。次回作にファーガソンがまた出て、さらにモナハン、そしてウィルソンも出てくると、かなり混乱するというか、面白い展開になると思う。ファーガソンの仮面を剥ぐと実は下から出てきたのはモナハンで、実はその下にウィルソンがいた、みたいなアイデンティティ崩壊ネタをかなり説得力たっぷりに演出できると思うのだが。「ミッション・インポッシブル」の進む方向はそこだと強く思う。











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IMFは数々のスタンドプレイのために同業者から目の上のたんこぶのように思われており、特にCIAのハンリー (アレック・ボールドウィン) は、IMFをなきものにしようと政府に力説していた。一方、IMFはシンジケーションと称する、死亡したものと記録されているエージェントたちを集めた謎の組織が世界でテロ活動を計画していることを突き止め、イーサン (トム・クルーズ) はそれを追う。しかし敵の罠に落ちたイーサンは囚われの身となるも、敵の二重スパイのイルサ (レベッカ・ファーガソン) がイーサンを救出する。しかし謎の多いイルサが敵か味方か、まだ判然としなかった。イーサンは極秘裏にかつてのIMFの仲間たちと連絡をとり、シンジケーションの壊滅を目論むが、しかし敵のボスのソロモン・レーン (ショーン・ハリス) は注意深く、イーサンたちに尻尾をつかまれるような真似はしなかった。イーサンはウィーンにレーンが現れるとの情報をつかみ、オペラ・ハウスで張るが、そこの舞台裏に現れてライフルで何者かを暗殺しようとしているのは、イルサだった‥‥


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