Who Do You Think You Are?  フー・ドゥ・ユー・シンク・ユー・アー?

放送局:  NBC

プレミア放送日: 3/5/2010 (Fri) 20:00-21:00

製作: ウォール・トゥ・ウォール、イズ・オア・イズント・エンタテインメント

製作総指揮: リサ・クドロウ

出演: サラ・ジェシカ・パーカー、リサ・クドロウ、マシュウ・ブロデリック、スーザン・サランドン、ブルック・シールズ、スパイク・リー、エミット・スミス。


内容: セレブリティの先祖、家系を追及する。


Minute to Win It  ミニット・トゥ・ウィン・イット

放送局: NBC

プレミア放送日: 3/14/2010 (Sun) 19:00-20:00-21:00

製作: ユニヴァーサル・メディア・ステュディオス、フライデイ・テレヴィジョン

製作総指揮: クレイグ・プレスティス、ティム・パンティロ

ホスト: ガイ・フィエリ


内容: 参加者が1分間の制限時間内に様々なアクティヴィティ/競技に挑戦する。10種の競技を連続して成功させた場合の賞金は100万ドル。


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「フー・ドゥ・ユー・シンク・ユー・アー」は、元々は2004年に英BBCが放送して人気を博したリアリティ/ドキュメンタリー・シリーズだ。セレブリティの家系を遡って先祖が何者だったかを検証するという番組で、それを今回、「フレンズ (Friends)」のフィービー役で知られるリサ・クドロウがプロデューサーとなって、アメリカ版を製作した。


実は正直言って、セレブリティのご先祖様が何者だろうと、だから何と思っていたのは事実だ。こういうものは本人にとっては意味があるだろうが、私は、たとえセレブリティだろうと、第三者の先祖が何者だろうが、特に興味はない。今現在の同時代のセレブリティ自身だって、私生活にはほとんど興味はないのだ。その先祖ならなおさらだ。まったく赤の他人でしかない。興味なんて持てるはずがない。


それがたまたまではあるが見てしまったのは、まず、今回のヴァンクーヴァー五輪開催時に目が腐るほど番宣を見せられたおかげで番組タイトルが頭の片隅に残ってしまい、TVの番組ガイドを見てタイトルを覚えていたのでなんとなくチャンネルを合わせてしまったこと、および、それが金曜の夜の、他に大して見たいもののない時間帯であったためだ。


だから特に期待してもいなかったのだが、実はこれがなかなか面白い。番組第1回でその先祖が検証されるのはHBOの「Sex and the City」のサラ・ジェシカ・パーカーで、彼女の先祖を手繰って、マサチューセッツ州セーラムに辿りつく。セーラム、あの「クルーシブル (The Crucible)」の舞台となったセーラムか。ふーん、パーカーの先祖はあの魔女狩りの時代をもしかしたら実地に体験しているわけか、なんて思いながら見ていた。


そしたらそれどころじゃなかった。パーカーの親の親の親の‥‥何代か遡る母親は、そこで魔女狩りを体験しているどころか、その魔女として弾劾され、処刑されていたことが判明する。パーカーの先祖は魔女だったのだ。現実に文書化された記録を遡り、DNA鑑定等により行けるところまで行った結果であり、この事実に間違いはないと思われる。


先祖が魔女として殺されていたのだ。火あぶりだ。これはかなりショックに違いない。パーカーは自分の人生が180度変わったという。これまで自分の人生で自分と魔女狩りを結びつけて考えていたことはなかったと思う。それがいきなり当事者の末裔だ。自分の先祖どころか、歴史に対する見方が変わるだろう。


番組第2回はNFLのホール・オブ・フェイマーのエミット・スミスが登場する。黒人であるスミスは、先祖がアメリカに来たのは十中八九本人の意志ではなく、つまり、奴隷として強制的に連れられてきたに違いない。それが歴史の事実だろうが、しかし、それを知識として知っていることと、事実として肌で体感していることはまったくの別物だ。


そしてスミスは、彼の先祖が実際に奴隷として売られた時の証文にたどり着く。これまた来るものがあるに違いない。お前の親の親の親の親は奴隷だったんだ、人権なぞなかったんだ、その時の女性は、大半が白人の主人にレイプされて孕まされた、あんたの先祖もその一人に過ぎない。それを事実として目の前に見せられ、スミスは思わず絶句する。オレは奴隷の子か。まるでドキュメンタリー版「ルーツ (Roots)」のようだ。黒人の人権が認められたのは、たかだか数十年前の話に過ぎない。


その後のエピソードに登場するのは、ブルック・シールズ、スーザン・サランドン、リサ・クドロウ、マシュウ・ブロデリック、スパイク・リー等で、例えばシールズの先祖はフランスの王家と血の繋がりがあるそうだ。それはまた。そういう人間を選んでいるだろうとはいえ、どれもこれも皆、小市民的以上くらいにはドラマティックで、思わずへえと感心する。大したことはなかろうが、自分の先祖はいったいどこから来たのだろうかとつい考えてしまうのだ。


また、ほとんど時を同じくして、公共放送のPBSも、こちらはちょっと固めだがほとんど同じ内容の「フェイスズ・オブ・アメリカ・ウィズ・ヘンリー・ルイス・ゲイツ Jr. (Faces of America with Henry Louis Gates, Jr.)」シリーズを放送している。ハーヴァード大教授のヘンリー・ルイス・ゲイツ Jr. がホストとなって、毎回のゲストにインタヴュウしながら進む。ただしこちらの方は本人も知らなかった大昔に遡るというよりも、本人共々それほど昔ではない過去を再確認すると共に、移民の国であるアメリカを再考するという体裁をとっている。そのため登場するゲストも、メリル・ストリープ、スティーヴン・コルベール、クリスティ・ヤマグチ、ヨー・ヨー・マ、マリオ・バタリ、エヴァ・ロンゴリア等、人種、経歴等多彩。


一方、「ミニット・トゥ・ウィン・イット」は、一般人をほとんど宴会芸に近い類いのゲームに挑戦させるリアリティ・ショウだ。タイトルが示す通り、一つのゲームに対しては制限時間がミニット、つまり1分と決められている。その時間内に与えられたチャレンジをやり遂げると、次のゲームに進む。一つのゲームをクリアするたびに賞金は上がっていき、無事与えられた10種のゲームを全部やり遂げると、賞金は100万ドルだ。一つのゲームにつき、3回まで失敗が許される。


ゲームには以下のようなものがある。

「ハンキー・パンキー (Hanky Panky)」片手でティッシュ・ボックスからティッシュを全部取り出す。

「エッグ・ロール (Egg Roll)」3個の卵をあおぐだけで転がして所定の位置に収める。

「ムーヴィン・オン・アップ (Movin’ on Up)」50個の重ねられた紙コップを持って一個ずつ上から下に移動させて一巡させる。

「ディジー・マミー (Dizzy Mummy)」その場でぐるぐる回りながらトイレット・ペーパーを途中で切らずに身体に巻きつける。

「サック・イット・アップ (Suck It Up)」M&Mチョコをストローで吸引しながら移動して別のストローの吸い口の上に落ちないように乗せる。

「バルブ・バランス (Bulb Balance)」電球の上に塩をまき、その上に卵を立てる。

「ドント・ブロウ・ザ・ジョーカー (Don’t’ Blow the Joker)」ボトルの口の上にトランプ・カード一揃いを載せ、吐く息だけで一番下の一枚だけを残してあとのカードを吹き飛ばす。

「キャディ・スタック (Caddy Stack)」ゴルフ・ボールを3つ垂直に重ねる。


身近なものを用いたすぐに準備のできるゲームで、ルール自体は簡単であるが、やることは簡単そうに見えて実は意外に難しいことがポイントだったりする。要するに、忘年会等で皆でやると盛り上がる宴会芸そのものだ。見てると、このくらいもできないのかと自分もやってみたくなるが、たぶんできないのは間違いあるまい。本当に簡単だったら毎回ミリオネア続出になってしまう。


ホストはガイ・フィエリで、爆発したアッシュ・ブロンドの頭でアメリカのグルメにはおなじみだ。というのも、フィエリは元々はフード・ネットワークの勝ち抜きリアリティ「ザ・ネクスト・フード・ネットワーク・スター (The Next Food Network Star)」の第2シーズンの優勝者であり、これに勝ってフード・ネットワークで、アメリカ中のダイナーやドライヴ-インを紹介する自分の番組、「ダイナーズ、ドライヴ-インス、アンド・ダイヴズ (Diners, Drive-ins, and Dives)」を持った。元々セレブリティ・シェフというよりはブルー・カラー・シェフといった持ち味の方が濃厚のフィエリと番組の趣旨は非常によくマッチし、瞬く間に人気番組になった。今回ホストにフィエリが抜擢されたのも、シェフというよりもその人柄に因るところが大きいのはもちろんだ。番組と料理はまったく関係ない。


これらの番組は、追っかけてまでは見ようとは思わないけれども、その時間に家にいてたまたまTVをつけた時にやっていたら、なんとはなしにずっと見てしまう。特に「ミニット・トゥ・ウィン・イット」の方は、番組の途中から見ても全然問題なく楽しめる。日本にいたら絶対このアイディアを拝借して忘年会でやるんだがな、場が盛り上がること間違いなしと思うのであった。








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フー・ドゥ・ユー・シンク・ユー・アー?   ★★1/2

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ミニット・トゥ・ウィン・イット   ★★1/2

 
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