ザ・ハッスル (The Hustle) 

放送局: FOX 

プレミア放送日: 7/16/2018 (Mon) 14:00-14:30 

製作: テレピクチャーズ・プロダクションズ 

製作総指揮: マイク・レオナルド 

  

内容: ネット上のヴァイラル・ヴィデオ・クリップ集。


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The Hustle


ザ・ハッスル  ★★1/2

現在、面白おかしいヴィデオ・クリップをネット上から刈りとってきたり、あるいは視聴者からの投稿ヴィデオを編成する番組はいくつかある。現時点でその2強は、最も歴史の古いABCの「アメリカズ・ファニイスト・ホーム・ヴィデオス (America’s Funniest Home Videos: AFV)」と、MTVの「リディキュラスネス (Ridiculousness)」が双璧だろう。 

 

家族向けのAFVと、若者向けで刺激度の強い「リディキュラスネス」は、その住み分けができており、両者共に固定ファンがついて長寿番組となっている。「リディキュラスネス」は今年既に第11シーズン、AFVに至っては1989年放送開始以来、今年第28シーズンを迎えるアメリカTVの最長寿番組の一つだ。さらにもう一本、これにこれまた根強い人気のあるコメディ・セントラルの「トッシュ・オー (Tosh. O)」も加えて三羽烏としてもいいかもしれない。他にもナショナル・ジオグラフィック・チャンネルの「サイエンス・オブ・スチューピッド (Science of Stupid)」や、いまだに「ワールズ・ワイルディスト・ポリス・ヴィデオス {World’s Wildest Police Videos)」の再放送は続いているなど、この手の番組は探せば結構ある。 

 

ただし、私見ではこのジャンルはこれ以上拡大はしないだろうと思っていた。なんとなればインターネットが普及している現在、これらのショート・ヴィデオは、気楽に空いた時間でちょっと楽しむYouTubeのような媒体が最も向いているからだ。家族や仲間で集まって大画面のTVで一緒に楽しむというのは既にAFVや「リディキュラスネス」が体現しており、これ以上拡大していく余地はあまりなさそうに見えた。 

 

それでも、プライムタイムではなく日中の空いた時間にこいういう肩の凝らない面白ヴィデオを見たいという需要は少なからずあると見えて、例えば日中シンジケイション番組の「ライトディスミニット (RightThisMinute)」というやはりヴィデオ番組があり、「エレン (Ellen)」ではホストのエレン・デジェネレスが、毎回必ずこの種の面白ヴィデオを紹介するコーナーがある。そして今、ショート・ヴィデオ専門の番組が、いきなり3本も現れた。毎昼放送の「ザ・ハッスル」、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルの「ハウイ・マンデルズ・アニマル・ドゥイング・シングス (Howie Mandel’s Animals Doing Things)」、ゲーム・ショウ・ネットワークの「キャロライン・アンド・フレンズ (Caroline & Friends)」だ。 

 

基本どれもネットや各地のTVから拾ってきたヴィデオ・クリップを紹介する番組だが、それでも番組の特色は出さないと視聴者に覚えてもらえない。「ハッスル」の場合、似たようなクリップをいくつかずつまとめてジャンル分けしており、とにかくクリップの数が多い。「アニマル・ドゥ・シングス」は動物ものに特化し、コメディアンのハウイ・マンデルがナレーションを担当する。「キャロライン・アンド・フレンズ」はこれまたTVパーソナリティのキャロライン・レイがホストで、スタジオにセレブリティ・ゲストを呼んで一緒にヴィデオを見ながらコメントする。 

 

「ハッスル」は最小限のクリップ紹介のナレーションは入るが、基本最初から最後までヴィデオ・クリップのオン・パレードで、30分番組でもかなりの数のクリップが詰め込まれており、最初から最後まで見ると、かなりお腹いっぱいという感じになる。「アニマル・ドゥイング・シングス」の場合、たまに意図的にしつこいくらい同じクリップを繰り返し放送するところがうざい。「キャロライン・アンド・フレンズ」は、今度は「ハッスル」とは真逆で、もうおしゃべりはいいから次のヴィデオに行ってくれという気になる。 

 

私の嗜好から言うと、やはりヴィデオ・クリップ番組なんだから、まずはクリップを多く見せてくれと思うので、「ハッスル」が最も好みだ。「アニマル・ドゥイング・シングス」と「キャロライン・アンド・フレンズ」には、正直言って時々いらいらさせられる。ぱっと見て笑わせてもらいたいと思うこの種の番組でいらいらしていたらしょうがないので、一度見たきりでそれっきりになった。それに引き換え「ハッスル」は、録画しておいて暇な時に見てたりする。 

 

それでも、「ハッスル」を含めこれらの番組は、やはりAFVと「リディキュラスネス」には及ばないというのが正直な感想だ。家族向けに特化したAFVと、若者向けの痛いヴィデオ満載の「リディキュラスネス」は、ターゲット層の嗜好をうまくつかんでヴィデオを選定しているだけでなく、ステュディオに客を入れてのホストやゲストのコメントの間合いや笑いのとり方も非常にうまい。長寿番組になるのもむべなるかなだ。この2強体制はもうしばらくは続くと思う。 


 








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