Science of Stupid   サイエンス・オブ・スチューピッド 

放送局: ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル 

プレミア放送日: 6/13/2014 (Fri) 21:00-21:30-22:00 

製作: アイブギ 

製作総指揮: ウディ・トンプソン 

ホスト: セス・ヘルツォーク 

  

内容: 様々な痛いヴィデオに科学的解説を加える。


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Science of Stupid


サイエンス・オブ・スチューピッド   ★★1/2

素人ヴィデオを集めた番組は、最古参のABCの「アメリカズ・ファニイスト・ホーム・ヴィデオス (Americas Funniest Home Videos: AFHV)」を筆頭に、山のようにある。近年はそれらの視聴者投稿型のヴィデオの公開の場が、TVではなく、Youtubeを筆頭とするインターネットが主流になっているが、ではそれでTVにおいてヴィデオ・コンピレーション型の番組が廃れたかというと、そんなこともない。 

 

どんなにネットが普及して膨大な数のヴィデオを手軽に視聴できるようになっても、リヴィングでカウチに寛ぎながら、ビールから手を放すことなく、マウスにも スクリーンにも手を伸ばさずに家族や仲間とお喋りしたり一緒になって笑いながら楽しめる、最も手軽で最も金のかからないエンタテインメントというと、今でもやはりTVに勝るものはないからだ。そのため毎年必ず、手を替え品を替え、独自の趣向を凝らしたヴィデオ・コンピ型番組が現れる。 

 

実は我々夫婦はこの手の番組に目がない方で、AFHVを筆頭に結構よく見ている。アメリカに来る前、ある時、当時住んでいた江古田の日芸前の甘味処で、当時はまだ結婚前の女房とかき氷だかなんだかを食べたことがある。甘味処に入るなんて滅多になかったから、とても暑い日だったのだろう。当時の私はニューズとスポーツ以外はほとんどTVを見てなかったので知らなかったのだが、その店内で、AFHVのそもそものオリジナルである「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」が流れていた。後から考えると「加トちゃんケンちゃん」を日中やっているわけはないから、録画したものを流していたか、当時そういうのがあったかは知らないが再放送だったか、あるいはセル・スルーのヴィデオだったかもしれない。 

 

いずれにしても私が「加トちゃんケンちゃん」を見るのは初めてなら女房も初めてだったらしく、その時いったいどんなものを見たかはまったく覚えていないのだが、とにかく受けまくって、他に客がいなかったのをいいことに二人でげはげは思う存分爆笑していた。あまりに大声で笑っているので、いったい何事かと奥から店の人がびっくりして様子を見に来たくらいだ。これが噂の「加トちゃんケンちゃん」だったか。しかしこれがアメリカではAFHVになるなんて、実際にその事実を知るまでまったく気づきもしなかった。 

 

それから時は流れ、同様の番組は、アメリカではそれこそ掃いて捨てるほど新しく現れては消えることを繰り返していた。その中で最古参のAFHVがいまだに現役なのは、さすがと言える。そのAFHVを別格として、これにコメディ・セントラルの「トッシュ・ピリオド・オー (Tosh. O)」とMTVの「リディキュラスネス (Ridiculousness)」を加えた3番組が、現在のヴィデオ・コンピ型番組の三羽烏と言える。 

 

AFHVの場合は、ディズニー傘下のネットワークのABCの番組で、放送は日曜夜7時からということもあり、これはもう健全な、家族向けの番組だ。それが「トッシュ」と「リディキュラスネス」になると、若者が主要視聴者のケーブル・チャンネルの夜10時台の放送ということもあって、かなりえげつなくなる。「トッシュ」は下ネタ満載のお下劣重視で、「リディキュラスネス」はフィジカルに痛いヴィデオが詰まっている。 

 

「トッシュ」の場合は、見ていて気持ち悪くなるほどグロいヴィデオが続くこともあり、まずうちの女房が音を上げ、私も見なくなった。「リディキュラスネス」はホストが元プロ・スケートボーダーのロブ・ダイデックということもあり、全編にわたってそういうフィジカルに痛いヴィデオのオン・パレードだ。本当に今のは骨の一本や二本間違いなく持っていかれたなという痛いヴィデオばかりなので、実は笑えない時もあるのだが、他人事として割り切って見るならかなり面白いのは事実だ。 

 

今回ナショナル・ジオグラフィックが編成した「サイエンス・オブ・スチューピッド」は、採り上げられているヴィデオから言うと、かなりこの「リディキュラスネス」に近い。しかし様々な痛いヴィデオを笑い飛ばすだけの「リディキュラスネス」に対し、「サイエンス」の場合は、これはなぜこう失敗したのかということを科学的に解説する。オリジナルは英国製で、既に世界各国で、ホストを代えて、その部分だけを差し換えてマイナー・チェンジを施し、その国の言葉に直して放送されている。そのため、実はホストの差から来る番組の印象もそこそこ違ってくるものと思われる。 

 

因みにアメリカ・ヴァージョンでホストを担当しているのはスタンダップ・コメディアンのセス・ヘルツォークだが、オリジナル英国版のホストは、BBCアメリカの「トップ・ギア (Top Gear)」のリチャード・ハモンドだ。しかしお国柄というのは確かにあるとはいえ、言っていることがわからないわけではない英国版でも、アメリカ風にホストを替えて模様替えする。 

 

「サイエンス」が科学的に解説を加えるとはいっても、そこはそれ、ある一定の興味を喚起することは確かだが、本気で重力や加速度を計って緻密に何かを証明するわけではない。一方「リディキュラスネス」は単純にそういう失敗したアクティヴィティに突っ込みを入れ、笑い飛ばす。興味度云々ではなく、どちらが笑えるかという点だけなら、大半は「リディキュラスネス」の方が面白いと言うだろう。私の個人的な意見を言うと、「リディキュラスネス」、AFHV、「サイエンス・オブ・スチューピッド」、「トッシュ・ピリオド・オー」の順で面白いかな。










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