ジ・イレヴンス・アワー・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ   The 11th Hour with Brian Williams 

放送局: MSNBC 

プレミア放送日: 9/6/2016 (Tue) 23:00-23:30 

製作: MSNBC 

ホスト: ブライアン・ウィリアムズ 

 

内容: 深夜ニューズ解説/トーク 


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The 11th Hour with Brian Williams


ジ・イレヴンス・アワー・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ  ★★1/2

一時ネットワークのワールド・ニューズで最も人気のあったNBCの「ナイトリー・ニューズ (Nightly News)」アンカーのブライアン・ウィリアムズが、ニューズ捏造により本人がニューズ・ネタとなって番組を降ろされてから、早いもので既に1年半が経つ。 

 

その後ウィリアムズは、たまさか忘れた頃にそこここで目にする機会はあったが、いかんせん閑職に追われたという印象はどうしようもなかった。「ナイトリー・ニューズ」後任のレスター・ホルトもつつがなくアンカーという大任をこなしているし、もはやウィリアムズが必要となる場所はあまりありそうもなかった。 

 

そこへ登場したのが、この「ジ・イレヴンス・アワー・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ」だ。自分の名を冠した冠番組だ。基幹ネットワーク・チャンネルのNBCでこそないが、それでも主要傘下ケーブル・ニューズ・チャンネルのMSNBC番組であり、このチャンネルを定期的に見ているビジネスマンは多い。ウィリアムズはこのまま忘れ去られていくだけかと思っていたが、そうでもなかったようだ。これくらいのレヴェルのアンカーを育てるのには、局としても多くの金と時間と才能を費やしているし、やはりそのまま埋もれさせることはできなかったということだろう。 

 

ただしその時間帯というと、夜11時という微妙な時間帯だ。ネットワークでは、ABC、CBS、NBCの三大ネットワークは夜11時台にニューズを編成し、残る二つのネットワークのFOXとCWは、10時台にニューズを編成する。 

 

これがケーブルのニューズ・チャンネルとなると、当然一日中ニューズを編成しているわけだが、最も力を入れている、人気のある番組は、例えばCNNの「アンダーソン・クーパー360 (Anderson Cooper 360)」が夜8時から10時、FOX・ニューズ・チャンネル (FNC) の「ジ・オライリー・ファクター (The O’Reilly Factor)」が8時、「ザ・ケリー・ファイル (The Kelly File)」が9時、MSNBCでは8時「オール・イン・ウィズ・クリス・ヘイズ (All In With Chris Hayes)」、9時「ザ・レイチェル・メドウ・ショウ (The Rachel Maddow Show)」という風に、8時から10時までの間に主要番組が固まっている。要するに10時台11時台はネットワークでニューズがあり、それとのバッティングを避けている。 

 

11時台は、因みにFSNだと「オライリー・ファクター」の再放送が編成される。つまりそういう時間帯に編成される「イレヴンス・アワー」は、ちょっと微妙な立場にあると言える。まだまだ完全復活したと言える状況にはないようだ。 

 

「イレヴンス・アワー」は、これまでウィリアムズがしてきたようなハード・ニューズ、あるいは「ロック・センター・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ (Rock Center with Brian Williams)」のようなニューズ・マガジンとも異なり、どちらかというとステュディオにゲストを招いてのトーキング・ヘッズ的な体裁が強い。むろんウィリアムズ自身もなにがしかのコメントを挟んだりするが、多くの場合、ウィリアムズはどちらかというとモデレーター的な役割りで、専ら聞き手に回っている。 

 

これは、番組が始まった時期が大統領選直前ということも関係が大きいだろうと最初思っていたのだが、その後何度か見てみたが、やはりウィリアムズはほぼ毎回ゲストを招いて聞く側に徹している。どうやら番組はこのスタイルで続くものと思ってよさそうだ。 

 

要するに、今さらこの時間帯でこれまでと同じような番組作りをしていても意味がないと思っているのだろう。それには結構同意する。報道関連の番組だけでも既にかなり飽和状態と思えるところに、今さら似たようなスタイルの番組を持ち込んでも、いくらウィリアムズに昔取った杵柄があろうとも、成功は覚束なさそうに思える。 

 

内容に関してはこれまでのところほとんど政治色一辺倒で、今年が大統領選挙の年ということを考慮しても、政治に偏り過ぎているような気がする。もうちょっと柔らかめの議題とか、その他の国際、社会的な話が出てきてもいいように思う。「ロック・センター」ではあれだけ多様なトピックを採り上げていたのだ、「イレヴンス・アワー」が政治一色なのは、明らかに意図的だろう。要するに深夜に政治に頭を使うことを厭わない、ハード・ニューズ好みの視聴者をターゲット層として想定しているからに違いない。 

 

もうキャリアの息の根を止められたかと思えたウィリアムズをまた起用してきたのだ、ウィリアムズのファンはやはりそこそこいるように思う。MSNBCにしても、やって損はないと思ったから始めたのだろう。しかしこれで結果を残さなければ、ウィリアムズはさらにドツボにはまるような気もする。あるいはちゃんと勝算あってのことだろうか。 











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