Terminator: Dark Fate


ターミネーター: ニュー・フェイト  (2019年11月)

さて、「ドクター・スリープ (Doctor Sleep)」か「ターミネーター」のどちらを見るか、判断に迷う。かの「シャイニング (The Shinning)」続編の「ドクター・スリープ」は、超常能力のシャイニングを所有するジャック・ニコルソンの息子だった少年が成長した姿を描く話で、「シャイニング」では明かされなかった幾つかのエピソードや伏線、例えば、あの血の海の中に佇む双子の女の子の由来等が明らかになるみたいで、当然そそられる。一方、さすがにもうないかと思っていた「ターミネーター」も、まさかと思ったオリジナル・クリエイターのジェイムズ・キャメロンがまた参画しての新作だそうで、やはりこちらも気になる。 

 

それで、実は最初、「ドクター・スリープ」を見るつもりで出かけた。そしたら、ちょうどこの時期、ニュージャージーのハドソン地区ではティーネック・フィルム・フェスティヴァルという地元映画祭を開催中で、私が出かけた劇場もその一環で出品作を上映していた。それはいいのだが、その一本が、私が見る予定だった「ドクター・スリープ」に差し替えられて上映予定になっている。 

 

なんてこった。ちゃんと家を出る前にIMDBで時間を確認したのに、勝手に上映予定が替わっている。そりゃないよ。こういう時、これも何かの縁と、最初は見る予定のなかった作品を見るのも興があってよかったりするが、しかし、差し替えられていた作品は地味なドキュメンタリーで、本気で全然そそらず、惹かれない。結局何も見る気になれずに、この日ばかりはすごすごと家に引き返した。 

 

翌週改めて仕切り直して「ドクター・スリープ」を見に行こうとするも、既に公開数週目に入っていた「ドクター・スリープ」は、多くの劇場から消え、上映しているところでも朝早かったり夜遅くの一回切りという感じで、こちらのスケジュールにまったく合わない。結局断念して、こちらも今週見ておかないと来週ではやばそうな「ターミネーター」になったのだった。 

 

とはいえ「ターミネーター」にしても、実は、え、「ターミネーター」、まだあるの、と思ったことは事実だ。既にシリーズとしては、「ターミネーター: 新起動/ジェニシス (Terminator Genisys)」で一応の区切りがついたという印象は強い。既に一通りやりたいことはやってしまったという印象がある。映画としてやり残したこともFOXのTVシリーズの「ザ・サラ・コナー・クロニクルズ (The Sarah Conner Chronicles)」がカヴァーしており、「ターミネーター」は終わったものと思っていた。 

 

一方で、タイム・トラヴェルものの「ターミネーター」は、やりようによってはいくらでも話を膨らませることができる。展開はエンドレスだ。一応キャメロンもまた関係しているし、オリジナル・キャストの一人リンダ・ハミルトン、それに、これは既に世間が周知の事実だから言ってしまってもネタバレにはならないだろうから言ってしまうが、アーノルド・シュワルツェネッガーもやっぱり出る。ただ一人の皆勤賞だ。ターミネーターだから不死身ではあるだろうが、それでも、段々歳をとって、顔に皺が刻まれていくという、人知を超えた存在になってまた登場する。 

 

今回は、話としては「ターミネーター2」の続編ということらしい。「ターミネーター」は、将来スカイネットの脅威となるジョン・コナーを抹殺すべく未来からターミネーターが送られてくるというお約束の前提があるが、それだけは当然今回も踏襲される。じゃないと話が始まらない。しかし今回大きく違うのは、「2」で一応はターミネーターに勝ったはずのサラとジョンが、その後、再度未来から送られてきたターミネーターによって、今度はジョンは殺されてしまう。 

 

ということを冒頭であっさりと述べて話は始まるわけだが、本当にこのシリーズってなんでもありだなという印象を禁じ得ない。これまで何十年にも渡ってスカイネットと戦ってきたジョン・コナーは、別のタイムラインでは生き延びることはできなかった。スカイネットは、やろうと思えば何度でもどこにでもターミネーターを送りつけることができる。この分だと、もしこの後も「ターミネーター」が製作されるようなことがあれば、これまでジョン・コナーを演じてきた俳優が一斉に顔を揃えてのメタ次元「ターミネーター」になるかもしれない。というか、あとはもうこれしかないという気がする。パロディにならずにこの「ターミネーター」が作れるだろうか。違うタイムライン上にいるジョン・コナーが、同じ時同じ場所に現れたらいったいどういう事が起きるか。その時世界は存在していられるのだろうか。 

 

因みに今回、初めてジョン・コナーではなく別人が主人公となったそのダニに扮するナタリア・レイエスは、初めて見る顔だが、フィルモグラフィをチェックして、「彷徨える河 (Embrace of the Serpent)」のシロ・グエラの新作「バーズ・オブ・パッセージ (Birds of Passage)」に出ていたということを知った。「バーズ・オブ・パッセージ」! 今春アメリカでも公開され、私も近くに来るのを待っていたのだが、チャンスがなく見逃していた。それに出ていたのか。 











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メキシコの自動車工場で働くダニ (ナタリア・レイエス) の前に、未来から送り込まれた新型ターミネーター REV-9 (ゲイブリエル・ルナ) が現れ、ダニを亡き者にしようとする。それを救ったのは同様に未来からやってきた女性強化兵士のグレイス (マッケンジー・デイヴィス) で、将来人類側の戦士としてスカイネットと戦う戦士となるダニを救うためにやってきたことを告げる。しかし強化手術を受けているとはいえ人間のグレイスは、怪我をすれば血も出るし回復に時間がかかる。そんな事情に関係なく追ってくるREV-9を止めたのはサラ・コナー (リンダ・ハミルトン) で、何者かがサラを誘導していた‥‥ 


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