Repo Games   レポ・ゲームズ

放送局: スパイクTV (Spike)

プレミア放送日:  4/26/2011 (Tue) 20:00-20:30-21:00

製作: 495プロダクションズ

クリエイター: クリス・ダウリング、ホゼ・パブロ・カンティーロ

ホスト: ジョシュ・ルイス、トム・デトーン


内容: クルマの月賦を払えなくなった者の家にお邪魔し、クイズを出題、5問中3問正解なら残りの支払いをチャラにしてあげるというゲーム・ショウ。


_______________________________________________________________

Repo Games


レポ・ゲームズ   ★★1/2

昨年のジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー主演の「レポゼッション・メン (Repo Men)」でかなり認知されたと思うが、アメリカにはレポ・メンという職業がある。要するに借金の取り立て屋だが、特にアメリカの場合、レポ・メンはクルマの支払いが滞っている者からそのクルマを取り上げてくる者を意味する。クルマ社会のアメリカならではの職業だ。


滞納者が支払いができないのはわかりきっているわけだから、だったらそのクルマを取り上げるしかない。とはいえ、支払いが滞っているとはいえ、現在の所有者は名義上は一応今でも所有者だ。裁判所からの指示がない限り、強引に彼らからクルマを奪い返すことはできない。


現在の所有者にも言い分はあるだろうが、クルマを売った側からしたら、迷惑を受けているのはこちらの方だ。金が払えないなら、クルマを返して欲しい。しかしもちろん所有者も簡単にクルマを手放すわけにはいかない。そこで出番となるのがレポ・メンだ。


多少は荒っぽいことをしてもクルマを取り上げてくるのが仕事だが、そこはそれ、所有者だって仕事にクルマは絶対必要だったりするから、どうしてもそれは阻止したい。そこで多少のいざこざが起きることは多い。こちらもあちらも口より先に腕っぷしにものを言わせようとする者ばかりなのだ。「レポ・ゲームズ」は、こういう舞台設定で、クルマの支払いが滞っている者に対して行うゲーム・ショウだ。


ホストのジョシュ・ルイスとトム・デトーン、およびそのチームは、レポ先の相手のクルマをすぐにでも牽引できるようにしておいて、相手の家の玄関先に乗り込む。そして相手に対して、これからトリヴィア・クイズを5問出題する。もしこのうち3問正解したら、クルマの残りの支払いを全部肩代わりしてやろう、しかし正解できなかった場合、クルマは持っていく、と宣言するのだ。


これが相手に大きな衝撃を与えるのは言うまでもない。支払うべき金を払ってないのだからほとんど非は相手にあるため、この勝負、受けるしかないが、なんにせよ気持ちの準備ができていない。ほとんどの者は過剰に反応する。いきなりけんか腰になるやつもいるし、半信半疑でのらりくらりと逃げようとする者もいるし、泣き落とししようとする者もいるし、いきなりそのクルマに飛び乗って逃げようとする者までいる。既にレッカーに繋がれているというのに。


プレミア・エピソードの最初の相手は黒人の40代の女性ウォレスで、96年のドッジ・キャラヴァンに乗っている。適正価格でも4,000ドルするかしないかくらいの価値しかないだろうに、支払いが滞っている。それでも庭付き一軒家に住んでいたりするのだが、払えないものは払えない。


ウォレス相手の最初の問題は、「3枚葉なら触るな」という言葉は、どの植物に対しての警告かというもので、そんなん、私も知らん。触っちゃいけない植物って、ポイズン・アイヴィくらいしか知らん。というか、一般的にかぶれたりするから触らせないようにする植物って、ポイズン・アイヴィ以外に何があるのか知らない。ウォレスもそうで、ポイズン・アイヴィと答え、正解だった。アメリカ人なら、この問題は答えを知らなくてもまず当てられるだろう。


第2問は、アトス、ポルトス、アラミスは、文芸上のどの作品のトリオかというもので、恥ずかしながら私は知らなかった。ウォレスも知らなかった。答えは「三銃士」だ。ダルタニアンしか覚えてなかったよ‥‥。カメラの後ろでは、ウォレスの息子が「スリー・アミーゴス (Three Amigos)」だと囁くシーンがあり、これには笑った。確かにクラシックと目されるコメディ映画ではあるが。


第3問はマイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー (Thriller)」から3曲を挙げよというもので、「ビリー・ジーン」、「ビート・イット」、「スリラー」、とこれは私も即答。ウォレスもまったく私と同じ3曲を答えていた。なんてったって大大ヒットした曲だからな。40代以上でこの3曲を即答できない音楽ファンはいないだろう。


第4問はジョン・ハンコックが署名した歴史的ドキュメントは? というもので、これも私は知らなかった。アメリカ人には常識でも、やはりアメリカ歴史は外人にはツラい。答えはアメリカの独立宣言で、そういえば受験勉強した時、うっすらとその名を聞いたような気がする、くらいの記憶しかなかったが、ウォレスは無事正答し、これで3問正解。ドッジがこれで晴れて自分のものになり、クルマの鼻先に飛び乗って喜んでいた。


2番手に登場したニックは19歳の青年で、97年製ニッサン・パスファインダーを所有している。彼も4問中3問正解してクルマを手放さずに済んだが、むろん登場する全員がクイズに正答してクルマの正当な所有権を手に入れることができるわけではない。


3番目に登場した58歳のジョンは、「ヒュー・ヘフナーのフィアンセの名前」、「ハリウッドで最も出演料の高い女優5人のうち3人」、「星条旗の赤線の本数」を挙げよという問いに連続して誤答して、97年型ビュイック・ルサールをレッカーで持っていかれた。因みに答えは順にクリスタル・ハリス、第2問はジェニファー・アニストン、リース・ウェザースプーン、サンドラ・ブロック、キャメロン・ディアス、サラ・ジェシカ・パーカーから3人で、第3問は7本だった。


最初の設問のヘフナーとは、雑誌プレイボーイを創設した金持ちで、90歳になんなんとするのに5回りくらい年下のハリスと結婚すると発表して注目を集めたが、そのハリスはこないだ、ヘフナーとの結婚式の直前にドタキャンして逃げたという後日談がついている。いずれにしても、自分のクルマがレッカーで持っていかれるのを見ながら、ジョンは泣いていた。可哀想だが笑えるぞ、お前。


最初の数話を見た限りでは、クイズの難度はそう高くはない。これなら「キャッシュ・キャブ (Cash Cab)」のクイズの方が難しいと言える。とはいえ、アメリカ人なら常識的な問題でも、アメリカ人から見ると外人の私とか、移民にとってはなかなか手強い問題と言える。


登場した者では、やはりクルマを手にした者よりも、クイズに答えられなくてクルマを取り上げられた者の反応の方が面白い。ジョンのように泣いて悲しんだり、ボーナス・クイズはないのかとしつこく迫ったりする。要するにFOXの「コップス (Cops)」で、なんとか警官の手から逃れようとあの手この手で言い逃れしようとする犯罪者そのままなのだ。


たぶん事前にそれなりに調査して出向いているだろうとは思うが、アメリカには時には本当に好戦的な者がいたり、根っからの悪人がいる。レポに出向いた相手先で、銃撃戦にならないという保証はどこにもない。だから出題者/ホストのジョシュ・ルイスもトム・デトーンもガタイのいい腕っぷしの強そうな男で、いざという時に対応できそうな者を選んでいる。クイズ番組のホストも楽じゃない。









< previous                                    HOME

 
 
inserted by FC2 system