Glee   グリー

放送局: FOX

プレミア放送日: 5/19/2009 (Tue) 21:00-22:00

第2シーズン・プレミア放送日:  9/21/2010 (Tue) 20:00-21:00

製作: ワーナー・ブラザースTV、ワンダーランド・サウンド・アンド・ヴィジョン

製作総指揮: イアン・ブレナン、ブラッド・ファルチャク、ライアン・マーフィー

製作: マイケル・ノヴィック、アレクシス・マーティン、ケネス・シルヴァースタイン

出演: マシュー・モリソン (ウィル・シュースター)、ジェイン・ リンチ (スー・シルベスター)、コーリー・モンテース (フィン・ ハドソン)、ジェイマ・メイズ (エマ・ ビルズベリー)、リー・ミシェル (レイチェル・ベリー)、ジェサリン・ギルシグ (テリー・シュースター)、クリス・ コルファー (カート)、マーク・サリング (パック)、ディアナ・アグロン (クイン)、アンバー・ライリー (メルセデス)、ケヴィン・マックヘイル (アーティ)、ジェナ・アウシュコウィッツ (ティナ)


物語: 部を存続させるためには是が非でも地区大会において上位入賞しなければならなかったマッキンリー・ハイのグリー・クラブだったが、善戦むなしく3以内に入ることはかなわなかった。しかし全員が廃部を覚悟したその時、助け舟を出したのは意外にもそれまでグリー・クラブ廃部を執拗に働きかけていた当のスーだった。期限付きとはいえクラブの存続が決まり、ウィルとクラブの皆はまた一丸となって練習に励むが、しかしまた新たな問題も次々と持ち上がるのだった‥‥




The Sing-Off   ザ・シング-オフ

放送局: NBC

プレミア放送日: 12/14/2009 (Mon) 20:00-22:00

第2シーズン・プレミア放送日: 12/6/2010 (Mon) 20:00-22:00

製作: テンス・プラネット・プロダクションズ、アウトロウ・エンタテインメント、ソニー・ピクチュアズTV

製作総指揮: ジョエル・ガレン、デブ・ニューマイア、サム・ワイズマン

ホスト: ニック・ラシェイ

ジャッジ: ベン・フォールズ、ショーン・ストックマン、ニコール・シャージンジャー


内容: 全米各地から集められた10組のア・カペラ・グループを競わせる勝ち抜きリアリティ。優勝賞金は10万ドル、およびソニーとの専属契約ディールがつく。


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先2009-10年シーズンにおいて人気を獲得した新番組は、CBSの「ザ・グッド・ワイフ (The Good Wife)」、「NCIS: ロサンジェルス (NCIS: Los Angeles)」、そしてじりじりと成績を上げてきたABCのコメディ「モダーン・ファミリー (Modern Family)」、「ザ・ミドル (The Middle)」、そしてFOXの「グリー」がある。


「グリー」は昨シーズンから始まった番組であるわけだが、しかし、番組第1回は慣例通りに秋に放送されたわけではない。そもそものプレミア・エピソードは、既に昨年5月に放送されている。番組をプロモートしようと思ったFOXが、プレミア・エピソードをその時にシーズン・フィナーレを迎えようとしていた現在アメリカの最強番組「アメリカン・アイドル (American Idol)」の直後に編成することによって注目を集めようとしたのだ。


その後の番組第2回放送は、秋まで間が開いた。おかげで私もプレミアを見た時、それなりに面白いからここで書こうかなとは思ったのだが、しかしシリーズ・ドラマをたった1回見ただけで書くのもなんだし、秋の第2回以降どうなるかわからないし、なんて思ったりしているうちにどんどん時間が経って秋の新番組シーズンが始まり、その他の番組にも気を取られたりしているうちに、結局「グリー」について書く時宜を逸してしまった。


他にも書きたい番組は数多くあったし、ま、いいかと思っていた。そして今2010-11年シーズンである。今シーズンも、ネットワークからは特に大きなヒット番組は出現しなかった。それよりも注目すべき出来事として、既に始まってはいたがこれまでは特に大きな成功とはいえなかった番組、端的に言って「グリー」とABCの「モダーン・ファミリー」が、大きく成績を伸ばして注目された。


この2本は、昨年の時点で既に評価は高かった。音楽好きで「グリー」を貶している者は見たことがないし、「モダーン・ファミリー」は、ここ数年枯渇していた米コメディ界の救世主的な評価をされていた。だからこの2本が今シーズンまで継続されたのは当然だが、しかし、本当に、今シーズンになっていきなり2本とも放送される度に自己記録を更新する快進撃で、目を見張らされる活躍振りだ。


そして実際「グリー」は、先シーズンより今シーズンの方が面白い。ストーリーよりも、番組に使用される音楽パフォーマンスの部分が、今シーズンの方が手が込んでいて面白いのだ。ブリトニー・スピアーズやマドンナの曲を使用したエピソードや、「ロッキー・ホラー・ピクチャー・ショウ (Rocky Horror Picture Show)」のエピソード等は、話題性だけでなく確かに面白く見たが、それよりも私が本気で感心したのは、グウィネス・パルトロウがゲスト出演した、シーズン第7話の「ザ・サブスティテュート (The Substitute)」だ。


パルトロウは本気でカントリー・シンガー・デビューして、先頃放送された「カントリー・ミュージック・アウォーズ (Country Music Awards)」でもその歌声を披露していた。ただし、だからといって私が感心したのは彼女に対してではない。正直言って私はカントリーにはまったく興味はないし、パルトロウだろうが誰だろうが、誰が歌ってもそれは同じだ。私が唸らされたのは、このエピソードで流れた、「雨に唄えば/シンギン・イン・ザ・レイン (Singin’ in the Rain)」と、リアーナの「アンブレラ (Umbrella)」をミックスしたそのアレンジだ。


まったく異なる曲をミックスして一曲にまとめるマッシュ・アップは、特にヒップ・ホップ系のアーティストが好んで使う手法で、元々ある歌を使用するため、なんといっても必要なのは、音楽のセンスだ。原曲同士が異なったジャンルであればあるほど、それをうまくまとめて別のまったく新しい世界を提示することができれば、力量は高く評価される。


「シンギン・イン・ザ・レイン」はクラシックのミュージカル・ソングで、この世にこれを聞いたことのない者はまずいないんじゃないかと思う。一方の「アンブレラ」も数年前に一世を風靡した大ヒット曲で、これまた若い世代でこの曲を知らない者はいないだろう。両曲に共通するキー・ワードは、もちろん、雨、アンブレラ (傘) だ。とはいえまったく世代もジャンルも異なるこれらの曲が一つの曲としてマッシュ・アップされ、しかも完全にまとまっている。もう、とにかくこの才能、センスには本気で感心した。これを作った奴は偉い。思わずTV画面に見とれた。曲が終わった後に思わず女房と二人してTV画面に向かって拍手した。TVに向かって拍手したのは、昨年末のフィギュア・スケートの日本選手権で、これに負ければ後がなく、オリンピック出場の道が絶たれるという崖っぷちに追い込まれた浅田真央が、全身から絶対に負けないというオーラをまき散らしながら滑ったパフォーマンスを見てしびれた時以来だ。


Glee          

グリー   ★★★

The Sing-Off        

ザ・シング-オフ   ★★1/2

一方、昨冬には、既に評判になりつつあった「グリー」効果もあったのだろう、NBCが、ア・カペラ・チーム同士を争わせる勝ち抜きリアリティの「ザ・シング-オフ」を編成した。これもそこそこ話題にはなり、このほど第2シーズンの放送が始まった。


この手の近年のタレント発掘系の勝ち抜きリアリティは、元祖とも言える「アメリカン・アイドル」からしてそうだが、第2シーズンになるといきなりレヴェルが上がる。参加者が第1シーズンを見て既に進行を知っているのと、第1シーズンがあることを知らなかった実力者たちが、第2シーズンからここを先途とばかりに出てくるからだ。


「シング-オフ」もその例に漏れず、どう見ても昨年より今年の方がレヴェルが高い。10チームが出て勝ち抜きになるのだが、昨年出て優勝したノタ (Nota) は、今年だと優勝はまず無理なんじゃないかと思える。本物の大学のグリー・クラブである、イェール大学のザ・フィッフェンプルーフス・オブ・イェール (The Whiffenpoofs of Yale) は伝統の強さを感じさせるし、歌うことは私の人生と言い切る、ヴェテラン中のヴェテラン、ジョリーローソンとトーク・オブ・ザ・タウン (Jerry Lawson & Talk of The Town) には、もう脱帽だ。ちゃんとお金をとって見せる芸の域に達している。こんなのが在野にごろごろいるのか。


番組ホストはMTVの「ニューリー・ウェズ (Newly Weds)」で知られる、ジェシカ・シンプソンの元旦那であり、人気ボーイズ・グループ、98°の一員でもあったニック・ラシェイ。いつの間にやらこういう過去形でしか紹介できなくなってしまった。ジャッジはベン・フォールズ・ファイヴのベン・フォールズ、元ボーイズ・トゥ・メン (Boyz II Men) のショーン・ストックマン、元プッシーキャット・ドールズのニコール・シャージンジャーと、彼らもフォールズを除き、現役とは言えないところがちと寂しい。ま、現役ならこういうところでジャッジなぞしていないか。


私の意見では、今季は上記のフィッフェンプルーフスとトーク・オブ・ザ・タウンが優勝候補の筆頭という感じがするが、しかし、最初から優勝を狙ってメンバーを選抜したというザ・バックビーツ (The Backbeats) や、男性のみのコミッティド (Committed) も捨て難い。


このような音楽番組に影響されたからというわけでもないが、実は今冬、うちの女房は晦日にリヴァーサイド教会でベートーヴェンの第九を歌うといって、今、練習に余念がない。彼女は中学高校と合唱部なのだ。たまたまそういう機会が巡ってきたためにまたやる気になったらしい。週末とか暇があるとなにかと歌っており、声が出ない、難しいとか言いながら結構楽しそうにしている。歌うことはストレス解消にもよさそうだ。


おかげで私もむずむずと感化されて、何か音楽をしたいと、先頃ギターを買った。本当はオヴェイションが欲しかったのだが、金がないのでワン・ランク落としてアプローズを買った。それでほとんど4半世紀ぶりくらいにギターをつま弾いてみたりしているのだが、自分で言うのもなんだが、これが結構意外と弾ける。案外指がコードを覚えていて、わりとアルペジオなんか弾けたりする。もちろん素人の域を出るものではないが、それでも忘れないもんだなと、自分でもわりと感心した。それでしまってあった陽水の楽譜なんかとり出して、昔よく弾いた、ギター初心者ご用達の「東へ西へ」なんか弾いて歌ってみたりすると、これが実に気持ちがいい。年末へ向け、音楽づいている今時の我が家なのであった。



追記:

今シーズンの「シング-オフ」、勝ったのはコミッティドだった。毎度のことながらこの手の予想は当たらない。








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