また失敗した。本当は今週、「ザ・ゴールドフィンチ (The Goldfinch)」を見るつもりだったのだ。先週、旅行のために映画を見られず、そのため先々週、何を見るかと迷った時に、公開か始まったばかりの「ゴールドフィンチ」より、そろそろ公開が終わりそうな「エンド・オブ・ステイツ (Angel Has Fallen)」を優先した。 

  

そしたら、旅行から帰ってきたら、「エンド・オブ・ステイツ」はまだ公開中なのに、「ゴールドフィンチ」が劇場から消えている。信じらんない。 メトロポリタン美術館を爆破するという予告編はそれだけで興奮させ、絶対見るつもりでいたのに。ご当地映画なのにニューヨーカーにアピールしなかった理由は何だ? 

  

探してみると、お隣りの州のペンシルヴァニアではまだやっているところもあるが、しかし100kmくらいある。逆方向のマンハッタンでは、あそこはなんたって映画館の数が多いから探せば上映しているところもあるだろうとは思うが、クルマ出すとトンネル代に15ドルくらい獲られるし、クルマ停めるのに苦労するし、その上チケット代も高い。さりとてわざわざ駅まで遠いのにクルマと徒歩とサブウェイ乗り継ぐ気にもなれず、断念する。いずれにしてもそういうわけで、気をとり直して今週は「アド・アストラ」だ。一気に舞台は宇宙だ。 

 

近未来、太陽系は原因不明のパワー・サージで覆われ、このままだと人類の存続が危ぶまれた。10年以上前に、地球外生命体探索のミッションで太陽系を航行し、行方が知れなくなった船の船長だったクリフォード・マクブライド (トミー・リー・ジョーンズ) がまだ生きている可能性があり、そのことがパワー・サージと何らかの関係があると思われた。 

 

クリフォードの息子で、同様に宇宙飛行士のロイ (ブラッド・ピット) が召喚され、果たしてクリフォードがまだ生存しているかどうかを確認する極秘のミッションに任命される。父同様、有能な宇宙飛行士であるロイだったが、一方で無感情とすら言える冷静さは、人間関係においてはマイナスの部分もあった‥‥ 

 

ブラッド・ピットが主人公の宇宙もので、単純にSFアクションだとばかり思っていたのだが、もちろんアクションも豊富だが、それでもどちらかというとわりと静謐という印象を受ける。特につい最近、クエンティン・タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (Once Upon a Time in Hollywood)」での、妻を殴り殺したと噂されている、しれっとした武闘派タイプの用心棒を演じるピットを見たばかりだったので、なおさら違いが目につく。ピットって、そういや元々こういう繊細さを出せる役者ということで注目されたんだった。本人がそれが嫌で一時マッチョ役ばかりをやりたがったので段々こちらもそれに慣れていったが、そういうマッチョな役もできれば微妙な表情も出せて、役者としては円熟期に入ってきた。 

 

演出がニューヨーク派のジェイムズ・グレイということも、あれっと思わされる。これまでニューヨークが舞台の作品ばかりを撮っていたものが、前作がアマゾンが舞台の歴史アドヴェンチャー「ロスト・シティZ (The Lost City of Z)」、次いで宇宙が舞台のSF「アド・アストラ」と、いきなりジャンルが拡散し始めた。グレイは影響を受けた作品の一つとしてスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅 (2001: A Space Odyssey)」も挙げいているから、元々そういう資質も持っていたものと思われる。 

 

「アド・アストラ」は、プロダクション・デザインにもかなり目を奪われる。近未来、月旅行が日常的になって頻繁に月面へロケットが飛んでいるため、ロケットも富裕層の客を満足させるため、豪華な仕様、内装になっているが、その先の火星へはまだ一般向けの豪華な旅が確立されておらず、そこへ向かうロケットは不要な仕様、設備を省いた一見無骨な、機能優先の機械機械したものとなっている。本当に将来のロケットはこんな感じになりそうだと思わせる。もしかしたらあと数十年くらいで、本当に人類が旅行で訪れる月基地ができるかもしれないという気にさせる。 

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近未来。宇宙飛行士のロイ・マクブライド (ブラッド・ピット) は、ほとんど感情がないと思われるくらい常に冷静で、そのため宇宙飛行士として有能だが、一方で妻のイヴ (リヴ・タイラー) とは心が離れていた。そのロイに、伝説的宇宙飛行士である父のクリフォード・マクブライド (トミー・リー・ジョーンズ) が生きている可能性があるという情報がもたらされる。父は10年以上前に地球外生命体を探るプロジェクトに携わり、海王星で消息を絶ち、死んだものと思われていた。ロイは父の親友だったトマス・プルーイット (ドナルド・サザーランド) と共に月に発つ‥‥ 

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