Bite Me with Dr. Mike   バイト・ミー・ウィズ・ドクター・マイク

放送局: トラヴェル・チャンネル

プレミア放送日: 6/23/2009 (Tue) 22:00-23:00

製作: ナチュラル・ヒストリー・ニュージーランド

製作総指揮: マイケル・ステッドマン、アンドリュウ・ウォーターワース

ホスト: マイク・リーヒー


Monsters Inside Me   モンスターズ・インサイド・ミー

放送局: アニマル・プラネット (AP)

プレミア放送日: 7/1/2009 (Wed) 21:00- 22:00

製作: オプトメン・プロダクションズ

製作: ドミニク・ストバート、トニー・リー、アレクシス・シガース

ホスト: ダン・リスキン


内容: 寄生虫、害虫の実態をとらえるリアリティ/ドキュメンタリー2本。


_______________________________________________________________


なかなか怖ろしいリアリティ/ドキュメンタリー・ショウを2本立て続けに見てしまった。その2本、トラヴェルの「バイト・ミー・ウィズ・ドクター・マイク」と「モンスターズ・インサイド・ミー」は、どちらも身体の中に潜む寄生虫や、毒虫害虫の類いをテーマとする番組だ。こういうのって、なかなかどうして怖いもの見たさの誘惑に抗し切れなかったりする。見た後でだいたいイヤな夢を見そうで後悔するんだが。


両者を区分けすると、「バイト・ミー」がホストが前面に出てきて、様々な寄生虫や害虫の類いを紹介したり実地に自分が実験台になったりしてみる、どちらかというとエンタテインメント性重視のリアリティ・ショウで、「モンスターズ」が寄生虫に巣食われてかなり痛い目に遭った人々の話を聞いたり、菌が蔓延した事件等を再構成するドキュメンタリーという印象だ。方やエンタテイニング、方やシリアスなのだが、どちらも怖いことには変わりない。


「モンスターズ」は、特に身体の内部に入り込んだ寄生虫を集中して取り上げる。だいたい1話に3件ほどのエピソードが収められている。プレミア・エピソードの最初の話は、まだ1歳にも満たない男の子がいきなり身体が動かなくなるというもので、検査に検査を重ねた結果、脳に寄生虫がいることが判明する。


たぶん誤って外で口の中に入れたものに、アライグマを介する寄生虫がいたらしい。大人なら大丈夫でも、まだ身体ができていない子供だと免疫力が弱くて抗しきれない。それよりも物心ついた後なら、屋外で土やら泥やらを口に中に入れないだろう。それをやってしまうのが子供というもので、しかもその時に大人がそばにおらず、口の中に入れたものを嚥下してしまった。


こういうので怖いのは、原因が判明した時は、往々にして既に治癒不可能なダメージが与えられた後であるということだ。単なる外傷じゃない。一度壊れたら元に戻らない脳のシナプスがダメージを受けてしまったのだ。その子も可哀想だが親も可哀想というしかない。


その次と次のエピソードでは寄生虫が身体の中にいることが判明した大人の男性に焦点を当てるが、一人は十何年も前に兵役で行ったヴェトナムでフィラリアに罹り、もう一人はやはり何年も前に旅行したアフリカの湖で泳いだことが原因で住血吸虫が体内に入り込んだと後で知れる。別に特に皮膚を齧って体内に侵入したり、傷口とかを必要としない。普通に毛根を通って体内に入れるのだそうだ。


番組第2回ではジャマイカにフィールド・トリップに行った学生全員が、多分サラダによってネズミ肺虫に感染する。また、1992年にミルウォーキーで発生したクリプトスポリジウムのアウトブレイクの理由を探り、テキサスのリーシュマニアの感染源を探る。意外だったのが、これらの寄生虫は最終的に宿り主の脳に落ち着き、そこで脳を食い荒らして宿り主を死に至らしめることが多いという事実で、なぜわざわざ脳なのか。そこが一番うまいのか。しかも宿り主を殺してしまったら自分も死んでしまうことにならないのか。いずれにしても、とにかく見るだけでなんか皮膚の下がもぞもぞとしてくる。東南アジアやアフリカには旅行しないと心に決める。


一方、「バイト・ミー・ウィズ・ドクター・マイク」は、変わり者のウイルス学者マイク・リーヒーが、世界中のそういう害虫寄生虫の多い場所に行ってそれらを紹介‥‥するだけでなく、時には実地に自分の身体で体験してみる。ものによっては完治する保証なぞどこにもない疫病や退治の難しい寄生虫をわざわざ自分の体内に取り入れてみせるのだ。お前はいったい何を考えているんだ。


番組第1回でリーヒーの向かうところはブラジルで、アマゾンの内奥というだけでなく、リオのような都会の片隅に潜むそういう虫や小動物、寄生虫を紹介する。リーヒーがまず最初にやったことは、ファイア・アントという攻撃型のアリに自分を噛ませてみるということ。体長5mmくらいで特に大きくはないが、接写になると小さいながらも牙がすごい。噛まれるとかなり痛いようだ。それだけでなく、リーヒーはそのアントに強力にアレルギー反応 (アナフィラキシー) を起こしてしまう。いきなり噛まれたところが猛烈に腫れて歩けなくなり、唇が腫れてろれつが回らず、まぶたも腫れて目を開けられなくなる。いきなり番組のそもそもの最初で病院送りとなった。すぐに治療したからよかったが、処置が遅れると本当に命にかかわりかねない。こんなんでこの先大丈夫か。


元気になったリーヒーはその後、「シティ・オブ・メン (City of Men)」の舞台となったファヴェラの片隅で、猛毒を持つタランチュラの一族を見つけ出す。何よりも怖ろしいのは、こんな怖ろしい毒グモと人間がすぐ近くで共生していること、たぶん人間の方はその事実を知らないことだ。


さらにリーヒーは場所をアマゾンの内奥に移動、アマゾン川に飛び込んで水浴してみせる。現地の人が川で泳がないのは、アマゾン川にはビルハルツ住血吸中という怖ろしい寄生虫が住んでおり、上述のように、これらの寄生虫はたとえ傷口なぞなくても皮膚の中に入り込んでくるからだ。そういうことを説明しながら泳ぐな!


その後リーヒーは密林の中に入り、今度はブリット・アントと遭遇する。こいつは2cmくらいある結構大型のアリで、頭がでかく、従って牙もでかい。アリというよりも小型のクワガタに近い。これは本当に噛まれると痛そうだ。一回だけ、と言いながらリーヒーは自分の腕を噛ませたのだが、痛くて飛び跳ねていた。次にはピラニアを釣ってそいつを泳がせているバケツの中に自分の腕を突っ込んでみる。わざわざナイフで自分の手に平に傷つけて血を出しておびき寄せるんじゃない!


さらにリーヒーはシャーガス病を媒介するという吸血系の虫にわざわざ血を吸わせ、おしっこ中に滝登りして尿道から体内に入ってしまうという恐怖の魚カンディルを紹介し、締めは吸血コウモリだ。番組第1回からこんなにてんこ盛りでいいのかと思ってしまうが、実はまだこれらは序の口だった。番組第2回ではリーヒーはインドに向かう。インド、聞いただけでこいつのことだ、なんかに感染してしまうのは確実だろう。そしてその期待は裏切られない。


リーヒーが向かったところはヒルに血を吸わさせるという健康療法を行っているところで、5cmくらいのヒル数匹がそれこそ倍の長さ、4、5倍の体重くらいになるまでヒーリーの背中の血を吸い続ける。背中は血まみれだ。そりゃあ時々身体に真空のカップを当てて吸引させ、たぶん血行をよくするという名目の治療法を見たことはあるが、しかしこれは‥‥逆に病気にならないか。


サルのいる町では、噛まれれば狂犬病やヘルペスBというやばい病気になる確率の高いサルの、縄張り抗争の巻き添えを食って、さすがにサルにまで噛まれる気はなかったのに噛まれてしまう。たまたまそれがパンツのポケットの上からで、そこにメモ帳が入っていたため牙が皮膚まで到達せず、九死に一生を得た。


そしてこれが今回の極め付けなのだが、リーヒーはわざわざ街頭で売っている果物を洗わずに食い、そして汚物の浮くガンジス川で沐浴を半分は強制させられる。なんでガイドのやつはこんな濁った川をばい菌はいないなんてしらっと言えるんだ。頼むから川の水を口に含まないでくれ。あんたの近くをどう見てもウンチが流れている‥‥


当然のことながらこれらの結果、リーヒーは見事にジアルジア症に感染して下痢に悩まされ、そして検査の結果、腸の中で回虫が孵化しているのも確認される。もちろん身体の中で永久に回虫を飼い続けている気はなく、虫下しを飲んだ翌日、リーヒーは移動中のバンの中で衝動を覚え、車を止めさせて草むらの陰に走って行って用を足す。スタッフに水を持ってこさせ、自分の便の中から掬いとった回虫を水洗いし、カメラの前に持ってくる。カメラが草むらの後ろまで行って全部見せるわけじゃなくてよかった。嬉々としたリーヒーの手の平の中には思わずのけぞるくらいの大量の回虫の死骸が‥‥。カメラのアンちゃんも思わずすげえ臭いだとか言っているし、あー、もうダメだ、まともにTVを見ていられん‥‥


インド編はこれで終わりだが、リーヒーの世界行脚は当然まだまだ続く。番組第3回はリーヒーは今度はヴェトナムに行き、そこでやはりまた、トリ・インフルエンザの発生のためわざわざ衛生面の点から販売が禁止されているトリの血のスープを市場のどこかからか探し出してまずいと言いながら飲み、明らかに虫つきのウシだかブタだかの生肉からやばそうなその部分をちぎって口の中に入れる。そして今度は見事に腸の中にサナダムシを育てることに成功したのだった。


虫下しを飲んだリーヒーが、こんどは野グソじゃなくホテルのトイレの便器に座って力んだ結果出てきたものは、既に体長1mは超えたサナダムシだった。それを嬉々として「ビューティフル」なんて言いながらつかむな、水洗トイレだから一応水を流せば洗われているということにはなるんだろうが、しかし、それ、あんたのケツから出てきたばかりだぞ。TVだからわからんが、きっと現場は臭いに違いない。あー、もうほんとに、あんたってやつは。本人も身体を張っているだろうが、この番組のカメラマンには金輪際なりたくないなと思う。こういう寄生虫は空気感染しなくていいのか。


番組のその後の回では、リーヒーはボルネオ、メキシコ、オーストラリアのアウトバックやアメリカはフロリダのエヴァーグレイズやアリゾナの砂漠で、やはり様々な害虫や小動物、寄生虫と遭遇する。この番組、面白いは面白いんだが、録画しといてメシ時に見ようとすると痛い目に遭う。それにまた、番組が第2シーズンまで続いても、リーヒーが生きてホストを続けていられるのだろうかとあらぬ心配もしてしまうのだった。たとえリアリティ・ショウでも、時には番組ホストも本当に命がけだ。








< previous                                    HOME

 

Bite Me with Dr. Mike

バイト・ミー・ウィズ・ドクター・マイク   ★★★

Monsters Inside Me

モンスターズ・インサイド・ミー   ★★1/2

 
inserted by FC2 system