Godzilla vs. Kong


ゴジラ vs コング  (2021年4月)

実は「ゴジラ」はともかく、「キングコング」の方は新シリーズになってからは見ていない。歳と共にCG多用作品にはあまり興味を惹かれなくなってきており、それでも「ゴジラ」の場合は少年期から付き合ってきてもいるし、新シリーズになっても新しい発見があったりするのでいまだに見ているが、正直言って他のCG系作品にはほとんど食指が動かない。 

 

今回も「キングコング」の新作としてはあまり惹かれていたわけではないが、そこはそれ、やはりコングがゴジラと戦うという構図にはなにがしかの興味を覚えないわけではない。しかも現在、「ゴジラ」、「キングコング」フランチャイズを展開しているレジェンダリー作品は、アメリカでは同社と契約しているケーブル・チャンネルのHBOが、ストリーミングでも提供する、Netflixと同じ戦略をとっている。おかげで劇場封切りと同時に、ストリーミングでただで見れてしまう。さすがにこのチャンスをみすみす逃す気にはなれないのだった。 

 

今回は前回からの続きではあるが、前回の主人公格だったミリー・ボビー・ブラウン演じるマディソンは、どちらかというと後ろに引っ込んでいると印象で、代わって新しく前面にでてくるのは、新悪役として、地底にあるに違いないホロウ・アースとそこを住処としているに違いないタイタンたちの秘密を探ろうとする企業エイベックスのトップ、シモンズ (デミアン・ビチル) だ。 

 

えっ、これって、もしかして、マディソンもまだ出ているということは、父親役のカイル・チャンドラーもまだ出てるんじゃないの、ということは、もしかして、今回の「ゴジラ」は、「ミッドナイト・スカイ (The Midnight Sky)」に何か関係している? という気になる。チャンドラーもビチルも二人共「ミッドナイト・スカイ」に出ているのだった。 

 

この二人以外にも、アレグザンダー・スカースガート、レベッカ・ホール等の中堅俳優が出ているが、如何せん出番が少な過ぎてあまり印象を残せない。皆にそれぞれ見せ場を作ろうとして、逆にみんな中途半端になっている。詰め込み過ぎというか端折り過ぎというかご都合主義というか、ほとんどのストーリー・ラインが中途半端に感じる。小栗旬って、彼はギャグとして使用されているのか?              

 

そういうのにも増して今回の私にとってのマイナス・ポイントは、CGアクションにまったく興奮できなかったことだ。これは映画館の大きなスクリーンではなく、家の42インチのTVで見ているせいだからなのか、ゴジラとコングが格闘していてもまったくエキサイトしない。TVで見ると、よい点より悪い点の方がよく見えるというのは前々から感じていることではあるが、それにしてもなぜこんなにアンチ・エキサイティングなのか。 

 

だいたい、市街地でゴジラを筆頭とする怪獣が暴れる時は、逃げ惑う市民がいなければならないが、なぜだか香港にゴジラが現れると、都会であるはずの香港からほとんど人がいなくなる。避難したというよりも、いきなりいなくなる。これでは崩壊するビルから人が逃げたり下敷きになったりするという描写が描けない。作り手側に、そこに人を配置するという意識がまったくなかったようで、これはがっかりだ。これではなんのためにゴジラとコングを市街地で戦わせるのかわからない。 

 

その香港も、本当にそうなのか、なぜだかほとんどのビルの外壁が電飾を施され、まったくチープな印象しか受けない。香港って、こんなみっともない街なのか? 段々本気でこんな都市全滅させてしまえという気になってくる。 

 

ただし、ゴジラとコングをどちらも正義の側に立たせるのはなかなか難しそうだな、最後には痛み分けみたいな風に持って行くと思うが、いったいどうするんだろうと思いながら見ていたところ、悪役としてメカゴジラを持ってきたのは、そうか、そういうのがいたと、この展開は悪くなかったと思う。おかげでゴジラとコングが共闘する理由ができた。 

 

しかし、それでも今回本当に「ゴジラ vs コング」に満足できなかった理由は、やはり前回、伏線が引かれていたはずのモスラに出てきてもらいたかったこと、そして前回も登場したチャン・ツィイーが、ここでこそCGの双子でも構わないから登場して、モスラーやモスラーと歌ってもらいたかったという希望がかなわなかったことだ。期待してたのに。これこそが押さえるべきポイントだったんじゃないのか。 

 













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突如フロリダにゴジラが現れ、エイペックス・サイバネティクス研究施設を破壊する。難を逃れた研究員のバーニー・ヘイズ (ブライアン・タイラー・ヘンリー) は何か大きな陰謀が企てられていると感じ、彼のポッドキャストを聞いたマディソン (ミリー・ボビー・ブラウン) も賛同する。一方、エイペックスのウォルター・シモンズ (デミアン・ビチル) は、ホロウ・アース研究者のネイサン・リンド (アレグザンダー・スカースガード) をリクルートし、地底奥深くにあるに違いないタイタンたちの住処とその秘密を探らせようとする。ネイサンは旧知のアイリーン (レベッカ・ホール) に連絡し、髑髏島のドーム施設に住んでいるコングに、南極から地底に降りる案内役になってくれるよう頼む。しかし巨大な船でコングを南極に運ぶ途中に現れて行方を阻んだのは、ゴジラだった‥‥ 


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