デブリー (Debris) 

放送局: NBC 

プレミア放送日: 3/1/2021 (Mon) 22:00-23:00  

  

物語: 宇宙空間でエイリアンの宇宙船と思われる正体不明の物体が爆発粉々になり、その破片 (デブリー) が地球上に降り注ぐ。デブリーは地球上の物理法則をまったく無視する説明不能の力を持ち、環境に影響を与えていた。CIAのブライアン・ベネヴェンティ (ジョナサン・タッカー) とMI6のフィノラ・ジョーンズ (リアン・スティール) が共同で捜査に当たる。デブリーをなんらかの企みに利用しようとする何者かが既に動き始めており、その中には死んだと思われていたフィノラの父もいた‥‥ 


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Debris


デブリー

「デブリー」の番宣は昨年から強力に始まっており、さすがにこれだけCMを見せられると、それなりに興味が湧かないこともなかった。クルマのそばを低空に浮いたままの人が揺蕩うシーンは確かに絵として印象的だった。 

 

エイリアンの宇宙船が宇宙空間で爆破し、そのデブリーが地球上に降り注ぎ、各地で異常な事態を引き起こす。さらにそのデブリーを求めて謎の組織が暗躍するというもので、アメリカのCIAエージェントと英国のMI6のエージェントの二人が共同で捜査に当たる。 

 

印象としてはかつてのFOXの「X-ファイルズ (The X-Files)」と「フリンジ (Fringe)」を足して割ったような感じだなと思っていたら、「デブリー」製作はその「フリンジ」の J・H・ワイマンで、なるほどと思わせられる。 

 

「X-ファイルズ」も「フリンジ」も、超常現象や不可思議な出来事、事件を追って毎回全米各地に出張っていたが、「デブリー」もその体裁をなぞっている。また、氏も育ちもものの考え方もまったく異なる異性がペアを組むという構造で、「X-ファイルズ」のモルダーとスカリーを思い出さない者はいないだろう。ということは、現在お互いに様子見という感じのブライアンとフィノラの関係も、だんだん近づいてくるものと思われる。 

 

ブライアンを演じるジョナサン・タッカーは、実を言うと個人的に最も印象に残っているのは、かれこれ20年も前の「ディープ・エンド (The Deep End)」なのだが、その時の線の細さと真逆のマッチョな男を演じた一昨年の短編、「スキン (Skin)」の差別主義者で再び印象に残った。 

 

番組としては何度も見せられた低空に漂う人体というイメージの印象が強かったため、視覚的に面白い番組を期待したが、特にプレミア・エピソードは、実際期待に違わず面白い。デブリーは地球の引力・重力を無視するため空中に浮かんでおり、それを見たホテルの階上にいるメイドがデブリーに触った瞬間、何十階もの階差を飛び越えて地上階近辺の宴会場に墜落する。 

 

また、ものをテレポートさせることができるため、それを利用して移動しようとした人間が、半身がどこぞの建造物の柱と合体してしまい、出るに出られず助けてくれと懇願する。番宣でも見せられた浮遊する人間が、どこぞの金網に引っかかったまま動けないでいる。ブライアンが金網から外すと、また空中をゆらゆらと移動していく。 

 

番組第2回ではデブリーは、ある人間のクローンをエンドレスで生産する。空中で生まれた何体もの同じ人間のクローンが次々と現れては床に落ちる。そのうちの何体かは失敗作で、結合双生児のように身体がくっついていたり、あるいは一部がなかったりする。 

 

これらのイメージは実によくできており、印象に残る。残念なのは視覚的に最も印象的なこういう演出が、回が進むに連れて減っていくことで、たぶん最もよくできたイメージは最初のエピソード方に固まっている。要するに、最初の2、3話が最も面白く、その後ちょっと尻すぼみしていく感は否めない。 

 

近年のこういう謎や超常現象を描く番組として、同じくNBCの「マニフェスト (Manifest)」があるが、これもやはり、興味を持続させるのに苦労している。「デブリー」は、まだ引き出しがあるようなら、出し惜しみせず、1シーズンか2シーズンで出し切って大団円を迎えることができるなら、まだ面白くなるはずと思う。 


 


 











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