放送局: ニコロデオン

プレミア放送日: 1/9/2005 (Sun) 20:00-20:30-21:00

製作: シュナイダーズ・ベイカリー、アポロプロスクリーン、ニコロデオン・プロダクションズ

製作総指揮: ダン・シュナイダー

共同製作総指揮: ジョー・カターニャ

出演: ジェイミー・リン・スピアーズ (ゾーイ・ブルックス)、ニコール (アレクサ・ニコラス)、クレイグ・ロバート・ヤング (ファーガソン)、ショーン・フリン・アマー (チェイス)、ポール・ブッチャー (ダスティン)、デイナ (クリスティン・ヘレラ)


物語: 元男子校のパシフィック・コースト・アカデミーが女子にも門戸を開放し、ゾーイも入学してくる。すぐにチェイスやルームメイトのニコールと親しくなったゾーイだが、一方で我が儘なデイナに閉口させられる。また、勝ち気なゾーイは女子を見下す男子のバスケットボール・チームに我慢がならず、挑戦状を叩きつける。しかし女子チームを結成してみたはいいものの、ゾーイ以外は誰もほとんどプレイできない。どんどん点差をつけられるのに見かねたデイナが助っ人に登場するが‥‥


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近年、セレブリティの血縁繋がりによるTV番組は、リアリティ・ショウ、ドラマ、シットコム等、あらゆるジャンルに進出している。特にジェシカ・シンプソンの妹アシュリーが主人公のリアリティ・ショウ「ジ・アシュリー・シンプソン・ショウ」とジュリア・ロバーツの姪エマが主演のコメディ・ドラマ「アンファビュラス」は、その種の番組を代表する、昨年の2大ヒット番組と言ってよかろう。


そして私見では、今回の「ゾーイ101」を加えた3本が、この種のセレブ絡み番組を代表する三羽烏と言えると思う。実際、「ゾーイ」の主演のジェイミー・リン・スピアーズは、現在絶大なる人気を誇る (誇っていたと過去形にしてもいいか?) ブリトニー・スピアーズの実の妹であり、姉の知名度はこれ以上望むべくもなく、また、本人自身、ニコロデオンのコメディ「オール・ダット (All That)」でTVデビュー済みで、少なくともロウ・ティーンには既に顔は売れていた。土壌は整いつつあったのであり、ジェイミー・リン主演のTV番組の製作は、既に時間の問題になっていたと言っていい。そして満を持して登場したのが、この「ゾーイ101」なのだ。


「ゾーイ101」の舞台設定は、排他的とも言える上流階級ご用達の男子校が、時流の波の前には逆らえず、伝統を破って女子を受け入れるようになったというもので、当然、その第一期生の女子生徒主人公ゾーイに扮するのがジェイミー・リンだ。金持ちの子女が集うその学校パシフィック・コースト・アカデミーは、太平洋を眺める広大な敷地を持つ、全寮制の学校だ。寮であるからして二段ベッドが用意されている相部屋なのだが、それでもバルコニーからは太平洋が望め、広く清潔な室内は、寮と言うよりもプチ・ホテルのイメージだ。


番組は、そういう環境でいかにもありがちな男の子 vs 女の子的な対立や友情を描くものとなっている。プレミア・エピソードでは、威張りんぼの男の子のバスケットボール・チームに業を煮やしたジェイミー・リンことゾーイが女子バスケットボール・チームを結成、男子チームに勝負を挑む。しかし、ここでまともにスポーツができるのはゾーイだけで、急造女子チームは男子チームにまったく歯がたたない。そこへそれまでは嫌っていた女の子デイナが助っ人として現れ‥‥という展開だ。


別に話そのものはいいんだが、いかんせん女の子の中でスポーツができるという設定になっているゾーイと、彼女を助けるデイナの二人が突出してバスケがうまく、二人の活躍で男子と同等に勝負するという展開に無理がありすぎるのが難だ。ジェイミー・リンは、姉があれだけダンスがうまいわけだから、本人も決して運動神経が悪いわけじゃないだろうし、デイナ役のクリスティン・ヘレラも頑張ってはいる。しかし、それでも誰がどう見ても二人のバスケのレヴェルは男子レヴェルにはないことがありありで、いくらTVとはいえ、こういう無理を通すのはちょっと興ざめだなと思ってしまう。


さらに、単なる物語としても、素人の域をほとんど出ていないジェイミー・リンの演技に及第点を与えるのは、どうしても躊躇われる。その点、おばさんがオスカー女優のジュリア・ロバーツで、一応番組でも演技をしているエマや、リアリティ・ショウのため演技の必要がまったくないアシュリーらの番組と比較してしまうと、ジェイミー・リンにはどうしても分が悪いかもしれない。


それでも、だからといってどこからもジェイミー・リンの演技が云々的な話が聞こえてくるわけでもないのは、当然番組が子供向けで、そこまで突っ込んで文句言うような奴は私くらいしかいないこともある。しかしそれよりも、端的に番組の主旨がそこにない、つまり、視聴者はバスケットボールをしたり、男の子に突っかかっていったりするジェイミー・リンの溌剌とした魅力の方を楽しむからということの方が大きい。実際、既にブリトニーで可愛い子ちゃんの血筋を証明済みのジェイミー・リンの魅力自体は否定のしようがなく、彼女もあっという間にスターの仲間入りだろうなと思わせる。


ジェイミー・リンは誰がどこから見てもすぐブリトニーの妹とわかるほどそっくりで、遺伝子というものは不思議なものだと思ってしまう。アシュリー・シンプソンが出てきた時に、彼女は実は姉のジェシカよりもブリトニー的な可愛さがあるということで評判になり、人気も出た。実際、私の女房は最初、アシュリーをブリトニーの妹だと思っていたくらい似ている。しかしこうやって見ると、やはりジェシカ=アシュリー、ブリトニー=ジェイミー・リンという構図の方がぴたりと収まる。新シーズンの「ニューリーウェズ」を見ると、最近ではジェシカも化粧の仕方を覚えたかそれとも見せ方を心得るようになったのか、以前より可愛らしくなったようで、この二つの姉妹対決 (共闘とも言えるか) は、現在、アメリカで最もホットな話題の一つと言えよう。たぶん音楽レーベルは、今後ジェイミー・リンをシンガーとしてどう売り出すか知恵を絞っているに違いない。


ジェシカ=アシュリー同様、ブリトニーとジェイミー・リンも仲がいいらしく、ジェイミー・リンは番組が始まった時にCBSの「レイト・ショウ」にゲストとして招かれていたのだが、ホストのデイヴィッド・レターマンがジェイミー・リンに、で、どう、あんなスーパースターがお姉さんというのは? と訊かれて、「It's cool」、と答えていた。一緒にショッピングに行ったりすると、派手に買い物できたりして楽しいらしい。今後はブリトニーだけでなく、ジェイミー・リンもショッピングに行く時は変装せざるを得なくなるのだろう。


また、ブリトニーは「ゾーイ101」にテーマ・ソングをプレゼントしている。歌っているのはジェイミー・リンだが、番組の対象年齢が7、8歳からせいぜいロウ・ティーンにしては、わりとベイスを効かせた渋めのロック調で、自分のことを信じるんだ、なんて、いかにも姉が妹に歌って聞かせるような内容の歌詞だ。流行の移り変わりの速いこの世界のことである、既に結婚後ちょっと活動を控えている感じのブリトニーの代わりに、ジェイミー・リンの新曲がヒット・チャートを駆け上っていくのもそう遠い話のことではあるまい。





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Zoey 101

ゾーイ101   ★★

 
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