第106回全米オープン

2006年6月15-18日   ★★★★

ニューヨーク州ママロネック、ウィングド・フット・ゴルフ・クラブ

サッカーのワールド・カップと重なった今年の全米、しかもカップ開催地は時差6時間で済むドイツとあって、すべて生中継が朝9時から夕方5時まで詰まっている。しかも1次リーグのアメリカ-イタリア戦が土曜3時、日本-クロアチア戦が日曜朝9時だ。これじゃゴルフだけに憂き身をやつしている場合ではない。全米だってニューヨーク、ママロネックのウィングド・フットという地元開催で、盛り上がってないわけではないが、私もプレイしたことがあるベスペイジと違って、アップステイトにあるプライヴェイト・コースのウィングド・フットは行ったこともなく、特に思い入れがあるわけではない。申し訳ないが今回の全米は、まともに見るのは最終日だけにさせてもらう。

さらに、父アールの死後、久しくプレイを控えていたタイガー・ウッズは、どう見ても本調子ではなく、初日6オーヴァー76、2日目6オーヴァー76、通算16オーヴァーで予選落ちしてしまう。ウッズがメイジャーで予選落ちしたのは、プロ入り後初めてじゃないか? いずれにしてもそのおかげで、心おきなくサッカーの方に集中できるというのはあるが。

その全米、3日目を終わって首位は2オーヴァーのケネス・フェリーとフィル・ミッケルソン。1打差3オーヴァーにジオフ・オグルヴィ、5オーヴァー4位にコリン・モンゴメリ、スティーヴ・ストリッカー、ヴィージェイ・シングの4人。6オーヴァー8位にジム・フューリック、パドレイグ・ハリントン、マイク・ウィアーの3人が並ぶ。全米って、必ずと言っていいくらいヴェテランとダーク・ホースが絡む。もちろんそれはそれで面白い。

全米らしい我慢較べは、一時ミッケルソン、フューリック、モンゴメリ、オグルヴィの4人が4オーヴァーで首位に並ぶが、ミッケルソンが14番パー4でバーディをとり、一人3オーヴァー。他のゴルファーはその時点ですべて5オーヴァー以上で、2打差のクッションで勝負あったか。しかし17番パー4でモンゴメリが大きく右に曲がるまさかの60フィートのバーディ・パットを沈めて4オーヴァー。一方のミッケルソンは16番パー4で第2打がバンカーに大目玉で捕まり、アップ&ダウンに失敗、ボギーで、いきなり4オーヴァーで二人が並ぶ。まさか実はモンゴメリのメイジャー初制覇という筋書きか。

しかしそのモンゴメリ、18番パー4でパーフェクトなティ・ショットを放っておきながら、第2打をショートさせ深いラフへ。結局このホール、まさかのダブル・ボギーで沈む。その直後のパーティのオグルヴィも18番、第2打をショートさせてグリーンからボールがこぼれ落ちながら、そこからのアップ&ダウンを成功させてパー・セイヴを拾い、5オーヴァーでレギュレイションを終える。

メイジャー3連覇という近代ゴルフではウッズ以外誰も成し遂げたことのない偉業に大手がかかったミッケルソン、最後の18番をパーで上がれば優勝だが、そこでティ・ショットは大きく左に曲げてホスピタリティ・テントの屋根に当たって跳ね返る。深いラフに捕まっていないとはいえ強引にグリーンを狙った第2打は木に当たって跳ね戻り、30ヤードしか進まない。第3打はグリーン左のバンカーにまたもや目玉で捕まってしまい、いきなり優勝どころかプレイオフに黄信号が点滅する。

サンド・ショットはグリーンを越えて深いラフの中に埋まってしまい。ほとんどチャンスは潰える。第5打はカップ右側を無情にも通り過ぎ、この瞬間、オグルヴィの優勝が確定した。ミッケルソンは返しの10フィートを沈めたものの、このホール、モンゴメリ共々まさかのダブル・ボギーで、九分九厘手中にしていた優勝を逃した。攻めのゴルフのミッケルソンがこれまで守るべきところも攻めに入って自滅したのをこれまで何度も目にしているが、今回ばかりはこれまでの自滅とは大きさが違う。最後の最後でモンゴメリ、ミッケルソンと連続自爆の今回の全米、しかも一方で、100から150ヤード程度の第2打、第3打が直接カップ・インするイーグルやバーディが乱発するという、近来ない派手で大荒れ、何が起こるかわからない全米を演出した。

まったく最後の30分はもう‥‥ミッケルソンもまさかこんな自滅で歴史に名を残そうとは思ってもいなかったろう。最終日はウッドでのティ・ショットでフェアウェイをキープしたホールはなかったんじゃないか。それで最後の最後までリードをキープしたことを誉めるべきか。オグルヴィは直前の17番パー4で、フリンジからの下りの速い30フィートのパー・パットを沈めていたのが大きかった。優勝スコアはオグルヴィ5オーヴァー、ミッケルソン、モンゴメリ、フューリックの3人が6オーヴァー2位、ハリントンが7オーヴァー5位、フェリー、シング、ストリッカー、ウィアー、ジェフ・スルマン、ニック・オハーンの6人が8オーヴァーで6位に入った。



 
 
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