初日: フォーサム


注目はタイガー・ウッズとスティーヴ・ストリッカーが組んだアメリカ・チームと、インターナショナルのジオフ・オグルヴィと石川遼が対戦する第5組。しかしインターナショナルはオグルヴィ、石川共に調子がいいとは言えず、相性もよくないのか噛み合わない。さらにあるホールではオグルヴィがパットのアドレスに入った途端、誰かの携帯が鳴り出すというシーンが連続して3回も起きるなど、解説のポール・エイジンガーも何かの謀略かと言うほどまったくいいところがなかった。結局USAはストリッカー、ウッズ、共に特にいいできとも言えなかったが、オグルヴィ、石川の調子の悪さがそれを大きく上回り、6&4というこの日最も大差で勝負がついた。


その他の勝負は第1マッチ、フィル・ミッケルソン/アンソニー・キム (USA) 3&2 マーク・ウィアー/ティム・クラーク (Int’l)、第2マッチ、アーニー・エルス/アダム・スコット (Int’l) 2&1 ショーン・オヘア/ハンター・メイハン (USA)、第3マッチ、ヴィージェイ・シング/ロバート・アレンビー (Int’l) 1アップ ルーカス・グローヴァー/スチュワート・シンク (USA)、第4マッチ、ケニー・ペリー、ザック・ジョンソン (USa) 2アップ カミーロ・ヴィジェイガス/アンヘル・カブレラ (Int’l)、第6マッチ、レティーフ・グーセン/Y. E. ヤン (Int’l) AS ジム・フューリック/ジャスティン・レナード (USA)。これで初日を終わってUSA 3 1/2ポイント、インターナショナル 2 1/2ポイント。



2日目: フォーボール


この日は前日と打って変わって第3組でヤンと組んだ石川が好調、ペリー/オヘアを4&3で下す。その他は第1マッチがミッケルソン/レナードがグーセン/スコットを3&2で下した他、第2マッチ、エルス/ウィアー 2up フューリック/キム、第4マッチ、シング/クラーク 1up グローヴァー/シンク、第5マッチ、ジョンソン/メイハン 2&1 アレンビー/ヴィジェイガス、第6マッチ、ストリッカー/ウッズ 5&3 オグルヴィ/カブレラ。


この日最も印象的だったのは、17ホール目までどんな距離であろうとバーディ・パットを外しまくっていたクラークが、最後の最後の18番パー5でグローヴァー/シンクを1アップでうっちゃった20フィートのイーグル・パットで、やっぱりこれも外したかと一瞬思ったのを念力で沈めた。この日は両チーム3ポイントどうしで分け、これでUSA6 1/2ポイント、インターナショナル5 1/2ポイント。



3日目: 午前: フォーサム、


ヤンと再び組んだ石川が今度は最終組でジョンソン/ペリーを3&2で下し、午前中インターナショナルで唯一の勝ち点を得る。すごいじゃないか。とはいえ午前の最大の見所は、これまで大差で相手を下していたのと打って変わって苦しんだウッズ/ストリッカー vs ウィアー/クラーク戦だ。ウィアー/クラーク1アップで迎えたリーチャブルの17番パー4で、ウッズのティ・ショットはグリーン手前のバンカーに捕まり、ストリッカーのサンド・ショットは15フィート、ショート。ウッズのバーディ・パットは半転がり分足りないと思った瞬間にカップに落ちる。ウィアーは下りの4フィートをプッシュしてオール・スクエア。


初日ウィアー、2日目クラークがスーパーショットを見せた18番では、今度がウッズが完璧なセカンド・ショットでピン奥8フィートにつける。クラークのラフからの第3打はピンを大きくオーヴァー、ウィアーがバーディ・パットを外してコンシード、ウッズ/ストリッカーが17番、18番と連続でとって逆転して勝った。午前中はインターナショナル 1 1/2ポイント、USA 3 1/2ポイントで、ここまででUSA10ポイント、インターナショナル7ポイント。


午後: フォーボール


石川は三たびヤンと組み、再度ウッズ/ストリッカーと対戦、今度はストリッカーのパットが絶好調で12番で6アップ、ドーミーと、またまたぐうの音も出ない。しかしそれから3ホール連続で返して3ダウンまで戻して意地を見せるもそこまで。結局ウッズ/ストリッカーが4&2で勝った。なんてったってストリッカーが20−30フィート辺りのパットを入れまくっていたからなあ。ストローク・プレイだと1ラウンド10アンダー並みのゴルフをされちゃまず勝てまい。午後はUSA、インターナショナル、2 1/2ポイントずつで分け、これでUSA12 1/2ポイント、インターナショナル9 1/2ポイント。インターナショナルは多少苦しくなってきた。明日の挽回を期待する。



最終日: シングルス


インターナショナルが追い上げてくれるか期待された最終日のシングルス、実際最初はUSAが優勢になるもインターナショナルが巻き返して、五分の展開。それからを期待するも、問題はインターナショナルが劣勢な方のマッチだ。これらのマッチは大きく差が開いてしまったために、一見するとUSAとインターナショナルが五分の試合をしているように見えるが、差が開いているマッチの決着が先につくため、USAが先に勝ってどんどんポイントを足す。


そのため最初の方で結果の出たマッチはすべてUSAのポイントで、USA5人目の勝者となったウッズがヤンをで退けた時点で、過半数の17 1/2ポイントに達してしまい、インターナショナルがまだ一つもポイントを獲得しないうちに勝負がついてしまった。はっきり言ってちょっとアンチ・クライマックスというか、もっと競って盛り上げて欲しかった。実際その後の方が勝負としては面白く、石川が2&1でペリーをまたも破ったマッチなんか、解説のジョニー・ミラーが今日のベスト・マッチとか称していたりしたが、TVとしては当然決着の着きそうなマッチの中継を優先するので、石川-ペリー戦だってTVに映ったのはほとんど勝負も後半になってからだ。


ただし、むろん各々のマッチ自体が面白くなかったわけではなく、上記のウッズ-ヤン戦なんて、全米プロを思い出して比較すると、ウッズがどんなに溜飲を下げたかが想像できる。ウッズは今回5-0で、プレジデンツ・カップ、ライダー・カップを通して全勝は初めてだ。そのウッズとストリッカーが組んで挙げた4勝は今回のUSAの勝利に大きく貢献した。この二人を組ませたキャプテンのフレッド・カップルスの采配は見事に的中したし、負けたとはいえどちらも譲らずオグルヴィと最後まで競ったストリッカー-オグルヴィ戦が、私としてはシングルスのベスト・マッチだったと思う。どちらかというとマッチ・プレイでは勝てないという印象の方が強いミッケルソンも、今回は活躍した。


一方でケリーは誤算だったろうし、キャプテンのピックのグローヴァーとメイハンも特に期待に応えたというわけではなかった。インターナショナルのグレッグ・ノーマンのピックである石川がウッズに二度破れたとはいえ、ケリーを三度破った活躍と注目度に較べれば、残念という結果でしかないだろう。しかしノーマンのもう一人のピックであるスコットは残念な結果でしかなかった。


今回USAが結果的に圧勝したのは、キャプテンであるカップルスの神通力という印象が濃厚だ。カップルスはプレジデンツ・カップが始まってからの最初の数回のUSAのカップ保持の立役者であり、おいしい部分を全部一人でさらっていたという印象が強い。要するにプレジデンツ・カップはカップルスをひいきしている。今回もその神通力は衰えてなかったという感じだ。


基本的に世界各地からの寄せ集めであるインターナショナル・チームは、これまでの例から見てもアメリカ開催のカップになるとまず勝てない。それで今回も本当は特にはインターナショナルが勝つとは最初からあまり思っていなかった。しかし次回はまた接戦熱戦を期待する。



シングルス最終結果

Camilo Villegas Hunter Mahan     USA wins 2 and 1

Adam Scott Stewart Cink   USA wins 4 and 3

Mike Weir Justin Leonard   AS

Robert Allenby Anthony Kim   USA wins 5 and 3

Geoff Ogilvy Steve Stricker   INT wins 2 and 1

Ernie Els Sean O'Hair   USA wins 6 and 4

Ryo Ishikawa Kenny Perry   INT wins 2 and 1

Tim Clark Zach Johnson   INT wins 4 and 3

Y.E. Yang Tiger Woods   USA wins 6 and 5

Vijay Singh Lucas Glover   AS

Retief Goosen Phil Mickelson   USA wins 2 and 1

Angel Cabrera Jim Furyk   INT wins 4 and 3


最終結果

USA 19 1/2 – インターナショナル14 1/2








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8回プレジデンツ・カップ

2009年10月8日-10月11日   ★★★

カリフォルニア州サンフランシスコ、ハーディング・パーク・ゴルフ・コース

 
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