初日タイガー・ウッズが5アンダー67で単独首位、1打差4アンダーで2位はパドレイグ・ハリントンといういきなり先週の焼き直し。フィル・ミッケルソンも出ているんだが、乳ガンにかかった妻のエイミーのこともあり、ここ数週間は満足に練習もできてないだろうから、さすがに上位に絡むのは無理だろう。ガルシアも最近あまり名前を聞かず、ウッズとハリントンばかりがフィーチャーされる。

2日目はウッズは距離感が今一つも、踏ん張ってそれでも2アンダー、7アンダーとスコアを伸ばす。アイアン・ショットがぶれてもグリーン回りのうまさとパットで崩れないところが実は最大の強みだ。4打差3アンダー2位にはハリントン、ヴィージェイ・シング、ブレンダン・ジョーンズ、ルーカス・グローヴァー、ロス・フィッシャーら5人。全米で最後まで勝負を面白くしたグローヴァーとフィッシャーもいる。

3日目のウッズは距離感、方向とも今一つだったが、それでも1アンダー71にまとめ、8アンダーとスコアを一つ縮める。その間にハリントンがまたじわじわと差を詰め、一時は二人は7アンダーで並ぶ。さらに6アンダーまで迫ったのはアーニー・エルスだったが、エルスは最後の3ホールを3ホール連続ボギーとまた後退。最近彼が勝ったのを見たことない。シングはこの日、ベリー・パターではなくショート・パターで回ったのだが、3フィートくらいのパットをことごとく外し、3オーヴァー75、通算イーヴン・パー、18位タイまで後退した。

結局3日目を終了してウッズ8アンダーで首位をキープ、ハリントンとY. E. ヤン6アンダー、ヘンリク・ステンソン、グローヴァー4アンダー、エルスとソレン・ケルドセンが3アンダーで続く。メイジャーでウッズが3日目終了時点で首位か首位タイに立っていた場合、これまで14戦14勝ととりこぼしなし。しかしいつまでそれが続くか。

最終日はまず、ウッズを狙えるなら彼しかいまいと思われたハリントンが、8番パー3でティ・ショットを池に落とし、第3打は今度は逆側のラフ、第4打はグリーンを超えてまた池の中へ。先週の16番を彷彿とさせる悪夢の再現で、ハリントンの第6打は今度はショートしてグリーンまで届かず第7打で寄せ、8打で上がるクインティプル・ボギー8で脱落する。

一方ウッズも特にパットが決まらず4番パー3をボギー、8番もボギーで6アンダーに後退してヤンと並ぶ。そしてリーチャブルの14番パー4で、ウッズのティ・ショットはグリーン手前バンカー、ヤンは同じく手前のショート・カットのラフへ。ウッズはサンド・ショットを5フィートに寄せるが、ヤンは40フィートのチップをカップ・インさせるイーグル。ウッズもバーディで上がるが、ヤン8アンダー、ウッズ7アンダーとなって、このトーナメントで初めてウッズが首位を明け渡す。

さらに17番パー3では、ティ・ショットをグリーン奥ラフに入れてしまったウッズがアップ&ダウンに失敗してボギー、これで2打差ついて勝負あったかと思わせる。しかしヤンも5フィートのパー・パットを外してボギー、ウッズ首の皮一枚残して勝負は72ホール目へ。二人ともティ・ショットがフェアウェイをキープした後、ヤンの5ウッドの第2打は，木をかすめてカップまで6フィートのスーパーショット。ヤンの第2打次第では安全にグリーン中央狙いで行く可能性もあったウッズだが、勝つためにはバーディ狙いにデッドにピンを狙いに行かざるを得なくなる。

しかしその第2打は僅かに逸れてグリーン左ラフへ。これを入れなければ勝つチャンスのないウッズのチップはしかし大きくカップ・オーヴァー。2パットで優勝のヤンはバーディ・パットを沈め、8アンダーでメイジャー初優勝。アジア系ではもちろん初めてのメイジャー優勝だ。ウッズは返しのパットも外してボギー、この日3オーヴァー75といいところなく、通算5アンダーで2位に終わった。ヤンはアジア系メイジャー初優勝というだけでなく、これまで3日目終了時点でリードしていた場合負けなし、優勝率100%を誇っていたウッズに初めて土を付けたゴルファーとなった。

3アンダー3位はリー・ウエストウッドとロリ・マキロイ、2アンダー5位にグローヴァー、1アンダー6位にマーティン・ケイマー、エルス、ケルドセン、ステンソンの4人が入った。ハリントンは結局通算イーヴンの10位タイに終わった。それにしても今年最後のメイジャーは最も意外な結果となった。でも、考えたらヤンって、2006年のHSBCチャンピオンズでウッズに勝っているのだった。実はウッズに勝る勝負強さの持ち主か。ウッズはメイジャーまで3週連続でトーナメントに出場するというめったにやらない強硬スケジュール、しかも2連勝してもしかして本当に3連勝でメイジャー制覇かと期待させたが、最後の最後で力尽きた。