グッド・モーニング・アメリカ

放送局: ABC

放送日: 6/28/2006 (Wed) 7:00-9:00

ホスト: チャールズ・ギブソン、ダイアン・ソウヤー、ロビン・ロバーツ


ザ・ヴュウ

放送局: ABC

放送日: 6/28/06 (Wed) 11:00-12:00

ホスト: バーバラ・ウォルターズ、ジョーイ・ベアー、エリザベス・ハッセルベック


内容: チャールズ・ギブソンがホストを担当する最後の回の「グッド・モーニング・アメリカ」と、スター・ジョーンズ進退問題で揉めた「ザ・ヴュウ」。


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アメリカのTV好き、特に報道関係番組が好きな者なら、近年のネットワークのワールド・ニューズ関係のごたごたを知らない者はいまい。3大ネットワークのワールド・ニューズ番組のアンカーが全員交替し、今なお完全に定着しているとは到底言い難い状況が続く中で、特にABCが被った痛手というか混乱は、最も大きかった。


昨年、「ワールド・ニューズ・トゥナイト (WNT)」アンカーのピーター・ジェニングスが肺ガンで死去しただけでなく、同様に歴史ある報道番組「ナイトライン」アンカーのテッド・コッペルも番組を去り、ABCが誇る二大報道番組がいきなり激震に見舞われた。両番組とも昨年中に後任が発表され、「ナイトライン」は昨年末、「WNT」は今年年明けから新体制で放送が始まった。


特に可もなく不可もなくといった感じでその後も続いている「ナイトライン」に較べ、「WNT」の方は、新共同アンカーとして抜擢されたボブ・ウッドラフがイラクで負傷、エリザベス・ヴァーガスが懐妊で近々産休と、新体制で始まって数か月も経たないうちに解体を余儀なくされた。結局ABCは今年5月、共同アンカー体制を諦め、現「グッド・モーニング・アメリカ (GMA)」でダイアン・ソウヤー、ロビン・ロバーツと共に共同ホストを受け持っていた、チャールズ・ギブソンを新「WNT」ホストに就任させると発表した。


元々ギブソンはジェニングスの代役としてこれまでに何度も「WNT」アンカーを務めた経験があり、ジェニングス亡き後の後任として名が挙がっていた候補の筆頭だったから、この人選自体にはまったく問題はない。62歳という年齢は多少は歳をとりすぎているかなとも思うが、別の視点で見れば、安定度、信頼性は非常に高い。要するに、もうこれ以上番組に混乱を導入したくないABCの最後の頼みの綱がギブソンであったと言える。


ギブソンがダメなら現在のABCにはもうほとんど手駒がない。ヴァーガス、ウッドラフ、テリー・モラン、シンシア・マクファデンと、有望株は既に「WNT」と「ナイトライン」で使っちまった後だし、あとはそれこそ「20/20」のジョン・ストッセルか、深夜の「ワールド・ニューズ・ナウ」で頑張っているロン・コーニングあたりを引っ張りだしてくるしかあるまい。とはいえ、これからさらにストッセルを引き抜いて「20/20」にごたごたを引き起こしたくはないだろうし、現在のコーニングではまだいささか荷が重いだろう。とはいえあと10年くらいだかして今度はギブソンが引退という時になったら、その時はコーニングが新アンカーという可能性は非常に高いと思う。


さて、「WNT」栄転の決まったギブソンが共同ホストを担当する「GMA」の最後の回は、6月28日に放送された。つい先頃NBCを去った「トゥデイ」のケイティ・コーリックがホストを担当した最後の回が、鳴り物入りでこれでもかとばかりにコーリックを持ち上げ、盛大に打ち上げて終わったという印象と異なり、いつも落ち着いたレイド・バック・スタイルのギブソンでは、当然あまりそういう展開にはならない。それがギブソンの持ち味だ。実はギブソンが「GMA」ホストを担当していたのは19年と、コーリックが「トゥデイ」ホストを担当していた15年よりはるかに長い。当然ギブソンは「GMA」の顔として定着しており、彼が辞めることで番組の視聴者に与えた影響や衝撃という点では、もしかしたらコーリックが「トゥデイ」視聴者に与えた影響より大きいかもしれない。


そのギブソン・エピソードの最終回は、朝の5時にギブソンの住むビルの前に共同ホストのソウヤーとロビン・ロバーツが待ち伏せて、タイムズ・スクエアのステュディオまでロバーツが運転する車で送迎するシーンから始まる。早朝ということもあり、ロバーツとソウヤーは髪ぼさぼさのすっぴんジーンズ姿なのだが、既にギブソンはスーツにネクタイだ。それにしてもこういう特別事態だからとはいえ、全米ネットで堂々と (とは言えないかもしれないが) すっぴんで現れるソウヤーとロバーツの度胸には感心してしまった。それでも簡単にファンデーションくらいは塗ってあったと見たが、ソウヤーって、彼女、確かもう60超えてるだろう? 肝が据わってるわあ。髪の毛逆立ってるよ、あんた。


この日のニューヨークは雨模様で、「GMA」もできれば「トゥデイ」のコーリックのようにギブソンを外に出してファンと握手くらいはさせたかったと思うが、雨で、その上ロックフェラー・センターと異なりほとんど広場のないタイムズ・スクエアではそれもままならず、最後までステュディオ内での収録となった。「トゥデイ」ほど派手ではないが、それでもこの回の内容はだいたいがギブソンのこれまでの仕事振りの回顧に終始した。ギブソンの妻や娘、母親が登場したことがいかにも家庭的なギブソンらしいと思わせたが、考えたらコーリックの場合は、既に連れ合いはガンで死去しているし、確か母、それに姉か妹も乳ガンかなんかで死亡している。今現在新しいボーイ・フレンドがいたりするかもしれないが、家族を呼ぶという感じじゃなかったんだろう。


実は私にとってこのエピソードで最も印象的だったのは、ギブソンの回顧録ではなく、ギブソン宛てに彼のライヴァルから送られたヴィデオ・レターだった。つまり、NBCの「ナイトリー・ニューズ」のブライアン・ウィリアムズ、および今秋からCBSの「イヴニング・ニューズ」のホストに就くコーリックという、「WNT」の裏番組である2本のワールド・ニューズのアンカー二人が、ライヴァルに激励のエールを送ってきたわけだ。


ウィリアムズの映像なんか、ギブソンを誉めちぎっておきながら、その画面の下に「真っ赤な嘘」だとか「口だけ」なんてテロップを入れていた。コーリックの場合は、ギブソンに、では9月に会いましょうと呼びかけていた。以前、ジミー・キメルがホストのABCの深夜トーク「ジミー・キメル・ライヴ」のプレミア・エピソードで、裏番組となるNBCの「レイト・ナイト」のホスト、コナン・オブライエンがキメルに花束とカードを送ってきてあったが、こういう、ネットワークの壁を超えたエールの送り合いをするところなんか、アメリカのTV局は大人という感じがする。


さて、そうやってギブソンの最後のエピソードの「GMA」放送を終えたABCは、その後、9時からは「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」で知られるリージス・フィルビンと、シットコムの「ホープ&フェイス (Hope & Faith)」で知られるケリー・リパがホストのヴァラエティ/トーク、「ライヴ・ウィズ・リージス&ケリー (Live with Regis & Kelly)」、10時から「トニー・ダンザ・ショウ」、そしてその後に、最近共同ホストの一人スター・ジョーンズ (近年結婚してスター・ジョーンズ・レイノルズになったが、面倒くさいのでだいたいの人はいまだにスター・ジョーンズと呼んでいる) の進退問題で揉めた「ザ・ヴュウ」が11時から放送になる。


この日はギブソンの最後のエピソードということもあり、私のオフィスでは朝からずっとTVが点きっぱなしで、「GMA」が終わった後も、そのままABCが垂れ流しになっていた。もちろん音は絞ってほとんど聞こえるか聞こえないかくらいの音量であったのだが、私がふと顔を上げてTVに目をやると、ちょうど11時で、今まさに「ヴュウ」が始まらんとしているところだった。何気にそのオープニングのシーンを見ていて、普段は5人いる女性ホスト陣の、そのうちメレディス・ヴィエイラはもういなくなったので一人足りないのは当然として、さらにもう一人足りない、3人しかステュディオ入りしてしないのに気づいた時、これは、とはっとした。共同ホストの一人、スター・ジョーンズがいない。


実はその前日、ジョーンズは番組中において、番組を辞める旨の発言をしていた。もちろんそれが彼女の意志によるものなら、話になんの差し障りもないし誰も問題にしない。ヴィエイラのようにヘッド・ハンティングだったりしたら、むしろ同僚から祝福されるだろう。しかし、それが円満退職が仕組まれた実質上のクビであり、何か月も前から根回しがあった上、しかもこのほど新共同ホスト就任が決まったばかりのロージー・オドネルとの確執が噂されているなど、タイミングとしては最悪の時期だったりすると話は別だ。さらにその日、そういった噂を聞きつけたデイリー・ニューズが、ジョーンズが番組を辞める日は近い? という感じでゴシップ記事を書いたものだから、ジョーンズも何か言わざるを得なくなったようだ。


とはいえ、当然彼女がこういう風に「私はクビになったようなもの」という爆弾宣言で番組を降りるというのは、製作スタッフ、特に共同アンカー兼番組製作総指揮のバーバラ・ウォルターズにとっては寝耳に水だった。実情がなんであれ、こんな風に番組の裏話を公表されては世間体が保てない。そしてその翌日、番組はジョーンズなしで始まったのだ。いくら番組を辞めると発表しても、ジョーンズの契約自体はまだ残っており、まだ当分は共同ホストを続ける予定だったはずだ。これは何かあったと思うのは当然だろう。


その日の「ヴュウ」の冒頭で、ウォルターズは前日のジョーンズの発言に言及し、ジョーンズが辞めさせられようとしているのはまったくの初耳で、私たちは彼女を引き止めるために全力を尽くしたが、どうしようもなかった。ああいう発言をされた後では皆居心地が悪くなってしまったため、したがって今日から彼女は番組には登場しません、というような前口上を述べた後、その後ずっと、ジョーンズという人間は最初からいなかったかのように番組は続いていった。


もちろんウォルターズのこの発言が嘘八百であることは、業界関係者なら誰でも知っている。ウォルターズは単に共同ホストの一人というだけではなく、番組のクリエイターであり、製作総指揮も兼ねているのだ。ジョーンズを辞めさせようとしたのは、誰あろうウォルターズその人の判断だったと考える方が自然である。すべての最終決定権は彼女にあるのだ。


「ヴュウ」がジョーンズとの契約を更新しないという案は、実は一昨年頃から既に浮上していたらしい。ジョーンズは2004年に結婚しているのだが、彼女は名古屋の結婚式もかくやと思われる盛大な結婚式を挙げ、その時、商売上手のジョーンズは結婚式のスポンサーを獲得して色々な用品やら引き出物を準備させ、代わりに商品の名前を番組内で宣伝したのだそうだ。それがウォルターズの逆鱗に触れたことは想像に難くない。そりゃ勝手にそんなことをされたら、プロデューサーとしては腹が立つだろう。


さらに、元々はっきり言ってデブのジョーンズが、その後急激に体重を落としたことは、様々な憶測を呼んだ。実際の話、私は初めてジョーンズを見た時、元祖ドラッグ・クイーンのディヴァイン (と書いてすぐに誰だかわかる人がどれだけいるやら。それにディヴァインは実際に女性だが) の近親者かと思ったほどの、癖のある顔の肥満体だった。それがダイエットやエクササイズによる減量ならよかったのだろうが、どうやって減量したかも発表せずに、いきなりある時を境に、ジョーンズがデブからいきなりスレンダーどころか、鎖骨の浮き上がる骸骨ねーちゃんに変身してしまったのだ。病気かと思った視聴者も多いに違いない。


こういう、誰が見ても外科手術に拠ったに違いない減量は、一般的、つまり保守的な視聴者には、好感度という点ではマイナスの作用しかもたらさない。すべて金で解決する無神経な芸能人という印象しか与えないのだ。実際、この辺りからジョーンズの好感度、信頼感というものは明らかに降下していったそうだ。個人の体重の増減は個人の意志に帰すべきものだとはいえ、公的な人間が短期間のうちに極端に外観が変わるからには、そこになんらかの理由や声明があってしかるべきで、ジョーンズのこういう理由を明かさないスタンド・プレイが、またもやウォルターズを苛々させたであろうことは考えるまでもない。昨年頃から既に内々でジョーンズの後のホストの人選を進めていたようだ。


そういう時に、番組ホストとしてたぶんウォルターズの次に重要な位置を占めていたヴィエイラが番組を去る発表をする。そしてその後任に選ばれたのがロージー・オドネルだったわけだが、思ったことを隠さないオドネルは、それ以前からジョーンズの急激な減量に対して、ダイエットとエクササイズだけでいきなりあれだけ体重を落とせるわけがないと最初から批判的だった。こういう経緯があったため、今回ジョーンズが辞めさせられるのは、たぶんそりが合わないだろうオドネルとの共同ホストを避けるためと最初思われていた。しかし実はそうではなく、最初からジョーンズを辞めさせることを決めていたから、なんのこだわりもなく次のホストをオドネルに決められたというのが真相のようだ。


正直言って内情を聞いてみると、番組をクビになったのはジョーンズの自業自得という感じがしないでもないが、しかし、ジョーンズを切ることを決めた最終責任者であることは100%間違いないのに、さも何も知らなかったかのように「ジョーンズを番組に留めるよう全力を尽くした」だの、「何も知らなかった」だのと寝言をほざくウォルターズにはおそれいった。この厚顔ぶりは実はジョーンズと五十歩百歩である。あるいは、このくらい嘘つき恥知らずだからこの業界でこれだけ長くやっていられるのかもしれない。ジョーンズは番組をクビになった後、CNNの「ラリー・キング・ライヴ」に出て、最初からバーバラ (ウォルターズ) の仕組んだこと、と発言していたが、その通りだろう。


私は今回のウォルターズの醜態を見て、誤報事件という失態の責任をとらざるを得なくなった挙げ句、CBSを辞めたダン・ラザーを思い出した。ラザーも最初、さも自分は誤報道にはまったく関係のないような振りをしていたのだ。ウォルターズの場合は、別に醜態ではあるが責任問題に発展したというほどではないが、見苦しいことには変わりない。実は、私がアメリカのTVジャーナリズムで胡散臭いと思っているジャーナリスト/アンカーは3人おり、そのうちの二人がラザーとウォルターズだった。


彼らは業界が長いわりには、あるいはそのせいか、押しやあくが強すぎ、どうも好きになれない。こいつらは裏で平気でニューズを捏造しそうだなと常々思っていたら、本当にそうなった。その二人ともが期せずしてぼろを出す。もう一人のソウヤーも近々のうちになんかやらかすんではと思ったりする。たぶん安全弁として働いていたギブソンがいなくなった「GMA」で、ソウヤーが思わぬことを口走る可能性は高いのでは、なんて思ったりしている。


さて、「ヴュウ」は現在、ウォルターズ、ベアー、ハッセルベックの3人、プラス臨時共同ホストを入れ替わり立ち替わり起用しながら続いている。こんな時だからこそヴィエイラがいればうまくまとめてくれるだろうにとどうしても思ってしまうが、物事の転換期とはこういうもんだろう。臨時ホストの面々には、ABCのソープ・オペラで活躍しているスーザン・ルッチ、ケリー・モナコ、ルネイ・ゴールズベリー、「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」のジャッジ、キャリー・アン・イナバの他、昔の「ヴュウ」ホストの一人だったデビー・メタノポラスをまた担ぎ出したりしている。さらにABCと現在直接関係があるわけではないが、女優のブランディ、シャネン・ドハーティ、その上、先シーズンのFOXの「アメリカン・アイドル」のファイナリスト、キャサリン・マクフィーまで出てきて、今では彼女の十八番となった「オーヴァー・ザ・レインボウ」をまたまた歌っていた。


この展開は、一昨年、ホストのクレイグ・キルボーンが番組を去った後、臨時ホストをとっかえひっかえしながら次期ホストを絞り込んで行ったCBSの「レイト・レイト・ショウ」の動きを彷彿とさせる。「レイト・レイト・ショウ」も、そうやって時間をかけながら失敗しないようにじっくりと次期ホスト候補を絞り込んでいき、最終的にクレイグ・ファーガソンに決めたわけだが、現在の「レイト・レイト・ショウ」を見る限り、そのやり方は効を奏したと言える。たぶんABCも同じことをやるつもりなんだろう。どうせ8月いっぱいは番組は夏休みですべて再放送だし、9月頭になるとオドネルが入ってきて充分かまびすしくなるだろう。


と、ここまで書いた時に、今度は「ヴュウ」の暫定ゲスト・ホストの一人である、やはりオーヴァーウエイトの黒人コメディアンのモニークが、「ヴュウ」出演のためにどこぞからニューヨーク向けの飛行機に乗り込もうとしてフライト・アテンダントと揉め、機内から放り出されたというニューズが伝わってきた。なんでもモニークはファースト、アシスタントがコーチに席をとっていたらしいのだが、そのアシスタントがファーストにいるモニークのかばんからヘア・ケア製品をとり出そうとしたか逆にしまおうとして、その行為をアテンダントに見咎められたらしい。


当然現在、アメリカの航空企業はそれこそセキュリティに充分以上の神経を使っており、ちょっとしたことでも念入りにチェックされる。それで難詰されたモニークが切れて口喧嘩になった挙げ句、セキュリティを呼ばれて機外に放り出されたというわけだ。モニークは次の便に回され、なんとか「ヴュウ」の収録には間に合ったそうだが、それにしても「ヴュウ」といい「WNT」といい、最近のABCの番組はとんだ災難続きだ。ウォルターズはもうデブの黒人パーソナリティを起用するのはやめようと考えているんじゃないか (危ない発言。)


さて、話は戻ってギブソンの「WNT」であるが、ギブソンが正規ホストに就任して間もない7月19日、番組名の「ワールド・ニューズ・トゥナイト」からいきなり「トゥナイト」がとり払われ、一方でギブソンの名を冠して、「ワールド・ニューズ・ウィズ・チャールズ・ギブソン (World News with Charles Gibson)」というのが正式な番組名となった。CBSの「イヴニング・ニューズ」、NBCの「ナイトリー・ニューズ」と歩調を合わせたわけではないだろうが、主要番組名が単語2語になったわけで、たぶん、これまで「WNT」と略されて記されることの多かった「ワールド・ニューズ・トゥナイト」は、今後、「ワールド・ニューズ」と記されることの方が多くなるだろうと思う。


ABCによると、既にインターネットの普及等で24/7で休みなく発信されている番組に、「トゥナイト」という一日の特定の時間を指す単語があるのは時勢にそぐわないということのようだ。でも、そうすると、「イヴニング」や「ナイトリー」はどうなるんだ。いずれにしても、「WNT」が正式に名称を変更したことで、これまでの正式番組名だった「ワールド・ニューズ・トゥナイト・ウィズ・ピーター・ジェニングス」も完全に過去のものとなってしまった。ワールド・ニューズのアンカーとしては、ジェニングスが最も信頼できると思っていた私としては、ジェニングスの訃報を聞いた時よりも、番組名から彼の名が消えた現在の方に、より時代の変遷といった趣きを感じる。ジェニングスが死んだ時は、ただ単にショックなだけだった。


ギブソンの「ワールド・ニューズ」は、こないだ一時的にせよウィリアムズの「ナイトリー・ニューズ」を上回る成績を収めていたりする。コーリックが「イヴニング・ニューズ」のホストに決まった直後に、ボブ・シーファーがホストの「イヴニング・ニューズ」が、その時エリザベス・ヴァーガスがホストをしていた「WNT」を視聴率で抜いたのと類似した動きであり、新ホストに対する期待感によって、視聴者がチャンネルを合わせているのだ。「イヴニング・ニューズ」も「ワールド・ニューズ」も一時的な視聴率スパイクは現在では収まっており、現時点では「ナイトリー・ニューズ」の後ろに僅差で「ワールド・ニューズ」が続き、ちょっと離れて「イヴニング・ニューズ」といったここ近年の視聴率争いの定位置に戻っている。


いずれにしても、とにかくこれですべて鞘は収まるべきところに収まったという感じがする。ネットワークのワールド・ニューズは、もし今秋からのコーリックがある程度期待通りの働きをするならば、今後10年間は大きな動きはないだろう。正直言うと、そうなってもらいたいというのが本音だ。ちょっとここ数年のニューズ界の激震は、はたで見ていても危なっかしいくらいで、当事者は心が休まる暇がないだろうと思う。ニューズを発信する側がニューズになるんではなくてさ、ここらで本来あるべき位置に戻って、また報道に専心してもらいたい。  







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