ブリジストン招待

2006年8月24-27日   ★★★1/2

オハイオ州アクロン、ファイアストーン・カントリー・クラブ

長らく続いたWGCシリーズの一環、NEC招待が、今年から新たなスポンサーをつけてブリジストン招待として再出発する。ブリジストンは一時のファイアストーン・スキャンダルから完全に立ち直ったのか他人事ながら気になるところではある。

さて、先週の全米プロ、および全英というメイジャーを含め、現在ツアー3連勝中、かつ、昨年のNECの覇者であるタイガー・ウッズが、ツアー4連勝およびNEC/ブリジストン連覇に挑む今回のブリジストン、ウッズは2日目に6アンダー64で通算9アンダーとなり首位に立つも、3日目、フロント・ナインで96年のツアー選手権以来という4連続ボギーでいきなり首位から転がり落ちる。実際にはツアー選手権ではダブル・ボギー一つを含む5連続ボギーだったそうで、それよりはましか。

あっという間に後退したウッズに代わって首位に立ったのはデイヴィス・ラヴ3世だが、そのラヴもバック・ナインのさらに後半にボギーが嵩んで後退する。3-4フィートあたりのパットを外しまくったという感じが強かった。一方のウッズはグリーン回りの深いラフから直接チップ・ショットをカップ・インさせるバーディ・パットが2回あり、調子がよくないなりにこの日1オーヴァー71でまとめる。結局3日目を終わって首位は9アンダーのスチュアート・シンク、8アンダーでウッズ、ラヴ、ポール・ケイシーが続き、7アンダーにジム・フューリック、6アンダーにルーカス・グローヴァーがいる。

最終日はシンク、ケイシー、フューリックの3人が一時10アンダーで並んで首位に立つが、3人共徐々に後退、代わって12番パー3でバーディを奪ったウッズが10アンダーで単独首位に立つ。ウッズは続く13番パー4でもバーディを奪い、これで11アンダーと、すぐ下9アンダーのフューリックと2打差。最近のウッズの最終日バック・ナインの安定度を考えると、これで勝負は決まりと思われた。しかしウッズは16番パー5でティ・ショットをラフに入れ、ボギーとなって10アンダー、そこへ16番、17番と連続してバーディを奪ったシンクが追いつき、勝負はこのまま二人のプレイオフにもつれ込んだ。

18番パー4でのプレイオフは、ウッズが第2打を引っかけてグリーン左奥の深いラフの中へ打ち込む完全なミス・ショット、シンクの第2打も、いったんはグリーンに落ちたショットがワン・バウンドしてラフに戻ってしまう。ウッズの第3打は深いラフ、下りライ、グリーンまで5ヤードという難しいショットだったが、ウッズはほぼ完璧に処理、カップまで4フィートに寄せる。シンクの第3打は入ればサヨナラ優勝というこれまた完璧なショットだったが、惜しくもボールはカップの際をすべり抜ける。

結局18番でのプレイオフは両者パーで上がり、17番パー4へ。二人ともバーで上がり、プレイオフ第3ホールの18番へ。ウッズの第2打はバンカーに捕まり、シンクはラフから第2打をグリーン上に乗せるだけで60フィート残す。シンクのロング・パット、ウッズのサンド・ショット共に7フィート残し、先に打ったウッズの下りのパットは1インチ・ショート、これを入れれば勝ちのシンクのパットも右に外れ、共にボギーで勝負はまた17番へ。

その17番、ウッズが第2打を打ってカップまで8フィートにつけた途端、バケツをひっくり返したような土砂降りとなる。シンクのティ・ショットはラフに捕まっているため、ラフと大雨で距離感がつかめない。結局シンクは第2打をグリーン手前のバンカーに入れる。あまりの豪雨のためにカメラは完全にボールを見失っていた。雨はすぐに止み、シンクのサンド・ショットはカップを5フィート・オーヴァー、しかし返しのパー・パットを待たずしてウッズがバーディ・パットを決め、プレイオフ4ホール目で決着をつけた。9アンダー3位にフューリック、7アンダー4位にラヴ、グローヴァー、ケイシーの3人が入った。

ウッズはこれでメイジャー2勝を含むツアー4連勝、ファイアストーン2連覇、ツアー通算52勝目を上げた。それにしてもウッズはファイアストーンではよくプレイオフを経験する。しかもどんなにもつれ込んでも負けない。これでライダー・カップではあまり勝てないのが不思議。

シンクは週の初めに発表された今年のライダー・カップのメンバーに、キャプテン、トム・レーマンの指名で選ばれており、いきなりその期待に応えたという感じ。実はシンクは一昨年のライダー・カップでもキャプテン指名でメンツに選ばれた途端、絶好調になってこのファイアストーンで勝っていた。よほど現金な奴なのだろうか。いずれにしても、これでもう一人のキャプテン指名であるスコット・ヴァープランクも調子よければ言うことないんだが。

ところでブリジストンと並行して開催された通常ツアーのレノ-タホ・オープンは、ウィル・マッケンジーが20アンダーでツアー初優勝したのだが、LPGAの宮里藍の兄である宮里優作が、第2ラウンドで1ラウンドでホール・イン・ワンを2度達成するというツアー記録を作ったのが話題になっていた。藍の方も今回は4位に入ったみたいだし、兄弟で同じ週に優勝なんて記録が見れるのももしかしたら夢ではないかもしれない。



 
 
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