放送局: NBC

プレミア放送日: 4/16/2001 (Mon) 20:00-21:00

製作: BBCエンタテインメント、ローレルウッド・エンタテインメント

製作総指揮: フィリップ・グリン、スチュワート・クラスノウ

製作: ハヴィア・ウィニック

監督: ボブ・レヴィ

音楽: ポール・ファーラー

編集: ベン・ドガーティ

アナウンサー: ジョン・クレイマー

ホスト: アン・ロビンソン


内容: 8人の解答者によるラウンド制の勝ち抜きゲーム・ショウ。全8ラウンド行われ、各ラウンドはホストが続け様に出題する質問に解答者が一人ずつ交代で答えるという構成。最初の掛け金は1,000ドルで、正答すると2,500、5,000、10,000、25,000、50,000、75,000ドルと掛け金が上がっていき、8問連続正解の場合は、そのラウンドでの最高賞金の125,000ドルを獲得する。もし誤答した場合は、最初の掛け金である1,000ドルからまた始めなければならない。解答者は途中で「バンク」と称して、それまで獲得した賞金を貯金することができるが、その場合も次の解答者はまた1,000ドルの掛け金から始めなければならない。


1ラウンドが終わる毎に解答者は自分たちの中から最も賞金獲得に貢献していないと思われる者を一人ずつ投票で追放する。第1ラウンドの時間は正味2分30秒で、ラウンドが進むごとに10秒ずつ時間は短くなる。各ラウンドで最高賞金125,000ドルを獲得した場合の最終的な賞金総額は100万ドル。解答者が獲得した賞金は最後まで持ち越されて最後に残った勝者の総どりとなり、その他の解答者には1セントも与えられない。解答者が最後の二人になった段階でプレイオフとなり、5問ずつ出される問題に多く正答した者が勝ちとなる。同率正解の場合は、差がつくまでサドンデスで出題が続けられる。


_______________________________________________________________


ABCの「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」を粉砕すべく、性懲りもなくNBCが編成するクイズ番組。一昨年「ミリオネア」が記録的な成功を収めた後、雨後の筍のようにどのネットワークもクイズ番組を編成したが、すべて視聴率を獲得できずにキャンセルされ、結局残っているのはこの「ミリオネア」だけだというのは誰もが知っている通り。NBCも過去のヒット・クイズ番組「21 (Twenty-One)」を改めて製作して放送したが、結局「ミリオネア」の足元にも及ばず、早々にキャンセルされた。


しかし「ウィークスト・リンク」は、今度こそ「ミリオネア」とタメを張ることのできるクイズ番組が現れたかと注目されていた。理由の第一は、これが「ミリオネア」と同じく元々はイギリスで放送されて人気の出た番組であるということ。クイズ番組に限らず、「アブソルートリー・ファビュラス (Absolutely Fabulous)」や「クイアー・アズ・フォーク (Queer as Folk)」等、イギリスからの輸入ヒット番組は多い。理由の第二は、クイズ番組でありながら、ラウンド制で一人一人解答者を追放していくという、「サヴァイヴァー」が確立したスタイルをとっていること。そして第三に、実はこれが最も注目されていた理由なのだが、ホストのアン・ロビンソンの毒舌が注目されていたことが挙げられる。


ロビンソンは、追放される解答者だけでなく、解答者の全員にきつい質問やコメントを連発し、これが非常に話題となっていた。彼女の司会振りが、アメリカでもきっと受けるだろうと思われていたのだ。しかし、イギリスでもこの番組のオリジナルはまだ続いている。たとえ一度に何回分も収録できるクイズ番組だとはいえ、大西洋をまたいで何度も行ったり来たりするのは、既に50代も後半の彼女にはつらい。そこで最初にとられた案は、なんと昨年の「サヴァイヴァー」優勝者で、一挙に有名人となったリチャード・ハッチをホストに起用するというものだった。しかし正直言って、ハッチは海のものとも山のものともわからないにわかセレブリティに過ぎない。そのためNBCは試しにハッチ版とロビンソン版の2つのヴァージョンを試作してみた。その結果、やはりハッチには荷が重すぎたということになったらしい。そのため、結局アメリカ版「ウィークスト・リンク」も、ロビンソンがホストを担当することになったものである。


「ウィークスト・リンク」は、このロビンソンのホスト振りに多くを負っている。ロビンソンは解答者を「情けない」だの「恥ずかしい」だの「学校を出たのか」だのと罵倒した挙げ句、追放されることが決まった解答者に対して、ほとんど流行語になったお決まりの文句「ユー・アー・ザ・ウィークスト・リンク、グッバイ! (You are the weakest link, goodbye」を告げて追放する。「アー」と「グッバイ」というところを強調して言うところがポイントで、「グッバイ」というのもほとんど「グ・バイ」という感じに聞こえる。このいかにもイギリス英語の言い回しでこのセリフを言われると、ゲームだとはいえ思わず本当に悔しさが込み上げるという仕掛けになっている。クイズ番組も色々工夫を凝らさないと、もう視聴者は獲得できない時代なのだ。


しかし、わりと放送前から話題となっていた「ウィークリスト・リンク」であるが、プレミアとその後数回を見る限り、別にこんなものかという感じである。とにかく注目されていたロビンソンによる解答者の罵倒振りであるが、言ってることはともかく、頭の中でちょっと考えてからセリフが出る、という感じで、タイム・ラグがある。これが打てば響くような感じでぽんぽんときつい言葉を連発して解答者をおとしめるものならばもっと笑えると思うんだが、私にはちょっと拍子抜けだった。日本の漫才の突っ込みの方がもっと笑わせてくれる。ロビンソンが何を言うか何と言うかとわくわくして待つ、という見方もできないことはないが、私はもっとぽんぽんとまくし立ててもらいたかった。


それよりも意外に面白いというか、へえーっと驚いてしてしまったのが、追放される解答者の面々である。彼 (女) らは優勝しない限り一銭ももらえないから、追放された後の短いインタヴュウで、自分を追放した面々を罵るのだが、これがおまえらなんでここまで自信過剰なんだという感じで、呆気にとられる。答えを何度も間違えたから他の皆から投票を受けて追放されたというのに、なんで自分が追放されるんだ、あいつよりも自分の方が残って然るべきだと、皆が皆そう答えるのだ。あんた、もうちょっと虚心に状態を把握しなさいよ、と諭したくなる。この、相手を蹴落としても自分が残ろうとするのは、「サヴァイヴァー」の悪影響だろうか。


番組のセットは、ライティングといい、ミラーボールといい、音楽や音響効果の使い方といい、まるで「ミリオネア」の物真似で、言わせてもらえれば恥知らずである。そりゃあ成功した番組の轍を踏むのは定石ではあろうが、ここまであからさまに真似なくてもいいものをと思う。悪口の方が先に出てしまったが、クイズ番組として見た場合、次から次へと考える暇なく出題が続くのは、どきどきはらはらして悪くない。これが「ミリオネア」だと、解答者にたっぷりと考える時間を与えることで、逆に緊張感を盛り上げる。つまり、「ウィークスト・リンク」は視聴者は完全に第三者として番組を楽しむのに対し、「ミリオネア」は視聴者は解答者と同一化することで臨場感を味わう仕掛けになっている。結局両番組のホストの司会振りよりも、番組としての大きな違いはここにある。


ロビンソンはイギリス人で、完全なイギリス式アクセントで出題する。これがアメリカ人には聞き取りにくく、解答者が何度もロビンソンにもう一度言ってくれないかというシーンが頻出するのも番組の特徴。しかし、ロビンソンにもう一度言ってくれと聞き直したのに答えを間違えたりすると、1ラウンドの時間が限られているために他の解答者から反感を買う。解答者はこの辺もうまく考慮しなければならない。それにしてもアメリカ人ですら聞き取れないものを、まだアメリカ英語ですら完全に聞き取れるわけではない私が聞くと、さらに聞き取れない。ちょっと気を抜くと、すぐに何を言ってるかわからなくなる。こりゃ私が番組に出たら、ぼろくそ言われた挙げ句、第1ラウンドで飛ばされてアウトだ。


「ウィークスト・リンク」は「ミリオネア」同様、既に有名人を解答者に迎えるセレブリティ・ヴァージョンを放送している。これで笑えたのが、「サヴァイヴァー」参加者の面々を迎えた回だ。「サヴァイヴァー」の参加者は全員超有名人になってしまったため、彼らを解答者に招けば高視聴率が期待できる。しかし「サヴァイヴァー」はCBSの番組である。できれば他局の番組の宣伝はしたくない。痛し痒しということでNBCがとった方策は、「サヴァイヴァー」参加者を解答者として招くけれども、その解答者を「サヴァイヴァー」の参加者だったとして紹介はしないということだった。彼らを「サヴァイヴァー」の面々として紹介しないならば、セレブリティ・ヴァージョンとして番組を製作する意味がないじゃないかと思えるのだが、しかし、紹介なんかしなくても視聴者は見れば一発で誰が誰だかわかる。「サヴァイヴァー」を番組の中で紹介しないことが、NBCのせめてもの抵抗だったということか。因みにこの「サヴァイヴァー」ヴァージョン、私は見ていないのだが、第1ラウンドで最初に追放されたのは、誰あろう「サヴァイヴァー」の優勝者であるリチャード・ハッチだったそうだ。なんやかや言いつつ、皆、結構彼には恨みが残っていたに違いない。


「ウィークスト・リンク」は視聴率の点で、リアリティ・ショウでABCやCBSといったライヴァル・ネットワークの後塵を拝していたNBCにとっては納得のできる数字を獲得した。別にそれはそれでいいんだが、これに味を占めたNBCは、いきなり今秋の新シーズンから「ウィークスト・リンク」を週2回編成すると発表した。それはないよ。別に新機軸を持つクイズ番組なら週1回くらいなら我慢するが、それでも同じクイズ番組を週2回見たいとはまったく思わない。リアリティ・ショウは一度成功すると続きが簡単に製作できるから、どこもすぐこういう安易な方向に走る。


現在ABCの「ミリオネア」は、週4回編成されている。しかし、年寄りばかりが見ている「ミリオネア」に頼り過ぎたため、ABCの視聴者の平均年齢層は極端に上がってしまった。老人ネットワークと陰口を叩かれるCBSとほとんどタメを張るまでになっている。「ミリオネア」の現在の視聴者の平均年齢は、50代の中盤だそうだ。まあ、確かに私を含め、いまだにこの番組を見ているというのは少なくとも私の周りにはいない。「ミリオネア」は今でも視聴率で毎回上位に食い込む人気番組なのだが、見ているのがジジババばかりでは、番組のスポンサーにとってはほとんど意味がない。それで今秋の新シーズンからは、現行の週4回から週2回に放送が減らされる。このまま行ってくれれば来年は週一編成に戻り、再来年はキャンセルになってくれるかも知れない。とにかく、平々凡々なクイズ番組をプライムタイムに見ようという気には私はまったくならんのだ。ただでさえ7時から毎日1時間、「ジェパディ」と「ホイール・オブ・フォーチュン」というスーパー長寿のクイズ番組が今でも放送されている。それだけで私には充分だ。


今秋の新シーズンには、その「ミリオネア」と「ウィークスト・リンク」が月曜夜8時から裏番組同士となって、直接対決になるのが今から注目の的となっている。これは願ったり叶ったりだ。願わくは両番組で潰しあった挙げ句、両方とも視聴率が稼げない結果となって、シーズン途中でキャンセルされちゃったりしてくれるならば私としては非常に嬉しい。代わりにもっと強烈なリアリティ・ショウでも編成してくれないかなあ。







< previous                                    HOME

 

Weakest Link

ウィークスト・リンク   ★★1/2

 
inserted by FC2 system