今夏ニューヨークで話題となった「ウォーターフォールズ」、すなわち「滝」とは、ヨーロッパで活躍するアーティストのオラファー・エリアソンが、ニューヨークのイースト・リヴァー沿いに設置した4個の人工の滝のことを指す。3年前のクリスト/クロードの「ザ・ゲイツ」に続くニューヨークという街をステージに見立てたインスタレーション・アートが、「ウォーターフォールズ」だ。


「ウォーターフォールズ」は既に6月26日から公式に一般公開、10月13日まで滝に水が流れることになっている。「ザ・ゲイツ」のように短期集中型ではなく、100日以上に及ぶわりと長丁場で、それで私も、ま、見るのはいつでも行けるし、なんて思っているうちにはや9月も半ばとなり、そろそろ見ないとなと思っていた。


それで日本から来NY中の知人の歓迎ディム・サムをチャイナタウンでやることになっていたのを、ちょうどいい機会だからと食事の前についでにイースト・リヴァー沿いまで足を伸ばした。そしたら、滝に水が流れていない。なんでと思いながらディム・サムのレストランでこの話をしたところ、確か近隣から苦情があって今は時間を限って水を流しているはずとの情報を得た。


それで午後再度ブルックリン・ブリッジの袂までやってくると、今度は水が流れている! やった! なんでも膨大な量の水を汲み上げて落とすウォーターフォールズは、飛沫もすごい。それこそが醍醐味の一つなんだが、なんせほとんど海と接した河口のこととて、その水には塩分が含まれている。その水飛沫によって、川沿いに植えられたプラントが枯れそうになっているのだそうだ。そのため、現在では午前中のウォーターフォールは控えるなどの措置がとられているのだそうだ。


そうであったか。水の流れていない枠組みだけの滝は、NYのどこにである工事現場の足場と同じだけという感懐しか抱かなかったが、そこに水が流れるといかにも涼しげだ。人工だろうが自然だろうが、水が流れるのを見るのは、たったそれだけでも見飽きない。アートというよりはNY市長ブルーンバーグ政策による観光客誘致イヴェントという印象もなくはないが、それはそれで楽しいのも事実だった。さて、次はいったいNYという街を舞台にどのアーティストがどんな企画を考え出してくれるのか。







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The New York City Waterfalls   ザ・ニューヨーク・シティ・ウォーターフォールズ

2008年9月14日
マンハッタン、ダウンタウン、イースト・リヴァー

 
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