7年前に続いて2回目となるニューヨーク、ベスペイジでの全米、今回も前回同様結構雨に祟られる。初日は半分以上のゴルファーがティ・オフすらできずに雨天順延。あのラフで雨でも降られたら、ティ・ショットをラフに入れた途端、ほとんどオートマティックにボギーは約束されたようなもんだろう。
その前回に較べても、今回は特に天気が悪い。ニューヨークはこの一か月ほどずっとこうで、雨ばかりだ。それでも日本の梅雨と違って特にじめじめしているという感じはしないのは、一瞬でも晴れるとかなりドライになって心地よく感じるからだが、いずれにしてもこれではプレイが進まず、土曜の日没直前になってようやっと第3ラウンドが始まったが、その途端また強い雨が降り始めた。
前回は私の住むクイーンズでは降ってないのにTVに映るベスペイジでは降っていたりしてなんか不思議な気がしたりしたもんだが、今回の雨雲は広域にわたっており、今私の住んでいるニュージャージーでもベスペイジでも同じような雨足で降っている。窓の外を見て、これではプレイできんよなと思う。一応土曜夜で足切りまでは終わっているが、それでも日曜に2ラウンドなんて無理だろう。まさかメイジャーで3ラウンド終わった時点で成績のいいゴルファーを優勝になんかしたりはしないだろうから、これは月曜フィニッシュか。
あのラフで雨が降るとまず第2打でグリーンは狙えないだろうからこれはスコアは伸びないだろうと思っていたが、一方でグリーンはボールをホールドし、しかも遅くなる。そのためティ・ショットでフェアウェイをキープさえできたらむしろチャンスで、だいたいデッドにフラッグを狙える。そのため、初日トップに立ったマイク・ウィアーは6アンダー64という全米にあるまじきロウ・スコア、第2ラウンドを終わった時点では今度は代わって首位のリッキー・バーンズは8アンダー、2位のルーカス・グローヴァー7アンダーと、通常のツアー並みのロウ・スコアになった。一方で悪いスコアはとことん悪く、アーニー・エルスが15オーヴァーで予選落ちなんて数字を見ることができるのは全米くらいのもんだろう。
因みにタイガー・ウッズは初日いい感じで行きながら最後の4ホールを4オーヴァーで、初日4オーヴァー74で終わる。特に15番パー4で第2打がグリーンをとらえ切れずラフに打ち込んでダブル・ボギーを叩いてリズムを崩し、その後3ホールでさらに2ボギーを叩いたのが痛かった。15番は打ち上げの長いホールで、私なんかアマチュア用の短いホワイト・ティからティ・オフしているのに、ここで2オンなんかした試しがない。結局ウッズは第2ラウンドは1アンダー69の通算3オーヴァーで、バーンズとは11打差。
日曜午前の第3ラウンドは、4番パー5でバーンズがイーグルを奪うなど一時11アンダーまでスコアを伸ばし、出遅れたグローヴァーに6打差つける一幕もあったが、その後グローヴァーは持ち直し、一方でバーンズがもたつき始めたため、結局二人とも第3ラウンドはイーヴン・パー70で、共に通算8アンダーと7アンダーで1位2位は変わらず。少し離れて3アンダー3位にロス・フィッシャーと、なんとデイヴィッド・デュヴォールがいる。デュヴォールなんて現在世界ランキング800位台だそうで、昔の活躍がなければ出場すら無理なところだ。これが復活ののろしになるだろうか。2アンダー5位にはハンター・メイハン、フィル・ミッケルソン、ウィアーの3人、そしてウッズは1オーヴァーと、バーンズと9打差。
上位陣の最終ラウンドが始まったのはもうほとんど日没直前という時刻で、結局詰められるだけ詰め込んで残りは月曜フィニッシュということになった。その時点でバーンズは1番パー4でボギーを叩いて7アンダーでグローヴァーと並んでおり、2番パー4でもティ・ショットを引っかけて深いラフに打ち込んだところで日没順延。バーンズのボギーの確率は高く、たぶん初めてグローヴァーが単独首位に立つ可能性が高くなった。この時点でメイハン、ミッケルソン、デュヴォール、フィッシャーの4人が2アンダー、ウィアーが1アンダー、そしてウッズは長い7番パー4でめった見られないバーディでイーヴン・パーに戻り、ソレン・ハンセン、バッバ・ワトソン、グレム・マクドウェル、レティーフ・グーセンらと共に8位タイ。さて月曜は大きなドラマが待っているか。
月曜の最終ラウンドの続きは、意外にもバーンズは2番のラフから2オンに成功させパーで上がるが、しかしそれでも徐々に沈んでいく。一方グローヴァーは踏ん張る。デュヴォールもいきなり3番パー3でトリプル・ボギーを叩きながら後半徐々に盛り返す。ミッケルソンもフロント・ナインで2ボギーとやはりダメかと思わせながらこつこつと巻き返し、13番パー5でイーグルを奪って4アンダー、首位のグローヴァーについに並ぶ。二人は共に15番でボギーを叩くが、そこに14番パー3、15番、16番パー4で3連続バーディを奪ったデュヴォールが加わって、3人が3アンダーで首位タイ。フェイヴァリットのミッケルソン、アンダードッグのデュヴォール、グラインダーのグローヴァーという、いかにも全米らしい、脚本があるかのような展開になった。ウッズはここぞというパットが決まらず、今年は無理だった。
しかしデュヴォールとミッケルソンは共に17番パー3でボギーで2アンダー、一方のグローヴァーは16番パー4でバーディを奪って4アンダーとなり、あらかた勝負を決める。グローヴァーは残り2ホールをパーで上がり、ツアー2勝目ながらメイジャー初制覇。2アンダー2位にデュヴォール、ミッケルソン、バーンズ、1アンダー5位にフィッシャー、イーヴン・パー6位にウッズ、メイハン、ハンセンの3人が並んだ。
それにしてもグローヴァーって、顔もプレイ・スタイルも、なんかデイヴィス・ラヴ3世を思い出させる。ミッケルソンは元々ニューヨークでは非常に人気があったが、今回は特に一昨年の借りやエイミー絡み、それに念願の全米制覇といった含みもあり、ギャラリーが特に彼を応援していた。月曜に13番でイーグルを奪って首位に並んだ後、14番ではティ・ボックスからグリーンまでギャラリーが鈴なりになってグリーンに歩いていくミッケルソンに拍手を送っていた。優勝者を称える18番グリーンというわけでもないのだ。今全米で最も印象的なシーンの一つだった。彼は本当に好かれているんだな。あんたはいつか全米も勝てるよ。
