第104回全米オープン

2004年6月17-20日   ★★★★

ニューヨーク州サフォーク、シネコック・ヒルズ・ゴルフ・クラブ

初日、4アンダー66で丸山茂樹がジェイ・ハースと並んで暫定首位に立つ。丸山は2日目も好調で、2アンダー68でフィル・ミッケルソンと並んで6アンダー首位タイ。しかし3日目に4オーヴァー74と崩れ、首位から滑り落ちるも、それでも通算2アンダーで、5アンダーで首位に立ったレティーフ・グーセンに3打差、フレッド・ファンクと並んで4位タイで踏ん張る。3アンダー2位にはミッケルソンとアーニー・エルスと、ちゃんと世界ランキング上位のゴルファーが入ってくるところが、メイジャーのメイジャーたるところか。その中で最近不調のタイガー・ウッズだけが、通算4オーヴァーでグーセンに9打差と、ほとんどチャンスはなさそうだ。それでも18番でアイアン・ショットを直接カップ・インさせイーグルを奪うなど、それなりに見せ場を作るところはさすがと言うべきか。


丸山は相当のプレッシャーの中をあれだけやれるのは大したもの。とはいえ、3日目最終ホールのダブル・ボギーだけはよけいだった。たぶん最後のホールということで緊張の糸が切れたんだろう、あそこをパーで上がってさえいれば、まだグーセンに1打差の単独2位だったんだが、その辺が大舞台の難しさか。特に3日目はピン・プレイスメントが難しい位置にあったのと、グリーンが固くなってボールをホールドせず、どんどんボールがこぼれてグリーン回りを難しくし、特にパー3でボギー、ダブル・ボギーを叩くゴルファーが頻出した。しかし、こういうたった一つのミスが大叩きに繋がる我慢較べこそが全米オープンの面白さであり、その意味では手に汗を握る勝負を演出していると言える。


ニューヨーク近郊は、最近、湿度が高く、本来なら年間を通して最も快適の時期であるはずなのに、日本の梅雨のようなうざったさが続いていた。しかし、この週末に限っては快晴になり、湿度も低く、体感する限りでは非常に快適な、過ごしやすい週末になった。とはいえ、それは普通に暮らしていて感じることで、ただでさえ速いグリーンにしていたシネコックでは、そのためにグリーンが乾きすぎてコンクリートのようになってしまい、最終日は、あまりにも速すぎるグリーンにほとんどのゴルファーがグリーンをとらえきれないため、1パーティ毎にグリーンに水を撒く光景すら見られた。いくら我慢較べが見どころの全米オープンとはいえ、難しすぎるのも困りものだ。オープン終了後、ウッズがコースを非難していたのもわかるが、しかし、負けた奴が何言っても、負け犬の遠吠えにしか聞こえないからなあ。


いずれにしてもそのため、最終日は3日目に輪をかけてコースが難しくなり、誰もアンダー・パーで回れない。結局、後半になって、優勝争いはその中をしぶとく粘ったグーセンとミッケルソンの二人に絞られる。グーセンをミッケルソンが追うという展開は、最終パーティでプレイするグーセンが14番パー4でボギーとなって3アンダーとなり、最後から2番目のパーティでプレイするミッケルソンが15番パー4でバーディを奪ってやはり3アンダーとなった時点で、ついに並ぶ。さらにミッケルソンは16番パー5でもバーディを奪い、4アンダーとなって、最終日、ついに初めて単独首位に立つ。


しかし続くグーセンも同様に16番でバーディを奪い、二人はまた4アンダーで並ぶ。その直後にミッケルソンは17番パー3で5フィートのパー・パットから3パットする痛恨のダブル・ボギー5となり、最後の最後でついに脱落した。結局グーセンは17番と18番を手堅くパーでまとめ、この日1オーヴァー71、通算4アンダーで、3年前のサザン・ヒルに続きメイジャー2勝目。今回は最終日に崩れたが、エルスも同じく全米オープンで2回勝っており、なぜだか南アフリカ勢は全米に強い。グーセンと同じくこの日1オーヴァー71、通算2アンダーで2位のミッケルソンの後には、通算1オーヴァーでジェフ・マガート (72)、その下4オーヴァー4位にはマイク・ウィアー (74) と丸山 (76) が入った。5オーヴァー6位にはファンク (77)、エルスは9オーヴァー80を叩き、通算7オーヴァーで9位タイ、ウッズは10オーヴァー (76) で17位タイに終わった。


全米オープンと重なったこの週末のアメリカのスポーツ界では、MLBでドジャースの野茂とヤンキースの松井が対戦、松井が野茂からホームランを打ったかと思えば、その野茂までもがホームランを打っていた。さらにインディアナ・ポリスでのF1アメリカGPでは、佐藤琢磨が日本人としては90年の日本GPでの鈴木亜久里以来14年ぶりに3位で表彰台に立つ快挙を成し遂げるなど、日本人アスリートがアメリカの至る所で活躍していた。実は、私がゴルフの次に見ているスポーツがF1なのだ (あとFOXスポーツの世界中のサッカー・シーンのダイジェストとかもよく見ている。ちゃんと日本のJリーグの様子も放送される。)


通常、アジア、ヨーロッパ開催のF1は、アメリカでは深夜放送なのでいつも眠い目をこすりこすり見ているのだが、南北アメリカ大陸で開催されるGPは、当然のことながら日中の中継だ。それでゴルフの裏番組となった今回のF1は、夜の再放送を見たのだった。佐藤は今季、何度もいいタイムを叩き出しているが、ほとんどのレースでエンジンをブロウ・アップさせて途中リタイヤが続いていた。彼は完走させることができさえするなら表彰台も間近だと思っていたので、今回の3位は不思議でもなんでもない。次の目標は、ずばり優勝だ。シューマッハとバリケロのフェラーリ軍団に立ち向かえるのはあんたしかいない。さて、次、日本人が活躍するスポーツはなんだろうか。







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