第103回全米オープン

2003年6月12-15日   ★★1/2

イリノイ州オリンピア・フィールズ、オリンピア・フィールズ・ゴルフ・クラブ

2日目まではいい位置に着けていたタイガー・ウッズが3日目に崩れて、1オーヴァー、10アンダーで首位のジム・フューリックに11打差となり、チャンスは潰える。あとはもう、いい勝負を見せてくれればそれで満足するかと思っていたら、最終日、誰もフューリックに絡む者がなく、かろうじてスティーヴン・リーニーが踏ん張っている他は、全員沈んでいく。そのリーニーもフューリックに対して常に3打差以上の差を縮めることができず、結局、もうちょっと競った勝負を見たいと思うファンの気持ちとは裏腹に、フューリックが8アンダーで、5アンダーのリーニーに3打差をつけてメイジャー初優勝を飾った。


1アンダーで3位にはケニー・ペリーとマイク・ウィアーが入った。ペリーもウィアーも今年は調子がいい。ところで、イーヴン・パーでニック・プライス、アーニー・エルス、デイヴィッド・トムス、フレドリック・ジェイコブソンと共に5位タイに入ったジャスティン・ローズは、最終日、一度もTVに映らなかったぞ。勝負が終わってから結果を見て、初めてローズが上位に食い込んでいたことを知った。3オーヴァーのウッズはわりと何度も映っていたのに。まあ、そんなもんか。


都会が近いトーナメントは、だいたいギャラリーがじっとせず、うるさい。昨年のニューヨークで開かれた全米も、わりとギャラリーが沸いたり絶叫したり野次ったりと派手だったが、今回のシカゴ郊外のオリンピア・フィールズは、はっきり言って、ギャラリーの態度が悪かった。特にここんとこ、アニカ・ソーレンスタムのPGAツアー参加に反対する意見で物議を醸したヴィージェイ・シングに対しては容赦ない野次がそこかしこで飛んでおり、可哀想なくらいだった。私はソーレンスタム問題に関してはシングと正反対の意見を持っているが、それでも、それとこれとは違うだろ、せっかく上位に絡んでいるんだから、プレイはプレイとして自分のゴルフをさせてやれよと思ったが、ファンは容赦ない。オフィシャルによってスタンドから退場を要求されるファンなんて普通はいないんだが。


ウッズも3日目、1番パー5の第2打でテイクバックしたクラブを振り降ろそうとした瞬間に指笛を吹いたファンがいて、派手にミス・ショットを打ってたし、ああいうのはないよなあと思ってしまう。例えば、一時ワッグルに永遠とも思える時間をかけていたセルジオ・ガルシアなんかは、あれは完全にスロウ・プレイだろ、ペナルティつけるか野次り倒してやれと思ったが、ガルシア自身もそれをわかって改善に努力しているから、別にそれはそれでいい。しかし、シングやウッズを野次るのはお門違いだろうとしか思えない。考えたらウッズは黒人の血が濃いし、シングも肌が黒いし、こういうところで人種的な絡みが入っているのかなと考えるのは、実に不愉快だ。


唯一面白かったのは、最終日の11番ティで、フューリックに上半身裸の女性が花を持って近づいてきた時で、思わずうろたえていたフューリックがおかしかった。トーナメント後のインタヴュウで、いや、私は妻を愛しているから、とか、全米に中継されているTVで恥ずかしい、とか見当外れのコメントを寄せていたが、花くらい受け取ってやれよと思ってしまった。とはいえ、そのシーンは生ではなく録画で見せていたので、既に女性の胸にはぼかしが入っていて、ちきしょう、その時に生でフューリックを映していたら、思わぬ褒美が見れたのにと、つい口惜しい思いをしたのであった。いずれにしても今回の全米は、いまいち消化不良で終わってしまったなあ。







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