トラックス (Tracks)

放送局: Spike

プレミア放送日: 9/1/2016 (Thu) 22:30-23-23:30

製作: ミッション・コントロール、MXプロダクションズ

製作総指揮: クリスティーナ・アギレラ

ホスト: バウ・ワウ


内容: ヒット曲の特定の楽器のパート (トラック) だけを聴かせて曲名を当てさせるゲーム・ショウ。


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Tracks


トラックス  ★★1/2

結構歌番組が好きで、特に勝ち抜き系のシンギング・コンペティションは、ほとんど逃さず目を通している。今春、ついに長年アメリカでこのジャンルを牽引してきたFOXの「アメリカン・アイドル (American Idol)」が最終期を迎えてからは、NBCの「ザ・ヴォイス (The Voice)」だけではなんかもの足りなく、今ではわざわざAxisが放送している英国版の「ジ・エックス・ファクター (The X Factor)」も見ている。


さらにはスパイクが編成しているヒット曲の物真似口パク勝負の、「リップ・シンク・バトル (Lip Sync Battle)」まで見てたりする。これなんかは参加者が実際に歌っているわけではないから本当は歌番組とは言わないと思うが、音楽番組とは言えないこともない。我ながらよく見ていると思う。「リップ・シンク・バトル」は、スパイクでも最も人気のある番組の一つになった。「トラックス」の編成は、そのこととも関係があるだろう。


「トラックス」は、音楽に関係するゲーム・ショウだ。二人一組のチーム同士が、ヒット曲関連の知識を競う。まず最初に問題が出題され、先に正答したチームが次に賞金をかけた本題の質問に答える権利を得る。その時の出題の仕方が、番組タイトルである「トラックス」を意味している。


要するにステュディオ内にいるバンドが、ヒット曲の特定の楽器のパート、つまりトラックを演奏する。例えばまずドラムだけがある曲の自分のパートだけを演奏し、それを聴いて曲名を当てる。当然のことながら、とても印象的なリズムでもない限り、リズム・セクションだけで曲を当てるのは非常に難しい。次にギター、ベイス、キーボード、コーラス、という風にどんどんトラックを増やして行き、回答者が当てるまで続ける。トラックの何から始めるかというのは、ホストのバウ・ワウの独断だ。


むろん答える側にとっては、メロディが入る方がわかりやすい。だからといってギターやキーボードが常にメロディを奏でているわけではなく、コードを押さえているだけだと、似たようなコード進行をする曲は山ほどあるので、簡単にはわからなかったりする。


回答者が答えられなければ、わかるまでだんだんと楽器を増やして重ねていく。何が何だかわからない曲が、トラックが増え、リズムとメロディが重なり、ある瞬間に頭の中に原曲が炸裂する。それが面白い。一方、それに気づかず延々と頭を悩ませる者もいる。


毎回最後の出題は、二つの曲を提示し、一つのトラックを聴かせて、これがどちらの曲のトラックかを当てるというものだ。例えば番組第一回では、これから演奏するパートが、スティーヴィ・ワンダーの「スーパースティション (Superstition)」とブルーノ・マーズの「アップタウン・ファンク (Uptown Funk)」のどちらであるか当てさせる。


パートだけ聴くと、確かにこれがどの曲かわかりづらい。これなんか、まず最初にドラムではなくキーボードを聴かせるのだが、それでも確かにどっちの曲にも聞こえるのだ。次にドラムを聴かせるのだが、やはりどちらにも聞こえる。「スーパースティション」と「アップタウン・ファンク」は、実は根幹は同じ曲だったという発見は、なかなか面白いものがある。


次にベイス、ホーン・セクションと続くが、やはりわかりづらい。とはいえ曲に馴染んだ者なら当てられないわけでもないと思う。しかし5番目の、タンバリンは、こりゃムリだ。まったくわからない。ただ単調にタン‥‥タン‥‥とリズムを刻むだけで、この世のヒット曲の半分くらいに使われても無理なくはまってしまうんではないかと思われる。これを聴いてどちらの曲かを確信をもって答えらえるのは、この曲を作った者、歌っている者たちだけに限られるのではないか。


最後のプレイしているパートの曲を当てさせる問題は7つあり、3つ間違えば失格、4つ当てれば賞金20,000ドルを獲得する。この問題に回答した男は、今の曲より昔の曲の方が好きだったと見えて、すべてのパートに「スーパースティション」と答えていた。カンとかいうよりも本当に「スーパースティション」に聞こえるらしい。そしてタンバリンで間違えて失格。しかしあれは確かに「スーパースティション」でも使えるような気がする。因みに番組第2回で最後の設問に使用されたのは、シーアの「シャンデリア (Chandelier)」とリアーナの「ダイアモンズ (Diamonds)」。これも似ている。時代も近いし。


番組プロデューサーの一人に名を連ねているのはクリスティーナ・アギレラで、番組第1回と2回には自身も出てきて歌っていた。「リップ・シンク・バトル」よりさらにニッチェ向きという印象の番組だが、暇つぶし的に見ていると、結構はまる。










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