The Tonight Show Starring Jimmy Fallon   ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジミー・ファロン

放送局: NBC

プレミア放送日: 2/18/2014 (Tue) 0:00-1:00

製作: ブロードウェイ・ヴィデオ、ユニヴァーサル・メディア・ステュディオス

ホスト: ジミー・ファロン

サイド・アナウンサー: スティーヴ・ヒギンズ

バンド: ザ・ルーツ


内容: 新ホストになったNBCの深夜トーク・ショウ。


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The Tonight Show Starring Jimmy Fallon


ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジミー・ファロン  ★★★

ついに、というか今度こそたぶん本当にというか、「トゥナイト」が恒久的に? 新ホストのジミー・ファロンを迎え、放送が始まった。が、しかし、やはり本題に入る前に、電撃引退発表、そして電撃新ホスト就任発表があった、CBSの「レイト・ショウ (Late Show)」に触れておかなければならないだろう。


「レイト・ショウ」のデイヴィッド・レターマンが来季限りで引退を発表したことは前回も書いた。引退とはいえそれは来年のこと、次の「レイト・ショウ」ホストの人選は、これから時間をかけてゆっくりと詰めるんだろうとばかり思っていた。なんてったってそのレターマンがプロデュースしている「レイト・ショウ」直後の「レイト・レイト・ショウ (Late Late Show)」は、前ホストのクレイグ・キルボーンが辞めた後、新ホストのクレイグ・ファーガソンに決まるまで、約半年にわたり、延々と臨時ホストを取っ替え引っ替えして新ホストを模索した。たぶん今回も同じことをやるんではと思えた。


そしたら、レターマンの引退発表から一週間もしないうちに、「レイト・ショウ」の新ホストは、現在コメディ・セントラルで「ザ・コルベール・レポート (The Colbert Report)」でホストを担当しているスティーヴン・コルベールに決まったという、これまたこの種の番組の人選としては驚異的な早さで、新ホストの発表があった。あまりにも発表の手際がよすぎるので、これはレターマンの引退は、昨年辺りから既に後継者の人選を含めて織り込み済みかと思わせるくらいだった。


しかし関連記事を読んでいるとそんなことはなく、レターマンの引退は今年になって本人自身が決め、CBSトップのレス・ムーンヴェスに伝え、後任は引退発表後に電光石火の早さで選出したということだ。むろんこのスピードは、近年のNBCの深夜トークにおける特大級のごたごたを目の当たりにして、CBSは何がなんでもその二の舞いは避けたかったという意思が働いたことが大きかったのは言うまでもない。予想ではレターマンによる最後の「レイト・ショウ」が放送されるのは来年初夏。コルベールによる「レイト・ショウ」はその直後からと見られている。


さて、ジェイ・レノの「トゥナイト」が2月6日に最終回を迎え、ファロンは2月8日に「レイト・ナイト (Late Night)」を終えた後、一週間の休みをとり、ファロンがホストの新「トゥナイト」は、2月17日深夜、正確には2月18日零時から始まった。これはこの時期、NBCがちょうどソチ冬季五輪をプライムタイムに録画放送していたためだ。2月10日の週は深夜トークはまったくなく、17日の週も、通常ならプライムタイム番組が終わった後、11時ローカル・ニューズ、11時35分から「トゥナイト」が始まるものが、11時半まで五輪中継、その後ニューズで、「トゥナイト」は零時開始になった。「トゥナイト」が常態の11時35分放送開始になったのは、2月21日金曜夜からだ。その前回、2月20日放送分は正確には2月21日零時放送だったので、テクニカルに言うと、2月21日は「トゥナイト」は2回新エピソードが放送されたことになる。


新「トゥナイト」の正式名称は、「ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジミー・ファロン」だ。これはレノの「ザ・トゥナイト・ショウ・ウィズ・ジェイ・レノ (The Tonight Show with Jay Leno)」とは異なるが、その前の「ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジョニー・カーソン (The Tonight Show Starring Johnny Carson)」とは作りが一緒だ。ファロンは、「スターリング」の方がゴージャスでいいと思ったというようなことを言っていたが、心中カーソンのことを考えていたのは間違いないところだろう。


「トゥナイト」は1972年に、そのカーソンがニューヨークからロサンゼルスに持って行った。今回またLAからNYに戻って来る「トゥナイト」は、その点でも原点に回帰したと言える。ロックフェラー・センターにあるNBCの「トゥナイト」収録用ステュディオは、ファロンが「レイト・ナイト」を収録していたステュディオと同じ階のすぐそばにあるのは、「レイト・ナイト」の最終回で、ファロンが実際に廊下を歩いて見せていた通りだ。


その新生ファロン版「トゥナイト」の第1回は、これまで「トゥナイト」と「レイト・ナイト」がいつも節目ではそうであったように、なんか面白いギャグ・スキットで始まるかと思ったらそうではなく、ごくごく普通に、ほとんど普段の「レイト・ナイト」のように、緞帳が開いてファロンが現れた。ファロンは、新しい「トゥナイト」は、NYで、こうやって撮っていますと説明した後、また緞帳の後ろに戻り、説明したことをもう一度やってみせた。因みにオープニングのタイトル・シークエンスを演出したのはスパイク・リーだそうだ。


ファロンは椅子に落ち着くと、オレがここまで出世することを信じてなかった奴は結構いる、オレが賭けに勝ったから100ドルの貸しだと一くさり。そこに登場したのはロバート・デニーロ。むろんこれはファロンの「レイト・ナイト」のそもそもの第1回のゲストがデニーロであったことと呼応している。デニーロは、あんたがここまで成功するとは思ってもいなかったよとばかりにデスクの上に100ドル札を叩きつけると、ふんと去っていく。


その次に現れたのは、SNL来の盟友ティナ・フェイで、ちゃんと顔を出す。彼女も100ドル札をデスクの上に置いて去っていく。その後もレディ・ガガ、サラ・ジェシカ・パーカー、キム・カーダシアン、マライア・キャリー、NY元市長のルドルフ・ジュリアーニ、セス・ローゲン、リンジー・ローハン、マイク・タイソン等、次から次へとセレブリティが現れてはファロンに100ドル払って去っていく。この中の白眉というか暗合はスティーヴン・コルベールで、100ドル札ではなく、バケツ一杯のペニーで100ドル分をファロンの上にこぼし、11時半の時間帯にようこそ (コルベールがホストの「コルベール・レポート」も11時半から放送の30分番組だ) とファロンを歓迎、ついでにセルフィーも撮る。まさかこの時は、ネットワークでまた自分も新しく11時半からの戦国時代に一枚噛むことになるとは想像もしてなかったろう。


その後、ファロン得意の音楽を使ったスキットでは、この日の番組第1回ゲストのウィル・スミスと共に、ヒップ・ホップ・ダンスの歴史を実地に踊って紹介する (この部分は録画。) その直後には、普通なら最後にある音楽ゲストのパフォーマンスで、U2が登場してステュディオの中ではなく、ロックフェラー・センターの屋上、トップ・オブ・ザ・ロックで「インヴィンシブル (Invincible)」を演奏する。私はここに登ったことはないのだが、思ったよりも狭いようで、しかも柵は低いんじゃないか。ちょとよろめいただけですぐ下に落ちそうだ。高所恐怖症の私としては、あまり嬉しくない場所だな。


ここでいきなりわざわざ屋外でU2に演奏させたのは、ちょうど番組収録中のこの時間帯が、日没時で夕陽が最も映えるからだろう。エンパイア・ステイト・ビル等があるマンハッタンの摩天楼に灯りが灯り始め、オレンジ色の夕焼けと対比を成す。この時期、NYはほとんど一日置きという感じで雪が降っていたから、寒いとはいえ晴天でラッキーと言える。実際、この翌日も大雪で、学校は休校のところが多かった。もしまたこの日も雪が降っていたらどうするつもりだったんだろうか。


その後ファロンはステュディオに戻ってスミスとおしゃべりした後、戻ってきたU2が、今度はゲストとしてカウチに座り、そのままアコギで「オーディナリー・ラヴ (Ordinary Love)」を歌う。ボノは最初は座ったまま歌い出し、後半は立ち上がってルーツの面々も含めての熱演で番組第1回を終えた。「レイト・ナイト」第1回と較べると、それこそ雲泥、天と地の差がある上等のでき具合だ。


因みに番組のプレミア・ウィークのゲストは:


2/18 (火): ゲスト: ウィル・スミス。音楽ゲスト: U2

2/19 (水): ゲスト: ジェリー・サインフェルド、クリスティン・ウィーグ。音楽ゲスト: レディ・ガガ

2/20 (木): ゲスト: ブラッドリー・クーパー。音楽ゲスト: ティム・マグロウ

2/21 (金): ゲスト: ミシェル・オバマ、ウィル・フェレル。音楽ゲスト: アーケイド・ファイア

2/21 (金): ゲスト: ジャスティン・ティンバーレイク


とまあ、天下の「トゥナイト」だから当然と言えるが、かなりのメンツだ。ファースト・レイディのミシェル・オバマまでいる。その後の展開を見るに、ファロン版「トゥナイト」は、オブライエン版「トゥナイト」とは異なり、非常に好調な成績で推移している。癖のあるオブライエン、人好きのするファロンを並べると、この差は納得ではある。


一方、先ほど放送された今年の「MTVムーヴィ・アウォーズ (MTV Movie Awards)」ではそのオブライエンがホストで、その癖がいい感じで出ていた。オブライエンは現在はTBSで「コナン (Conan)」をつつがなくホストしている。今なら適材適所と言える。今さら言っても詮ないことだが、「トゥナイト」でさえなかったらと、やっぱり思ってしまう。












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