ディス・モーニング   This Morning 

放送局: CBS 

チャーリー・ローズがホストのラスト・エピソード放送日: 11/20/2017 (Mon) 7:00-9:00  

ジョン・ディッカーソンがホストのファースト・エピソード放送日: 1/8/2018 (Mon) 7:00-9:00  

共同ホスト: ゲイル・キング、ノラ・オドネル 

 

トゥデイ   Today    

放送局: NBC  

マット・ラウアーがホストのラスト・エピソード放送日: 11/28/2017 (Tue) 7:00-9:00  

ホーダ・コッビがホストのファースト・エピソード放送日: 1/2/2018 (Tue) 7:00-9:00  

共同ホスト: サヴァンナ・ガスリー 

天気予報: アル・ローカー  

 

内容: ホストが代わった朝のニューズ/トーク・ショウ。  


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昨年末のCBSの「ディス・モーニング」のチャーリー・ローズとNBCの「トゥデイ」のマット・ラウアーの両ホストの連続電撃セクハラ解雇は、近年のアメリカTV界で最も意気消沈させる出来事だった。よりにもよってアメリカの朝を代表する番組のホストが、セクハラで解雇か。しかもローズなんてアメリカのジャーナリズムを代表する正統派ジャーナリストとして信頼が厚かった。歳を考えてもセクハラという単語から最も遠い位置にいると思える人物だったのに、これじゃいったい誰を信用すればいいんだと、本気でがっかりさせた。 

 

私の知人でほとんどTVを見ないという奴がいるが、その彼が唯一見ているという番組が、ローズが’PBSでホストを担当していたインタヴュウ番組の「チャーリー・ローズ (Charlie Rose)」だ。そういう、TVホストというよりもジャーナリストとして信頼されているのが、ローズという人物だった。しかしその「チャーリー・ローズ」も、セクハラ発覚と同時にキャンセルされた。ラウアーだって「トゥデイ」勤続20年、人好きのする好感度の高さは群を抜いていて、だからこそ長い間アメリカの朝の顔として君臨してきた。それがセクハラか。この脱力感、いったいどうしてくれる。 

 

とまあ、一般的な視聴者の一人に過ぎない私ですらこう感じるくらいだから、長い間一緒に働いてきた同僚女性ホストの場合、さらに晴天の霹靂というか、衝撃が大きかったであろうことは想像に難くない。ただし「ディス・モーニング」でローズの相方を務めるゲイル・キングとノラ・オドネルと、「トゥデイ」でラウアーと共同ホストを務めていたサヴァンナ・ガスリーの反応は、ちょっと違っていた。 

 

私は結構朝は出勤前に「ディス・モーニング」を見ている場合が多いのだが、ローズ解雇の速報が入った翌朝のキングとオドネルは、これまで長い間一緒に仕事し、尊敬してきた、信頼に足ると思っていたローズのセクハラ解雇の報道に、怒っていた。裏切られたと思ったのだろう。二人共TVカメラを見つめ、あんたは信頼を裏切った、とローズを弾劾していた。 

 

一方、ラウアー解雇の報を受けたガスリーの方は、混乱し、動揺していた。急遽盟友のホーダ・コッビと共にステュディオ入りしたガスリーは、コッビの手を握りしめながら、 私も今朝初めて、プロデューサーからラウアーが解雇されたと知らされた、まだよく事態が呑み込めていないと、こちらは口調も手も震えがちで、まだ事情を把握できていないことを露呈していた。「トゥデイ」の場合は、「ディス・モーニング」に較べ、プロというより仲のいい友達同士という感じが強かったから、なおさら混乱に拍車をかけたのだろう。たぶん「ディス・モーニング」は、前夜にキングとオドネルにローズ解雇が事前に知らされていたんじゃないか、だからいったん気持ちが落ち着いて、それから怒りが湧いてくるだけの時間の余裕があったんじゃないかという気がする。 

 

ローズにしてもラウアーにしても、ほぼ毎朝顔を会わせる異性の共同ホストに対しては、セクハラ、パワハラを行っていない。それらはもっと格下の、バイトやインターン、アシスタント・プロデューサーのような身分の者に対して行われたようだ。だから共同ホストは、そういう事実をまったく知らなかった。むろん対象との力関係によってこういうことが起こることこそ、パワー・ハラスメントに他ならない。しかし以前視聴率不振の責を問われて「トゥデイ」ホストの座から更迭されたアン・カリーは、今回の事件報道を受け、私は特には驚かない旨の発言をしていたから、ラウアーが誰にでも清廉潔白という印象を与えていたわけでもなさそうだ。 

 

さて、事件発覚後、CBSもNBCも次のホストを誰にするかで頭を悩ませ、決まったのが「ディス・モーニング」がジョン・ディッカーソン、「トゥデイ」がホーダ・コッビだ。ディッカーソンは、CBSの日曜朝の時事報道番組「フェイス・ザ・ネイション (Face the Nation)」のホストを担当していた。母のナンシー・ディッカーソンは女性ジャーナリストの草分けとして著名な人物で、血筋といいローズの後継者としては申し分ないキャリアを持つ。とはいえこれまで政治畑一色でほぼDCから動いてないディッカーソンは、ニューヨークへの移動を思案したのも事実なようで、最初のエピソードでは、仲間は皆DCにいるから、と突然の移動に実はかなり後ろ髪引かれる思いだったことを打ち明けていた。 

 

一方「トゥデイ」のコッビは、元々「トゥデイ」出身であり、現在は毎朝10時からキャシー・リー・ギフォードと共に「トゥデイ・ウィズ・キャシー・リー・アンド・ホーダ (Today with Kathie Lee and Hoda)」という「トゥデイ」フランチャイズの一角を既に担っている。「キャシー・リー・アンド・ホーダ」はほぼ完全にエンタテインメント系一色の番組ではあるが、コッビにとっては勝手知ったる「トゥデイ」に戻ってくることに関しては、何も問題はなかったろう。当分は「ホーダ・アンド・キャシー・リー」との二足の草鞋を履くことになる。 

 

ディッカーソンもコッビも同じネットワーク内人事でしかもヴェテランだし、コッビに至っては古巣に帰ってきただけだから、二人が新ホストとして就任しても、確かにローズからディッカーソンに代わった「ディス・モーニング」は多少若返ったような印象は受けるが、それでも大局的に見て、番組が変わったとか、内容に影響したような印象はあまり受けない。ディッカーソンはさすがにセクハラ、パワハラとは無縁に見えるが、しかしそれはローズにも言えたからな。しばらくは楽観的に様子見というところか。 











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This Morning

ディス・モーニング   ★★1/2

Today

トゥデイ   ★★1/2

 
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