The Revolution   ザ・レヴォリューション

放送局: ABC

プレミア放送日: 1/16/2012 (Mon) 14:00-15:00

製作: 3ボール・プロダクションズ、アイワークスUSA

製作総指揮: J. D. ロス、トッド・ネルソン

ホスト: タイ・ペニントン、ティファニー・デイヴィス・ヘンリー、ハーリー・パスターナク、ジェニファー・アシュトン、ティム・ガン


内容: セルフ・ヘルプ、セルフ・メイクオーヴァー専門のトーク・ショウ。


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The Revolution


ザ・レヴォリューション   ★★

また一つ、長寿ソープ・オペラが姿を消した。昨秋、ABCは長年親しまれてきた長寿ソープ・オペラの「オール・マイ・チルドレン (All My Children)」をキャンセルし、その後に食専門のトーク・ショウ「ザ・チュウ (The Chew)」を編成した。しかし改革はそこで終わらなかった。今回、さらにABCは視聴率の振るわないソープ・オペラ群に手を入れ、同様に長寿番組の「ワン・ライフ・トゥ・リヴ (One Life to Live)」をキャンセルした。その後に編成したのが、新トークの「ザ・レヴォリューション」だ。


「オール・マイ・チルドレン」は1970年放送開始と長い歴史を持つが、「ワン・ライフ・トゥ・リヴ」はさらに長く、1968年に放送を開始した。それらの長寿番組が、そろって姿を消した。これで午後1時に「チュウ」、2時から「レヴォリューション」と続き、現在ABCが放送しているソープは、3時からの「ジェネラル・ホスピタル (General Hospital)」1本を残すのみとなった。因みに「ジェネラル・ホスピタル」は1963年放送開始であり、ABCで最長寿のソープだ。


そして実はその「ジェネラル・ホスピタル」も安泰ではない。ABCでは今秋、昨年までCBSで夕方のワールド・ニューズ「イヴニング・ニューズ (Evening News)」のアンカーを担当していた、ケイティ・コーリックがホストを担当する新トーク・ショウの製作放送が決まっている。最初、その編成は、現在ローカル・ニューズを垂れ流し気味の4時から6時台までのどこか、まあ4時台だろうなと思っていた。


ところが、どうやらそうではないらしい。ニューズというのはどの時間帯に編成してもそれなりに需要があるもののようで、例えばNYでは4時台、5時台、6時台と、キャスターを替えながらほぼ同じ内容のニューズが続くのだが、それでも充分採算がとれているようで、ABCはこの時間帯には手を入れず、コーリックの新トークは1時から4時までのどこかに組み入れる意向のようだ。


要するに、現在放送されている「チュウ」、「レヴォリューション」、「ジェネラル・ホスピタル」から最も成績の悪い番組をキャンセルして、そこにコーリックの新トークを持ってくる所存らしい。場合によってはABCからソープが消滅する可能性もあるということだ。私個人としては、ソープというジャンルがこの世からなくなっても痛くも痒くもないが、しかし、親子揃って何十年もの番組ファンがいるのも事実であり、そういう人たちにはちょっと気の毒かな、それよりも、これで仕事を失うことになる番組関係者は大変だろうなと思う。ソープって普通のドラマと違って特殊で、この仕事の経験が豊富でも、あまり潰しが利くとは思えない。


さて、「レヴォリューション」だが、実は、現段階で最も成績が悪く、キャンセルされる候補の筆頭がこの番組だ。いわゆる書籍で言うセルフ・ヘルプものという体裁の番組で、自分の生活をよくする、高める、ヘルシーになる、痩せる、着こなしをよくする、食生活を充実させる、部屋を改装するなど、あらゆる視点から自分をよりよく改造、メイクオーヴァーするためのアドヴァイスをしたり手助けをする。因みに番組副題は「イッツ・アバウト・ユー (It’s about You)」となっている。


メイン・ホストがタイ・ペニントンで、元々はカーペンターで、TLCの「トレイディング・スペイスズ (Trading Spaces)」、ABCの「エキストリーム・メイクオーヴァー: ホーム・エディション (Extreme Makeover: Home Edition)」と、家屋リニューアル系のリアリティ・ショウに出演、そのキャラクターとイケメンぶりで人気者となった。特に「ホーム・エディション」では、徐々にカーペンターというよりも番組ホストという位置づけに出世していった。しかし「ホーム・エディション」も先頃ついに最終回を迎えた。そのペニントンが「レヴォリューション」では総合ホスト的な役割に立っている。出世した。因みに番組オープニングのクレジットでは、ペニントンの肩書きは「デザイン・エキスパート」になっている。もう「カーペンター」ではないんだな。


その他のホストは、着こなし担当が、ライフタイムの「プロジェクト・ランウェイ (Project Runway)」でメンター役だったティム・ガン。「プロジェクト・ランウェイ」は、オールスター・ヴァージョンの新シーズンではガンだけでなくホストのハイディ・クルムもアンジェラ・リンドヴォールにバトン・タッチしており、模様替えの最中だ。ガンはこないだ、私は30何年間、Hをしない禁欲生活を貫いているとインタヴュウに答えて話題になっていた。ゲイのガンは、若い頃にパートナーと苦い思い出があるそうで、それ以来肉欲とは無縁だそうだ。皆色々ある。


あと3人のホストは、産婦人科の女医ジェニファー・アシュトン、セレブリティ・トレイナーのハーリー・パスターナク、セラピストのティファニー・デイヴィス・ヘンリーで、彼らは私は初めて見る。この5人で毎回参加者をメイクオーヴァーしたり、有益な衣食住の情報を提供するというのが、番組の趣旨だ。要するにこの番組、メイクオーヴァーや医療、衣、食、住、等、これまではそれぞれにテーマを絞って番組を作ってきたものを、まとめて一本にしてしまえという発想で作ってみたという印象だ。


番組第1回ではまず5人のホストが顔を揃えた後、「ティムターヴェンション (Timtervention (Tim + Intervention))」と題したコーナーで、ガンが何人かの着せ替え例を見せてファッション・メイクオーヴァーした後、ステュディオ内から観客の一人をステージに呼び、番組が終わる1時間後までにメイクオーヴァーしてみせる。


その他、ヴァイタミンをとれだとか、携帯の要らない番号は消去しろだとか、鍋の焦げの落とし方だとか、まあ、知っていれば確かに便利かもとは思うが、特にわざわざTVを見てまでチェックしようとは思わない小賢しい家庭ネタで番組を引っ張る。正直言ってそういう情報は、今ならTVを見るより必要な時にネットをチェックした方が、素早く効率的に情報を得られると思う。


この日一番の大ネタは、一か月かけて痩せさせた黒人姉妹の特集で、二人併せて34パウンド痩せた。なぜ一人ずつ数字を出さないかと思ったのだが、たぶん二人で結果にかなり差が出たからなんじゃないかと思う。一目で確かに痩せたなという感じの妹に較べ、姉の方はそれほど痩せたようには見えなかった。いずれにしても、一人一人の結果を出さないのは詐欺だ。番組最後には、最初に登場した黒人女性が、メイクオーヴァーして再び姿を現す。地味な顔で体重過多という印象からかなり明るくなって再登場し、確かに変わったと思わせる。


とはいえ、数回見た後での感想を言うと、番組としてはまだまだ弱いという印象の方が強い。色々な番組のいいとこどりを目指しているはずの「レヴォリューション」だが、逆にどれもテーマを絞り切れてないという印象の方が強いのだ。あれもこれもと目移りした挙げ句、かなり散漫な印象を受ける。そのことを視聴率も示している。


まあそんなことは番組プロデューサーも重々わかっているだろうから、おいおい番組進行に手を入れてマイナー・チェンジを施しながら続けていくものと思う。それで今後、もしかしたら化けるかもしれないという可能性も残っている。と思う一方で、オプラ・ウィンフリーの「ジ・オプラ・ウィンフリー・ショウ (The Oprah Winfrey Show)」の抜けた穴を埋めるのは、簡単な仕事ではなさそうだなとも思うのだった。









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