放送局: フード・ネットワーク
プレミア放送日: 10/29/2000 (Sun) 22:00-22:30
製作: オプトメン・テレヴィジョン、BBC
製作総指揮: パット・ホランド、ピーター・ギルビ
共同製作総指揮: ジョナサン・ポンテル
製作/監督: パトリシア・リュエリン
ホスト: ジェイミー・オリヴァー
内容: イギリスでセレブリティの仲間入りをするほどの人気者となった人気シェフ、ジェイミー・オリヴァーがホストを担当するクッキング・ショウ。
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「ザ・ネイキッド・シェフ」を放送するフード・ネットワークは、その名の通り一日中「食」に関係する番組を放送するチャンネルである。このチャンネルの現在の看板番組が、名物シェフ、エメリル・ラガッシがホストを担当する「エメリル・ライヴ (Emeril Live)」と、「料理の鉄人」である。ラガッシはこの番組のおかげで現在では完全にセレブリティの仲間入りをしており、自分の名を持つレストラン・チェーンを全米に展開中である。去年、ラスヴェガスに旅行に行ったら、ちゃんと彼のレストランがホテルの中にもあった。
「料理の鉄人」もちょっと人気が下火になった感こそあるが、まだまだ健在である。もちろん「料理の鉄人」は日本では既に放送を終えているため、アメリカではその録画を放送している。和の鉄人、森本正治がニューヨークの名物レストラン「メサ・グリル」のシェフ、ボビー・フレイと対決したニューヨーク対決特別編は、確かこのチャンネルの視聴率記録を持っているはずだ。
「料理の鉄人」は、現在アメリカで多少なりともグルメを自認したり食文化に興味を持っている者なら、知らぬ者はない人気番組となっている。この間もデイリー・ニューズを読んでいたら、番組を見てファンになった娘の12歳の誕生日に、せがまれてロウアー・マンハッタンにある和の鉄人森本正治がシェフとして腕を揮う「Nobu」に連れていったという父親の話が載っていた。和食といえばスシとチキン・テリヤキとカリフォルニア・ロール(アメリカ特有の巻物)しか知らなかった女の子が、番組の影響でいまや近くのスシ・レストランのカウンターで、スシ・シェフとおしゃべりしながらシー・アーチン(ウニ)を注文するようになったと嘆いていた。あんた、そりゃ100万年早い!
私は家でわりと料理をすることもあり、毎日というわけではないが、フード・ネットワークを結構よく見ている。料理番組はエンタテインメント番組か、さもなければ知らないことを教えてくれる完全な情報番組としてあって欲しいと思っているので、「料理の鉄人」以外では、基本的なことを一から教えてくれる「グッド・イーツ (Good Eats)」が私の贔屓番組である。
そのフード・ネットワークの新番組、「ネイキッド・シェフ」は、フード・ネットワークのオリジナル番組ではない。英国BBCが放送している料理番組の、アメリカでの放送権を買い取って放送しているものだ。私は最初、タイトルからして野球拳をしながら料理をするようなエンタテインメント料理番組かと思っていた。そしたらそうではなく、飾りを削ぎ落とした、シンプルな料理を指すというものだった。ああ、そうでしたか。
番組ホストのジェイミー・オリヴァーは、既に本国イギリスでは非常な人気の名物シェフらしい。マンハッタンの私のオフィスのすぐ近くの大きな書店、「バーンズ&ノーブル」でも、彼の書いた料理本「ネイキッド・シェフ (邦題「シンプルクッキング」)」をショウ・ウィンドウに大きくディスプレイしていたし、こないだも深夜トーク・ショウの「トゥナイト」で、オリヴァーがゲストに出てきて簡単な料理を披露していた。既にアメリカでも一部では名が知れていたもののように見える。私は彼の顔を一見してマーク・レスターを思い出した。
さて、番組そのものだが、オリヴァーが数々のレシピを説明しながら自ら料理してみせるという、料理番組定番の作り方であることは変わりがない。というか、料理番組でこういう構成以外にどういう方法があるのか疑問である。作る手順を実地に見せてくれる料理番組というのは、本に較べてわかりやすく、百聞は一見に如かずを如実に証明してくれるということで、TV番組として確固たる位置を占めている。しかし、それだけだとあまりに面白味に欠けるので、各番組ともその点を補おうと様々に工夫する。けれどもまず第一に情報番組としての存在が求められる料理番組は、遊びを入れ過ぎると意味がなくなってしまう。あまりに面白味のなさ過ぎる料理番組も一考の余地があるとは思うが、やり過ぎるのも困ったもので、この辺りのさじ加減が難しい。
実は「ネイキッド・シェフ」はオリヴァーがカメラの外にいる誰かと会話しながら(というか、質問に答えながら)料理を進めていくのだが、それはともかく、最近の流行りにおもねってか、変に手持ちカメラを多用し、ぶれる画面構成になっている。それだけならまだしも、料理番組としてはほとんど意味のないオリヴァーのアップが多い。そりゃあないだろう。私は彼の作る料理に興味があるのであって、別にとりたててハンサムとも思えない彼の顔になんか興味はない。頼むから彼の手元をアップにしてくれ。いずれにしても、下を向いて料理しているオリヴァーの顔の表情なんて、ほとんどよく見えないのだ。
また、いかんせん慣れないイギリス英語は私の耳には聞き取りにくく、30%くらいの情報は聞き取れずに漏れてしまう。もちろんこれは彼や番組のせいではないんだが、それだって顔のアップなんか映さずに手元だけ見せてくれれば、ほとんど視覚情報で補えるのにと思うと、ますます番組の作り方に対して愉快じゃない気持ちが先に立つ。作っている料理はうまそうであり、ベイシックを尊重して、簡単にできるだけ手間暇を省いた料理というコンセプトも私の嗜好に合ってたんだが、残念だがこの番組は私のレシピの参考にはなりそうもない。「バーンズ&ノーブル」に行って彼の書いた本を買ってくることにしよう。
