放送局: ABC

プレミア放送日: 1/9/2001 (Tue) 20:00-21:00

製作: ストーン・スタンリー・エンタテインメント

製作総指揮: デイヴィッド・スタンリー、スコット・ストーン

製作: ダグ・デルーカ、スー・ランガム

監督: クレイグ・ボーダース

撮影: ジョン・ガミナ

編集: ショーン・トラヴィス、ハイディ・シャーフ

ホスト: アンダーソン・クーパー


内容: 総勢10人の参加者が世界中を旅しながら様々なミッションを遂行する。しかしその中にはただ一人、そのミッションを邪魔するべく送り込まれた裏切り者--モール--が存在する。参加者は誰だか明らかにされていないこのモールの邪魔を退け、誰がモールかを推理しながら数々のミッションをこなさなければならない。ミッションを成功させる毎に参加者はかけられていた賞金を獲得する。番組の各回では最後に各々の参加者に誰がモールかを個別に推理させる質問を出し、モールを除いて最も正解の少ない者が追放される。もちろん最後まで残った者が最も大きな賞金 (約100万ドル) を獲得する。


参加者:

ウェンディ: ディスプレイ・アーティスト。29歳

スティーヴン: 私服刑事 (アンダーカヴァー・コップ)。30歳。

ケイト: 不動産投資業。55歳。

キャスリン: 法律学校講師。28歳。

マニュエル: イヴェント・コーディネイター。42歳。

アフィ: 医学生。23歳。

チャーリー: 元警官。63歳。

ヘンリー: バーテンダー。23歳。

ジェニファー: コミュニケーションズ・マネージャー。35歳。

ジム: ヘリコプター・パイロット。29歳。


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昨年、ABCの「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」、CBSの「サヴァイヴァー」と火のついたリアリティ・ショウ・ブームは一つのジャンルとして定着し、どのネットワークもこぞって同工異曲のリアリティ・ショウを編成した。しかしそのすべてが成功したわけではなく、ほとんどの物真似番組は人気を得ることができずに消えていく運命にあった。とはいえブームが去ったわけではなく、いまだにどのネットワークも新たなヒットを狙って次々と新手のリアリティ・ショウを投入している。


そして21世紀の幕が開けた2001年の新年早々、各ネットワークの新たなリアリティ・ショウ対決の幕が切って落とされた。ABCの「モール」、FOXの「テンプテイション・アイランド (Temptation Island)」、WBの「ポップスターズ (Popstars)」、そして真打ち、CBSの「サヴァイヴァー2 (Survivor 2)」が相次いで1月に編成されたのだ。私は実は、リアリティ・ショウがとても好きだというわけではない。 しかし昨年の「サヴァイヴァー」のような、これまで見たこともない番組を編成してくれると、やはり興味が湧く。要は二番煎じでなく、オリジナリティ溢れる番組であればいいのだ。


「モール」は、あるグループの中に送り込まれたスパイ (モール) を当てるというゲーム/リアリティ・ショウである。もちろんただそれだけだと面白くないから、「サヴァイヴァー」同様番組の最後には一人ずつ脱落していってもらう勝ち抜きゲームにもなっている。この勝ち抜きゲームというのはこの手のリアリティ・ショウを面白くするには不可欠の要素である。「サヴァイヴァー」程の人気を得ることができなかった「ビッグ・ブラザー」でも、やはり誰が脱落していくかを決める回が最も視聴率が高かった。


「モール」では世界中を旅しながら各種のミッションを遂行する。プレミアの冒頭では、なぜだか参加者がいきなりカリフォルニア東部の荒野に集結するというシーンから始まるのだが、参加者はそこへ車に乗ってきたり歩いてきたり、バイクで来たりバスで来たりと、変に演出を凝らしているのが笑えた。どうせ近くまでは皆一緒に連れてきてるだろうに。


その参加者の最初のミッションはスカイ・ダイヴィング。しかし、見ていてこれが何のためのミッションであるかよくわからない。これがミッションであるからにはモールがミッションの遂行を邪魔するための工作を行うはずなのだが、だとすると誰かのパラシュートの紐に切れ目が入っていたり、パラシュートが開かない工作がしてあるのかと勘繰ってしまう。しかしそんなことしたら確実に死人が出る。まさかそれはないだろう。でも、だったらモールは何をするんだ?


と思っていたら、そのうち二人はどういう理由かはよくわからないが飛ばずに降りてきた。それがモールの工作と何か関係があったのか、よくわからない。うーん、この辺の作りイマイチだよなあ。話は変わるが、昨年私も生まれて初めてこのスカイ・ダイヴィングとやらを経験した。後ろにコンダクターがついているのだが、高度1万メートルの雲の上から空中に飛び出すというのは、初めてだとやはり尻込みする。私の番になって、いきなり私はこりゃだめだと思った。無理だよ、こんなの。だって空中には足場がないのだ。


腰が引けた私は、しかし後ろからほとんど無理やりコンダクターに押され、二人で空中に飛び出したのだが、思わず絶叫してしまった私の声が、ものすごい風切り音のために自分の耳に届かないのだ。そういうことを思い出しながら番組を見ていたのだが、やはり参加者のほとんどはびびっている。つまり、多分そのびびり方を見て楽しもう、あわよくば誰かを完全に戦意喪失させて飛ばないと言わせることで、このミッションを失敗に導こうという魂胆だったようだ。一つ一つのミッションには掛け金がかかっているため、モールが何か工作しなくても、ミッションの失敗は即参加者のマイナスとなる。でも、だから何なんだと思ってしまうよなあ。


スカイ・ダイヴを終えた参加者は空港に直行、彼らの乗る飛行機の行先の欄には「Unkonwn (不明)」という表示が。不安になる参加者だが、結局彼らが着いたのはフランスの首都、パリ。これはちょっとがっかりさせてくれる。見てる方としては前人未到の山奥か、泣いても叫んでも迎えに来る者のない無人島とかを想像するのだが、この辺は少し肩透かしだ。そのパリでのミッションも、夜遊びをして夜中の12時までにホテルに帰ってこなければいけないというものなのだが、モールがどういう企みを仕掛けてくるかわからないため、参加者は外に出ないでホテルに引きこもってしまうのだ。おいおい、これでは何のために花の都パリにまで来てるのか全然わかんないじゃないか。これには番組製作者も焦ったろう。これじゃ番組になんない!


その後参加者はフランス南部に移動、選ばれた二人が参加者の年齢や身長、靴のサイズ等の数字を足したり引いたりして手渡されたクレジット・カードの暗証番号を計算し、何も知らない土地でATMを探し出し、無事金を引き出せればOKというミッションに挑むのだが、これもなにやらペースがとろい。大体、もし選ばれた二人の中にモールがいないとなれば、誰も工作できないではないか。ということで、フランス語が喋れるということで二人の中に選ばれたジムが当然のことながらモールなんだろうなと思ってしまうが、その後でキャスリンが言っていたように、確かにこれではあまりにも芸がなさ過ぎる。いずれにしてもアフィとジムは無事ATMを見つけ出し、金を引き出すことに成功する。


番組の最後は、各自がモールについて出された質問に各自の部屋で答えて提出、その後全員集まったところで最も成績の悪かったものが追放される。わざわざ大きなTV画面を用意し、一人一人名を読み上げて画面が緑に染まったらパス、赤く染まったらあなたが今回の失格者という演出は、「サヴァイヴァー」の演出の亜流だろうが、最後に誰かわからない一人が追放されるというのは、定石とはいえ緊張させるし、なくてはならない演出だろう。結局プレミアではマニュエルが追放される。


私が「モール」のプレミアを見終わって最初に持った印象は、こりゃ「サヴァイヴァー」は超せないな、というものだった。この種の番組ではミッション自体がひねった、それなりに面白いものでなければならないが、「モール」ではそれがほとんどない。パリではミッション自体が始まらないのだ。最後のATM探しでも、結局外に出ている二人以外はただ待ちながら話し合っているだけだ。「サヴァイヴァー」のゲームだってそれほど大したことはなかったのだが、あれはとにかく体力勝負、相手チームに負けられない、みたいな体力の限界に挑戦するスポーツ的面白さがあった。


つまり「モール」では相手が見えないことによる推理ゲーム的知的面白さを加えたがために、逆に相手が見えないことによって体力ゲームの競争の面白さを帳消しにしてしまった。そのことが果たして番組をどれだけ面白くしたか。人によって受け取り方は様々だと思うが、私はもっとひねったミッションを考えつくことさえできたなら、番組はもっと面白くなっただろうにと思う。最後に毎度のことながら私の予想を一つ。裏の裏をかいてやっぱりモールはジムだと思うな。



追記 (2001年2月):

「ザ・モール」、ついに誰がモールかが判明する最終回の週は、火曜、水曜と2日続けて放送された。最後まで残った3人--ジムとキャスリンとスティーヴ--に最後のミッションを行わせるのが火曜、すべてのミッションが終わり、最後の追放者が決まる‥‥つまり誰がモールかが明らかになる瞬間と、その映像を見ている、これまでに追放された者の事後反応をとらえたものが水曜に放送された。私がモールだと予想したジムが最後の3人の中にまだ残っている。私の予想も捨てたもんじゃない。


しかし、最後の方になると、皆お互いに情のようなものが湧いてきて、この中に実は裏切り者がいるというのは、わかってはいてもかなりのショックを受けるのではないか。そう思ったのも、最後のミッションの一つで、キャスリンが泣き出したからであった。このミッションは、3人のうち二人が組となり、残った一人の考えを予想して答えていく、というものであった。スペインの白壁の家が並ぶこぢんまりとした街中で、別れ道になる度に質問があり、そこにいないもう一人が何と答えるかを予想して右か左かの道を選ぶ。もし正解を予想できれば、最後に着いた家の中にそのもう一人がいて、無事ご対面となり、掛け金を獲得というゲームだ。


そこでキャスリンとスティーヴは組んでジムの答えを予想して道を進んでいくわけだが、その最後の質問は、キャスリンとスティーヴでどちらが浮気をしそうかをジムが誰と答えたかというものであった。キャスリンはスティーヴと言い、スティーヴはキャスリンと言う。結局、キャスリンはスティーヴに押し切られる形で、ジムがキャスリンと答えたと思うのならこっち、と示された家のドアを叩くのだが、そしたら本当にジムが出てきた。つまり、ジムはスティーヴではなく、キャスリンが浮気をすると思っていたのだ。


ゲームとしては勝ったのだが、キャスリンは、ジムが自分のことをそう思っていたというのが耐えられなくて、思わず泣き出してしまう。たかがゲームじゃないか、スティーヴは既婚だから、シングルのあんたを選んだんだというジムの弁明兼慰めも虚しく、キャスリンは自分の感情を制御できない。いやあ、実はこういうのを見るのこそ素人リアリティ・ショウの醍醐味なのだ。最後の最後になって面白くなってきたようだ。 この日の放送の最後はスペインの闘牛場の真ん中に3人が集められ、ついに誰がモールかが明らかにされようとする瞬間に、明日に続くとなる。引っ張っちゃってくれるじゃないか。


そしてついに最終回は、その闘牛場に一人一人呼ばれ、判決が下る。まずジムが一番最初に呼ばれ‥‥え、何? ということは3人しかいないわけだから、順番から言って追放されるのはジムか? ということはモールはジムじゃない? でも、そう思わせといてまずはジムがモールだということを最初に明らかにするとか? などと考えていたのも束の間、画面が赤くなり、ついに最後のモールの犠牲者、ジムが追放されたのであった。げえーっ、ということはモールはスティーヴかキャスリン! くそーっ、騙されたぜ。


そして次に闘牛場に呼ばれたのはスティーヴで、何と彼の画面は緑に染まり、勝ったのはスティーヴ、つまり、モールはキャスリンだったというのが明らかにされた。なんだなんだ、キャスリンが昨日泣いてたのは、あれは演技か、プレミアの回で白々しくも追放されるマニュエルが可哀想だと泣いていたののもすべて嘘っぱちだったのか。というか、その時はモールかどうかには関係なく、プレイヤーとしてごく自然に振る舞っただけなのだろうが、いずれにしても完全に騙されたぜ。


最終回の後半は、キャスリンがいかに数々のミッションを失敗に終わらせようと工作したかが詳らかにされた。キャスリンがモールだと知ってから見ると、なるほど、あの時の彼女の行動にはこういう意味があったのかとわかって、また別の面白さがある。しかし意外だったのは、スタジオに集まった参加者が結構皆和気藹々としていたことで、早くに追放された者も、いやあすっかり騙されたよ、またやりたいね、みたいにすごくフレンドリーな雰囲気だったことだ。ふうん、終わってしまえばわりと簡単に水に流せるものなんだな。まあ結局はたかがゲームだしね。


「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」が現在の編成の主軸となっているABCは、徐々に視聴者層の平均年齢が上がっている。これはCMスポンサー獲得のためにはよくない。しかし「ザ・モール」は「サヴァイヴァー」ほどの視聴率は稼げなくとも、少なくとも若い層にアピールした。そのため、ABCは既に「ザ・モール」第2弾製作を決めている。「サヴァイヴァー」の場合は、一応番組がどんなふうに進むかが既にわかっているため、私は「サヴァイヴァー II」は見てないのだが、「ザ・モール」の場合は、色々な反省材料を元に、第2弾の方がもっと面白くなるだろうなとは思う。次も見るかはわからないが、番組がもっと面白くなっていくのは歓迎だ。「ザ・モール」が「ミリオネア」を超える人気番組となって、早く「ミリオネア」が編成から消えてくれることを切に願う次第である。







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The Mole

ザ・モール   ★★1/2

 
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