The Mindy Project   ザ・ミンディ・プロジェクト 

放送局: FOX 

プレミア放送日: 9/25/2012 (Tue) 21:30-22:00 

製作: カリング・インターナショナル、ユニヴァーサルTV

クリエイター/製作総指揮/脚本: ミンディ・カリング

出演: ミンディ・カリング (ミンディ・ラヒリ)、クリス・メッシーナ (ダニー・カステラーノ)、エド・ウィークス  (ジェレミー・リード)、アナ・キャンプ (グウェン・グランディ)、ゾーイ・ジャーマン (ベッツィ・パッチ)、アマンダ・セットン (ショウナ・ディカニオ)

 

物語: 女性専門クリニックで働く産婦人科医のミンディは、キャリアの上では申し分ないが、いかんせん男運に恵まれない。ようやっと運命の相手に巡り会えたと思ったら、その男はいとも簡単に別の女性と結婚してしまい、呼ばれた結婚式をめちゃくちゃにしてしまったミンディは、酔って町中で暴れた挙げ句、警察の世話になる始末。クリニックでは、同僚医のダニーは事ある毎にミンディと対立し、一方ジェレミーは必要以上にミンディにアプローチしてくるが、特にミンディのタイプではなく、とかくこの世はままならない‥‥


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The Mindy Project


ザ・ミンディ・プロジェクト   ★★1/2

今シーズンの医者を描くコメディとしては、私が気になっていたのは、NBCの動物クリニックを描く「アニマル・プラクティス (Animal Practice)」の方だったのだが、数話放送されただけで人気不振でキャンセルされてしまった。一方、こちらの「ミンディ・プロジェクト」の方はなかなか評価もよく、既に今シーズンいっぱいの続投が決定している。 
 
「ミンディ・プロジェクト」クリエイター/製作/主演のミンディ・カリングは、NBCのコメディ
「ジ・オフィス (The Office)」で頭角を現した。とはいっても、私はBBCのオリジナルをBBCアメリカでいつでも見られるのにわざわざアメリカでリメイクした「オフィス」を見る気にはなれず、たまさかTVをつけたら「オフィス」をやっていた、というのでもない限り、自分から率先して番組を見ているわけではない。 

 

そのため、最初カリングが「オフィス」出身と聞いた時も、正直言って顔を思い出せなかった。「ミンディ・プロジェクト」のスティール写真を見た時に、やっと、そういえば、この子、知ってると思い出したくらいだ。 

 

で、そのカリングがクリエイト/主演のコメディということで、想像したのはインド系のカリングを主人公としたエスニック・コメディだ。要するに、かつて英BBCが放送していた、「ザ・クマーズ・アット・ナンバー・フォーティートゥ (The Kumars at No. 42)」のようなものをなんとなく想像していた。 

 

むろんアメリカでも、近年コメディ界におけるインド系の進出は目覚ましい。「オフィス」に限らず、NBCの「パークス・アンド・レクリエーション (Parks and Recreation)」のアジス・アンサリ、CBSの「ザ・ビッグ・バン・セオリー (The Big Bang Theory)」のクナイ・ナヤーは、今では番組になくてはならないキャラクターだし、FOXの「Dr. ハウス (House M.D.)」のカル・ペンは、そもそもはコメディ映画の「ハロルド・アンド・クマー (Harold and Kumar)」シリーズで注目を集めた。


映画といえばやはり「スラムドッグ・ミリオネア (Slumdog Millionaire)」を忘れるわけにはいかないし、その「ミリオネア」出身のデブ・パテルは、現在HBOのアーロン・ソーキン製作ドラマ「ザ・ニューズルーム (The Newsroom)」でレギュラー出演中だ。舞台がインドというNBCの「アウトソースド (Outsourced)」というコメディもあった。


等々、近年のインド系の躍進は目覚しいものがある。どんなに日本や韓国製の製品が街に溢れ、中国人が大量流入しようとも、TVで現在最も活躍しているエスニックは、 黒人とヒスパニックを別にすれば、明らかにインド系だ。


また、別にTVを例にとらなくても、アメリカでは今インド系が席巻しつつあることを痛感する。私が日常通勤に利用するPATHは、マンハッタンとハドソン・リヴァーに近いニュージャージーを結ぶ、一部高架を走るサブウェイだが、現在、その主要乗客はインド人になりつつある。


特にその主要駅の一つであるジャーナル・スクエアにはインド系商店街があり、ストリートを歩くとスパイスの香りが充満し、インド系スーパーが立ち並ぶ。聞こえてくるのはほとんどヒンズー語? だ。チャイナ・タウンほどの規模はまだないが、しかし観光地化してアメリカ人も多いチャイナ・タウンと異なり、インド人街は売る方も買う方もほとんどインド人であり、通りを歩くと一瞬今自分がどこにいるか忘れる。かくいう私が住んでいるアパート・ビルも、つい最近まで向かいと上の階にインド人が住んでいた。ビルのオーナーもインド人だ。


こういうインド系のアメリカ流入は、最近では中国系より多いと思われる。それが問題にならないのは、違法で密航したりして入国してくることが多く、ニューズ沙汰になる中国系と異なり、インド人はかなり頭がよくて英語が使える者が多いため、乞われてやって来る身元のちゃんとした人間が多いためだ。実際、PATHライン近辺にインド人が多いのは、このラインがマンハッタンのウォール街に直通しているためで、要するに金融関係で働くインド人が多い。


そういう、インド人がアメリカの経済を支えているというような実感を日々肌で感じているので、インド人がTVに進出しても、なんの不思議も感じない。とはいえ、それはあくまでも主人公ではなく、重要な脇というに過ぎず、あるいはインド系を主人公にすると、上に挙げた「クマーズ」みたいな、癖のある番組になるというのがこれまでの倣いだった。だから私も、「ミンディ・プロジェクト」は「クマーズ」みたいなものかと思っていたのだ。


ところが「ミンディ・プロジェクト」は、実は特に番組がエスニックの主人公を持っているということに執着しない。内容としてはごく一般的な恋愛ネタを絡めたコメディであり、たまたまその主人公がインド系の女性であったというに過ぎない。エスニック・ネタで笑いをとるのはほとんどない。つまり、主人公のカリングは、エスニックとして登場しない。


日系、韓国、中国系の役者がもしアメリカのコメディで主演するとした場合、そこにエスニックの含みを意識せずに演じる可能性があるかというと、それははなはだ疑わしいと言わざるを得ない。むろんカリングの場合は (たぶん) アメリカ生まれであり、話しているのを聞く限りではインド人特有の訛りはない。たぶん本人もアメリカ的なものの考え方をするアメリカ人だろうとは思うが、しかし、一見しただけではカリングはやはりインド系であり、なんとなくそういうネタで推移しそうな気がするが、まったくそうではない。内容としては、ゾーイ・デシャネルが主演のFOXの「ニュー・ガール (New Girl)」と大差ない。どちらも単純に男運がないいい年頃の女の子のいい男探しラヴコメなのだ。


最初に、なんだ、これ、エスニック・コメディじゃなかったのかという意外な驚きが去ると、実はよく見るとカリングは、そこそこ可愛い。ちょっと肉がついているので、私個人の嗜好から言うと、頼むから膝の見えるスカートは穿かないでくれというのが正直な感想だが、ここはインド人女性が白人男性をどこまで手玉にとるか、ちょくと拝見させてもらおう。









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